ブログ

専任技術者(営業所技術者)が辞めたときの対応

建設業許可の専任技術者(営業所技術者)が退職した場合の対応を解説します。後任者の選任、資格・実務経験・常勤性の確認、変更届の提出期限、後任者がいない場合のリスク、一部廃業の検討までわかりやすく説明します。

専任技術者(営業所技術者)が辞めたときは早急な対応が必要


建設業許可で届け出ている専任技術者、現在の制度上では営業所技術者等が辞めた場合、会社は早急に対応する必要があります。

専任技術者は、建設業許可を維持するための重要な要件です。

単なる現場担当者や資格者ではなく、営業所ごとに配置される技術面の責任者として、許可業種に対応した資格または実務経験を持ち、その営業所に常勤している必要があります。

そのため、専任技術者が退職した場合、

「後任者を決めればよい」

「次の更新までに整理すればよい」

「退職したことを社内で把握していればよい」

という対応では不十分です。

建設業許可上は、営業所技術者等の変更届を提出する必要があります。

愛知県では、営業所技術者等の変更は、許可要件に関わる事項として、事実発生後2週間以内の届出が必要とされています。

つまり、専任技術者が辞めた場合は、退職後すぐに後任者の有無を確認し、後任者が要件を満たしているかを確認し、必要な変更届を提出しなければなりません。

特に小規模な建設会社では、1人の技術者が複数業種を担当していることがあります。

その人が辞めると、1業種だけでなく、複数の許可業種に影響する可能性があります。

専任技術者の退職は、単なる人事上の問題ではなく、建設業許可の維持に直結する重要事項です。

まず確認すべきこと


専任技術者が辞めたときに、最初に確認すべきなのは、その人が建設業許可上どの業種を担当していたかです。

建設業許可は、業種ごとに取得する許可です。

そのため、営業所技術者等も、許可業種に対応して配置されています。

たとえば、塗装工事業の営業所技術者等なのか、防水工事業も兼ねているのか、内装仕上工事業まで担当しているのかを確認する必要があります。

次に、その人がどの営業所の営業所技術者等として届け出られていたかを確認します。

営業所技術者等は、営業所ごとの要件です。

会社全体に資格者がいるだけでは足りません。

その営業所に常勤している人であることが必要です。

国土交通省資料でも、営業所専任技術者はその営業所に常勤し、専らその職務に従事する必要があると説明されています。

確認すべき主な項目は次のとおりです。

  • 辞めた人がどの営業所の営業所技術者等だったか
  • 担当していた許可業種は何か
  • 複数業種を担当していたか
  • 退職日はいつか
  • 後任者候補はいるか
  • 後任者は資格で証明できるか
  • 実務経験で証明する必要があるか
  • 後任者はその営業所に常勤できるか
  • 退職により許可業種の一部を維持できなくなる可能性があるか

この確認をしないまま変更届を作ろうとすると、後任者が一部業種に対応できない、常勤性を説明できない、そもそも許可を維持できないといった問題が後から出てくる可能性があります。

専任技術者が辞めたときは、まず「誰が辞めたか」ではなく、「どの許可業種に影響するか」を確認することが重要です。

後任者がいる場合の対応


専任技術者が辞めても、後任者がすぐに要件を満たせる場合は、営業所技術者等の変更届を提出して対応します。

この場合、後任者について、資格または実務経験、そして営業所への常勤性を確認します。

後任者が国家資格等で要件を満たせる場合は、比較的スムーズに進みやすいです。

資格証や合格証明書などを確認し、その資格が退職者の担当していた許可業種に対応しているかを確認します。

一方、後任者を実務経験で証明する場合は、過去の工事資料や経験年数の確認が必要になります。

この場合、資料収集に時間がかかることがあります。

後任者がいる場合でも、注意すべきなのは、退職者が担当していた業種すべてを後任者が担当できるとは限らないことです。

たとえば、退職した技術者が「塗装工事業」と「防水工事業」の両方を担当していた場合、後任者が塗装工事業には対応できても、防水工事業には対応できないことがあります。

この場合、防水工事業については、別の後任者を探すか、一部廃業を検討する必要が出る可能性があります。

また、後任者が別の営業所で営業所技術者等になっている場合も注意が必要です。

営業所技術者等は、営業所に常勤していることが求められます。

そのため、原則として、同じ人が複数営業所の営業所技術者等を兼ねることは慎重に考える必要があります。

後任者がいる場合でも、次の点を確認しましょう。

  • 後任者が担当業種に対応する資格または実務経験を持つか
  • 退職者が担当していた業種すべてをカバーできるか
  • 後任者が該当営業所に常勤しているか
  • 他社勤務や他営業所勤務との兼務がないか
  • 必要書類を2週間以内に準備できるか

