建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可の違いを、名古屋・愛知の建設業者向けに解説します。解体工事・リフォーム工事で出る廃材の運搬、許可が必要になるケース、取得の流れ、注意点を分かりやすく説明します。
建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可は別の許可
建設業を営んでいると、「建設業許可を取っていれば、工事で出た廃材も自社で運べるのではないか」と考えてしまう方も少なくありません。
しかし、建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可は、まったく別の許可です。
建設業許可は、一定規模以上の建設工事を請け負うための許可です。一方、産業廃棄物収集運搬業許可は、他人から委託を受けて産業廃棄物を収集し、処分場や中間処理施設などへ運搬するための許可です。
たとえば、解体工事、リフォーム工事、内装工事、原状回復工事などでは、現場から木くず、がれき類、廃プラスチック類、金属くず、ガラスくず、コンクリートくずなどが発生します。
工事そのものを請け負うには建設業許可が問題になりますが、その廃材を誰が、どの立場で、どこへ運ぶのかについては、産業廃棄物のルールが問題になります。
つまり、建設業許可を持っているからといって、産業廃棄物の収集運搬まで当然にできるわけではありません。
ここを混同してしまうと、知らないうちに無許可運搬や委託契約の不備につながる可能性があります。特に、解体工事やリフォーム工事を扱う建設業者は、建設業許可と産廃許可を分けて考えることが重要です。
建設業許可でできること
建設業許可は、建設工事の完成を請け負う営業を行うための許可です。
原則として、建築一式工事以外の専門工事では、1件の請負代金が500万円以上となる工事を請け負う場合に建設業許可が必要になります。建築一式工事については、1件の請負代金が1,500万円以上となる工事などが目安になります。
建設業許可には、土木一式工事、建築一式工事、大工工事、内装仕上工事、電気工事、管工事、塗装工事、防水工事、解体工事など、全部で29業種があります。
許可は業種ごとに取得するため、「内装仕上工事業」の許可を持っていても、「解体工事業」の許可を当然に持っていることにはなりません。また、「建築一式工事業」の許可があるからといって、すべての専門工事を自由に請け負えるわけでもありません。
建設業許可で確認される主なポイントは、常勤役員等の体制、営業所技術者等の配置、財産的基礎、営業所の実態、欠格要件に該当しないことなどです。
建設業許可は、あくまで「工事を請け負うための許可」です。廃材の運搬や処分までカバーする許可ではないため、産業廃棄物の運搬を行う場合は、別途整理が必要になります。
産業廃棄物収集運搬業許可でできること
産業廃棄物収集運搬業許可は、他人から委託を受けて産業廃棄物を収集し、処分場や中間処理施設などへ運搬するための許可です。
建設業者の場合、現場から発生する廃棄物として、がれき類、木くず、金属くず、廃プラスチック類、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、紙くず、繊維くずなどが関係することが多いです。
産廃収集運搬業許可を取得する場合は、どの種類の産業廃棄物を運ぶのかを決めて申請します。許可を取ればすべての廃棄物を運べるわけではなく、許可証に記載された品目の範囲内で運搬することになります。
また、収集運搬業許可には、「積替え保管を含まないもの」と「積替え保管を含むもの」があります。
建設業者がまず検討することが多いのは、積替え保管を行わない収集運搬業許可です。これは、現場で積み込んだ産業廃棄物を、そのまま処分場や中間処理施設まで運ぶ形です。
一方で、途中で自社の置場に一時的に降ろす、別の車両に積み替える、一定期間保管するような場合は、積替え保管が問題になります。積替え保管ありの許可は、施設の場所、構造、保管方法、周辺環境なども関係するため、難易度が高くなります。
そのため、まずは自社が本当に積替え保管を行うのか、それとも現場から処分場へ直行する運用で足りるのかを整理することが大切です。
建設業者が産廃許可を検討すべきケース
建設業者が産業廃棄物収集運搬業許可を検討すべき代表的なケースは、解体工事やリフォーム工事、原状回復工事、内装工事などで、現場から出る廃材を自社で運びたい場合です。
特に、次のような事業者は、産廃許可を検討する価値があります。
・解体工事を扱っている
・リフォーム工事で廃材が頻繁に出る
・内装解体、店舗改装、原状回復工事が多い
・元請から廃材の運搬も依頼される
・処分場まで自社車両で運びたい
・外注運搬費を抑えたい
・元請や取引先から産廃許可の有無を確認される
・公共工事や大手元請との取引を増やしたい