後任者がいるから安心ではなく、その後任者が建設業許可上の要件を満たすかを確認することが重要です。

後任者の資格を確認する


後任者を資格で営業所技術者等にする場合、その資格が許可業種に対応しているかを確認します。

建設業許可では、資格があればどの業種でも営業所技術者等になれるわけではありません。

資格ごとに対応できる建設業の種類が決まっています。

たとえば、建築施工管理技士、土木施工管理技士、電気工事施工管理技士、管工事施工管理技士、建築士、電気工事士など、それぞれ対応する業種が異なります。

後任者が資格を持っている場合でも、その資格が退職者の担当していた業種に対応していなければ、後任者として使うことはできません。

資格確認でよくある失敗は、

「建築関係の資格だから内装も塗装も全部いけるだろう」

「現場経験が長いから資格も問題ないだろう」

「以前の会社で専任技術者だったから今回も使えるだろう」

といった思い込みです。

実際には、資格の種類、級、合格区分、実務経験の有無、担当業種との対応を確認しなければなりません。

また、資格証の氏名や生年月日、現在の氏名が一致しているかも確認します。

結婚や改名により氏名が変わっている場合は、変更の経緯が分かる資料が必要になることがあります。

資格で後任者にする場合に確認したい書類は、次のとおりです。

・資格証の写し
・合格証明書
・免状
・登録証
・資格者証
・氏名変更がある場合の戸籍関係資料
・資格と許可業種の対応表
・常勤性確認資料

資格で証明できる場合は、実務経験証明よりも準備しやすいことが多いです。

ただし、資格と業種の対応を誤ると、変更届が補正になったり、後任者として認められなかったりする可能性があります。

後任者の資格確認は、変更届作成前に必ず行いましょう。

実務経験で後任者にする場合の注意点


後任者に該当する資格がない場合でも、一定の実務経験で営業所技術者等になれる可能性があります。

ただし、実務経験で証明する場合は、資格で証明する場合よりも確認事項が多くなります。

まず、必要な経験年数を満たしているかを確認します。

一般的には、指定学科の卒業歴がある場合とない場合で必要な実務経験年数が変わることがあります。

また、経験していた工事が、今回担当する許可業種に対応しているかも重要です。

単に建設現場で働いていた期間が長いだけでは足りません。

その経験が、該当する建設業種の工事に関する実務経験である必要があります。

たとえば、退職した技術者が防水工事業を担当していた場合、後任者も防水工事に関する実務経験を証明する必要があります。

内装工事や塗装工事の経験があるだけでは、防水工事業の営業所技術者等として認められるとは限りません。

実務経験で確認する主な資料は、次のようなものです。

・実務経験証明書
・過去の請負契約書
・注文書
・請求書
・工事経歴書
・工事台帳
・元請からの証明資料
・過去勤務先の証明
・卒業証明書
・指定学科が分かる資料
・常勤性確認資料

実務経験証明で特に問題になるのは、過去資料が残っているかどうかです。

10年近い期間の実務経験を証明する場合、古い契約書や注文書、請求書が残っていないことがあります。

また、過去勤務先が廃業している、証明に協力してもらえない、工事内容が不明確というケースもあります。

専任技術者が退職してから実務経験資料を探し始めると、2週間以内の届出に間に合わない可能性があります。

実務経験で後任者を立てる場合は、できるだけ早く資料確認を始めることが重要です。

常勤性の確認も必要


後任者が資格や実務経験を満たしていても、それだけでは営業所技術者等にはなれません。

営業所技術者等は、その営業所に常勤している必要があります。

国土交通省資料では、営業所専任技術者の専任性について、その営業所に常勤し、専らその職務に従事することが必要とされています。また、通勤困難な遠隔地に居住している人、他の営業所で専任を要する人、他の法人の常勤役員である人などは、原則として専任の者とはいえないものとして整理されています。

常勤性で注意すべきなのは、後任者が「会社に関係している」だけでは足りないという点です。

たとえば、次のような場合は注意が必要です。

・他社で常勤勤務している
・他社の常勤役員である
・別営業所の営業所技術者等になっている
・遠方に住んでいて通勤実態が不自然
・非常勤役員である
・業務委託や外注扱いである
・現場専従で営業所勤務の実態が弱い
・社会保険加入状況と勤務実態が合っていない

営業所技術者等は、外部の協力業者や下請職人を形式的に登録すればよいものではありません。

申請会社と継続的な雇用関係または役員関係があり、営業所に常勤している実態が必要です。

常勤性確認で関係しやすい資料は、次のとおりです。

・健康保険・厚生年金保険関係資料
・雇用保険関係資料
・給与台帳
・賃金台帳
・出勤簿
・役員報酬の支払資料
・住民票
・通勤状況が分かる資料
・他社勤務や他社役員との兼務状況が分かる資料

法人役員を営業所技術者等にする場合は、役員報酬や社会保険加入状況も確認されることがあります。

従業員を営業所技術者等にする場合は、雇用関係や社会保険加入状況が重要になります。

後任者の資格や実務経験だけでなく、その人が営業所に常勤していると説明できるかを必ず確認しましょう。

変更届の提出期限は原則2週間以内


専任技術者、現在の営業所技術者等が辞めた場合、営業所技術者等の変更届は原則として事実発生後2週間以内に提出する必要があります。

愛知県では、営業所技術者等の変更は、許可要件に関わる事項として、事実発生後2週間以内の届出事項とされています。

ここでいう事実発生とは、通常、退職日や変更日を指します。

退職者が営業所技術者等でなくなった日を基準に、速やかに後任者の変更届を提出する必要があります。

「退職した月の末まで」

「決算変更届と一緒に」

「更新申請のときにまとめて」

という扱いではありません。

営業所技術者等は許可要件に関わるため、提出期限が短くなっています。

提出方法について、愛知県では許可後の届出について、郵送・投函・窓口での仮受付を行い、仮受付、内容確認、連絡・補正、本受付、副本返却という流れで処理されます。

そのため、書類を出せばその場で完了するというより、提出後の補正対応まで見込んでおく必要があります。

特に、資格証の不備、実務経験資料の不足、常勤性確認資料の不足があると、補正になる可能性があります。

2週間以内の提出期限を考えると、専任技術者の退職が決まった段階で、退職日を待たずに準備を始めるのが安全です。

実務上は、次の流れで進めると整理しやすいです。

  1. 退職予定日を確認する
  2. 退職者が担当している許可業種を確認する
  3. 後任候補者を選定する
  4. 後任者の資格・実務経験を確認する
  5. 後任者の常勤性を確認する
  6. 必要書類を準備する
  7. 退職後、速やかに変更届を提出する
  8. 補正があれば早急に対応する

退職後に初めて後任者を探すのでは、期限内対応が難しくなる可能性があります。

専任技術者が辞める場合は、事前対応が非常に重要です。

後任者がいない場合の対応


専任技術者が辞めたときに最も危険なのは、後任者がいない場合です。

営業所技術者等は、建設業許可の要件そのものです。

そのため、後任者がいない状態で放置すると、許可要件を満たしていない状態になる可能性があります。

愛知県では、営業所技術者等の削除、つまり交替者がいない場合の届出も、事実発生後2週間以内の届出事項として案内されています。

後任者がいない場合、まず確認すべきなのは、退職者が担当していた許可業種を他の営業所技術者等で維持できるかです。

同じ営業所に、同じ業種に対応できる別の資格者・実務経験者がいる場合は、その人を後任者にできる可能性があります。

しかし、誰もいない場合は、その業種について許可を維持できない可能性があります。

この場合、選択肢としては次のような対応が考えられます。

・要件を満たす後任者を採用する
・社内の別の資格者を後任者にする
・実務経験で証明できる人を確認する
・該当業種の一部廃業を検討する
・営業所で扱う業種を減らす
・営業所の廃止を検討する
・許可行政庁や専門家へ相談する