現場で廃材が出る業種では、産廃許可を持っていることが取引上の信用につながることがあります。特に、元請業者、不動産管理会社、店舗改装会社、リフォーム会社などと継続的に取引する場合、許可の有無を確認される場面もあります。
ただし、許可を取れば何でも自由にできるわけではありません。
廃棄物の種類、運搬先、委託契約、マニフェスト、車両表示、書類の携帯など、運搬開始後の管理も必要になります。許可取得だけでなく、実際の運用まで見据えて準備することが重要です。
自社工事の廃材を運ぶ場合は許可が必要か
建設業者からよく相談されるのが、「自社で工事をして、その工事で出た廃材を自社で運ぶ場合にも産廃許可が必要なのか」という点です。
ここは、工事における立場によって考え方が変わります。
自社が元請として工事を請け負い、その工事で発生した産業廃棄物を自社で運搬する場合は、自己運搬として整理できる場合があります。この場合、他人から産業廃棄物の運搬を委託されているわけではないため、収集運搬業許可が不要となるケースがあります。
一方で、下請業者が元請の現場で発生した廃棄物を運ぶ場合は注意が必要です。
建設工事で発生する廃棄物は、基本的に元請業者が排出事業者として責任を負います。そのため、下請業者が廃材を運ぶ場合、元請から産業廃棄物の運搬を委託されている関係になりやすく、産業廃棄物収集運搬業許可が必要になる可能性があります。
現場では、「ついでに持って帰っておいて」「帰り道に処分場へ寄っておいて」という話が出ることもあります。
しかし、廃棄物処理のルールでは、このような運搬が問題になることがあります。許可、委託契約、マニフェストの整理がないまま下請業者が廃材を運ぶと、元請・下請の双方にリスクが生じます。
そのため、廃材を運ぶ前に、少なくとも次の点は確認しておきましょう。
・自社は元請なのか、下請なのか
・廃棄物の排出事業者は誰になるのか
・運搬する廃棄物の種類は何か
・運搬先はどこか
・委託契約書は必要か
・マニフェストは誰が交付するのか
・自社の運搬が自己運搬なのか、委託運搬なのか
この整理をせずに運搬してしまうと、後から問題になることがあります。特に、解体工事や内装工事を下請で受けることが多い会社は、産廃許可の取得を前向きに検討しておくと安心です。
建設業許可と産廃許可の主な違い
建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可の違いを整理すると、まず目的が違います。
建設業許可は、建設工事を請け負うための許可です。対象になるのは、土木工事、建築工事、内装工事、塗装工事、防水工事、解体工事などの建設工事です。
一方、産廃収集運搬業許可は、産業廃棄物を収集・運搬するための許可です。対象になるのは、工事そのものではなく、工事などで発生した産業廃棄物の運搬行為です。
審査で見られるポイントも異なります。
建設業許可では、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、営業所の実態などが重視されます。これに対して、産廃収集運搬業許可では、講習会修了者の有無、運搬車両、事業計画、取り扱う廃棄物の種類、欠格要件、経理的基礎などが確認されます。
また、許可の範囲も違います。
建設業許可は、営業所の所在地によって知事許可・大臣許可が分かれますが、工事を施工できる区域そのものが都道府県内に限定されるわけではありません。
一方、産廃収集運搬業許可は、どこで積み込み、どこへ運ぶのかが重要です。愛知県内で積み込み、岐阜県や三重県の処分場へ運ぶ場合には、愛知県だけでなく、運搬先側の許可が必要になることがあります。
建設業許可と同じ感覚で考えると間違えやすい部分なので、産廃許可は「どこで積んで、どこへ降ろすのか」を基準に考えることが重要です。
産業廃棄物収集運搬業許可の取得の流れ
産業廃棄物収集運搬業許可を取得する場合、一般的には次のような流れで進めます。
まず、自社の事業内容を確認します。
どのような工事をしているのか、どのような廃棄物が出るのか、どの処分場へ運ぶ予定なのか、積替え保管を行うのかを整理します。ここが曖昧なまま申請を進めると、必要な品目が漏れたり、実際の運用に合わない許可になったりすることがあります。
次に、講習会の受講を行います。
産廃収集運搬業許可では、申請者側に講習会修了者が必要になります。法人の場合は、代表者、役員、または一定の使用人など、申請上適切な立場の人が受講する必要があります。単に現場担当者が受講すればよいというものではないため、誰が受講するかは事前に確認しておきましょう。
その後、必要書類を収集します。
法人であれば、履歴事項全部証明書、定款、役員の住民票関係書類、登記されていないことの証明書、決算書、納税証明書、車検証、車両写真、駐車場に関する資料、講習会修了証などが必要になります。
個人事業主の場合は、本人に関する証明書類や所得税関係の書類などが中心になります。
書類が整ったら、申請書、事業計画書、運搬車両一覧、取り扱う産業廃棄物の種類、運搬先予定、誓約書などを作成し、管轄窓口へ申請します。