特に注意したいのは、一部廃業です。

退職者が特定の許可業種を担当しており、後任者がいない場合、その業種を維持できない可能性があります。

その場合、許可業種の一部廃業や変更届等の提出が必要になることがあります。

愛知県でも、許可業種の一部を廃業する場合は変更届等の提出が必要と案内されています。

後任者がいないまま受注を続けることは非常に危険です。

特に、500万円以上の工事を請け負う予定がある場合や、元請から許可業種の確認を求められている場合は、許可要件を満たしているかを早急に確認する必要があります。

後任者がいない場合は、自己判断で放置せず、速やかに対応方針を決めることが重要です。

放置すると更新・業種追加にも影響する


専任技術者が辞めたにもかかわらず、変更届を出さずに放置すると、後で大きな問題になる可能性があります。

まず、建設業許可の更新申請で問題になります。

更新申請では、現在も許可要件を満たしているかが確認されます。

その際、営業所技術者等として届け出ている人がすでに退職していた場合、過去にさかのぼって整理が必要になることがあります。

退職日、後任者の有無、後任者の要件、届出漏れの期間などを確認しなければなりません。

更新期限が迫っている状態でこの問題が発覚すると、更新準備が非常に慌ただしくなります。

また、業種追加申請にも影響します。

業種追加では、現在の許可情報が適切に管理されているかを確認されます。

既存の営業所技術者等の変更届が漏れている場合、業種追加の前に変更届を整理する必要が出る可能性があります。

さらに、元請や取引先からの信用にも関わります。

元請は、協力会社登録や工事発注前に、建設業許可の有無、許可業種、営業所技術者等の体制を確認することがあります。

その際、実際には退職している人が許可上の営業所技術者等として残っていると、許可管理が不十分な会社と見られる可能性があります。

営業所技術者等の変更を放置するリスクは、次のとおりです。

・許可要件を欠く可能性がある
・更新申請で補正や追加対応が必要になる
・業種追加申請がスムーズに進まない
・一部廃業が必要になる可能性がある
・元請からの信用に影響する
・過去の届出漏れをまとめて整理する負担が増える
・許可管理が不十分な会社と見られる可能性がある

専任技術者の退職は、退職手続きや社会保険の喪失手続きだけで終わるものではありません。

建設業許可上の届出まで確実に行う必要があります。

まとめ


専任技術者、現在の制度上では営業所技術者等が辞めた場合は、早急な対応が必要です。

営業所技術者等は、建設業許可を維持するための重要な要件です。

そのため、退職したにもかかわらず変更届を出さずに放置すると、許可要件を満たしていない状態になる可能性があります。

まず確認すべきなのは、退職した人がどの営業所で、どの許可業種を担当していたかです。

1人で複数業種を担当していた場合、その人の退職により複数の許可業種に影響することがあります。

後任者がいる場合は、その人が資格または実務経験で担当業種に対応できるかを確認します。

資格で証明する場合は、資格と許可業種の対応関係を確認します。

実務経験で証明する場合は、経験年数、工事内容、証明者、過去の工事資料を確認する必要があります。

さらに、後任者がその営業所に常勤していることも必要です。

他社勤務、他営業所勤務、遠方居住、非常勤、外注扱いなどの場合は、常勤性に問題が出る可能性があります。

愛知県では、営業所技術者等の変更は、事実発生後2週間以内の届出事項とされています。交替者がいない場合の営業所技術者等の削除も、2週間以内の届出事項として整理されています。

後任者がいない場合は、要件を満たす人を採用する、社内の別の資格者を確認する、実務経験で証明できる人を探す、一部廃業を検討するなど、早急に方針を決める必要があります。

専任技術者の退職を放置すると、更新申請や業種追加申請で問題になるだけでなく、元請や取引先からの信用にも影響します。

専任技術者が辞める予定が分かった段階で、退職日、担当業種、後任者、必要書類、届出期限を確認し、建設業許可を維持できる体制を整えておきましょう。

建設業許可の取得・更新でお困りの方へ

「自社でも許可が取れるのか知りたい」「経管・専技の要件が不安」という段階でも構いません。
建設業許可の新規申請・更新・業種追加・事業年度終了届について、
現在の状況を確認したうえで、必要な手続きと費用の目安をご案内します。

新規申請(知事許可)

99,000円~(税込)

更新・業種追加

88,000円~(税込)

事業年度終了届

44,000円~(税込)

※証紙代・実費は別途。正式な費用は事前にお見積もりします。

許可が取れるか不安な段階でも、まずは要件確認からご相談いただけます。

※ご相談のみでも問題ありません。現在の状況をお伺いしたうえで、進め方をご案内します。

サービス内容を詳しく確認したい方は こちら

関連記事

  1. 建設業許可の添付書類の集め方|申請準備の進め方を解説

  2. 建設業許可の申請書類チェックリスト|提出前に確認すべき項目を解説…

  3. 常勤性の証明方法とは?建設業許可で必要な確認資料を解説

  4. 建設業許可の更新を忘れるとどうなる?失効・再申請のリスクを解説

  5. 元請から求められる書類とは?建設業者が準備すべき安全書類・許可関…

  6. 建設業許可の営業所追加届とは?必要書類・提出期限・注意点を徹底解…

  7. 建設業許可の変更届の種類と提出期限|出し忘れを防ぐための基礎知識…

  8. 経管変更手続きの流れとは?建設業許可で必要な対応を解説

PAGE TOP