申請後は審査が行われ、問題がなければ許可証が交付されます。許可が出るまでは、産業廃棄物収集運搬業を開始することはできません。
産廃許可の取得で注意すべきポイント
産廃許可で特に注意したいのは、廃棄物の品目選定です。
建設業者の場合、「工事で出るものを全部入れておきたい」と考えがちですが、申請では実際に取り扱う品目を整理する必要があります。品目を入れすぎると、説明や運搬先との整合性が問題になることがありますし、逆に品目が足りないと、許可取得後に運べない廃棄物が出てしまいます。
たとえば、内装工事では廃プラスチック類、木くず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、紙くず、繊維くずなどが関係することがあります。解体工事では、がれき類が重要になることも多いです。
次に、車両の確認も重要です。
産廃収集運搬業では、運搬に使用する車両を申請書類に記載します。車検証の名義、使用権原、車両写真、表示義務などを確認しておく必要があります。ダンプ、トラック、軽トラック、バンなど、実際の廃棄物の種類や量に合った車両であることも大切です。
また、財務状況にも注意が必要です。
産廃許可では、会社の決算内容や納税状況も確認されます。赤字や債務超過がある場合でも直ちに不許可になるとは限りませんが、追加資料や理由説明が必要になることがあります。直近の決算書を確認し、必要に応じて事業計画や改善見込みを整理しておくとスムーズです。
さらに、欠格要件も見落とせません。
法人の場合、会社そのものだけでなく、役員なども確認対象になります。過去の処分歴、一定の刑罰、暴力団関係などに該当すると許可取得が難しくなります。
産廃許可は、建設業許可とは見られるポイントが違います。建設業許可を持っている会社であっても、産廃許可では別の書類・別の審査が必要になるため、最初から別手続きとして準備することが大切です。
建設業許可と一緒に整えておきたい管理体制
建設業者が産廃許可を取得する場合、単に許可証を増やすだけでなく、社内の管理体制も整えておく必要があります。
まず、見積書や契約書の段階で、廃棄物処理の扱いを明確にしておくことが大切です。
工事代金に処分費が含まれているのか、運搬費を別途請求するのか、誰が排出事業者として処理するのか、マニフェストを誰が交付するのかを曖昧にしたまま工事を進めると、後からトラブルになることがあります。
特に、下請として現場に入る場合は、元請との関係を整理しておく必要があります。
「廃材を持って帰ってほしい」と言われた場合でも、自社が適法に運搬できる立場なのか、産廃許可の品目や区域が合っているのか、委託契約書があるのかを確認しなければなりません。
次に、車両表示や書類携帯のルールも整えておきましょう。
産業廃棄物を運搬する車両には、必要な表示を行い、許可証の写しや必要書類を備えておく必要があります。許可を取った後の運用が不十分だと、現場や運搬中に指摘を受ける可能性があります。
また、許可取得後の変更届にも注意が必要です。
役員変更、住所変更、車両変更、事務所所在地の変更などがあった場合、産廃許可でも変更届が必要になります。建設業許可でも変更届が必要なケースがあるため、会社の変更事項が発生したときは、建設業と産廃の両方で届出が必要か確認することが重要です。
建設業許可と産廃許可を両方持つ会社は、許可管理が複雑になりやすいです。更新期限、変更届、決算関係、車両関係を一覧で管理しておくと、届出漏れを防ぎやすくなります。
まとめ
建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可は、建設業者にとって関係の深い許可ですが、内容はまったく別です。
建設業許可は、一定規模以上の建設工事を請け負うための許可です。一方、産業廃棄物収集運搬業許可は、他人から委託を受けて産業廃棄物を運ぶための許可です。
建設業許可を持っているからといって、工事で出た廃材を自由に運べるわけではありません。特に、下請業者が元請の現場で発生した廃棄物を運ぶ場合は、産廃許可、委託契約、マニフェストの整理が必要になることがあります。
解体工事、リフォーム工事、内装工事、原状回復工事などでは、廃材の処理体制が取引上の信用にも関わります。
許可を取得する際は、建設業許可と産廃許可の違いを理解したうえで、自社の工事内容、立場、運搬ルート、車両、廃棄物の種類を整理して進めることが重要です。
建設業許可と産業廃棄物収集運搬業許可は、それぞれ別の制度ですが、建設業者にとっては一体で考えた方がよい場面が多くあります。
特に、解体工事やリフォーム工事を扱う会社では、工事の許可だけでなく、現場から出る廃材をどのように運ぶのかまで整理しておくことが大切です。
名古屋・愛知で建設業許可の取得や産業廃棄物収集運搬業許可の取得を検討している方は、自社の工事内容や取引形態に合わせて、必要な許可を早めに確認しておきましょう。
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