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フリーランス・個人事業主が契約書でトラブルを防ぐための重要チェックポイント|行政書士が解説

個人事業主・フリーランス向け
契約書の注意点
個人事業主やフリーランスとして働く場合、「契約書を交わすかどうか」はビジネスの安全性を大きく左右します。
SNSやクラウドソーシングの普及で案件の幅が広がる一方、「契約書をよく読まずに署名した」「雛形で済ませてトラブルになった」「そもそも契約書がなかった」などの相談が年々増加しています。
“自分の身は自分で守る”のがフリーランス・個人事業主の鉄則。
本記事では、トラブルを未然に防ぐための契約書の見方・作り方・実務のポイントを、行政書士の視点で徹底解説します。
契約書を結ぶべき理由
~なぜ書面が大切か~

ビジネスの現場では、「言った・言わない」のトラブルや報酬未払い、納品内容を巡る紛争が後を絶ちません。
口頭やメールのやり取りだけだと、後日証拠として立証しきれない場面が多く、最悪の場合、泣き寝入りせざるを得ないことも。
契約書は、「仕事の内容」「納期」「報酬」「責任の所在」を明確にして、万が一の時にも自分を守るための「法的な盾」となります。

  • 受注内容や成果物の認識齟齬を防ぐ
  • 契約不履行時に法的主張の根拠となる
  • 取引先の信用度や業務範囲も明確化できる

どんなに信頼している相手でも、「書面化しない」ことで関係悪化につながるリスクがあることを理解しましょう。

1.業務内容・成果物の範囲を明確に
  • 「業務内容」「成果物」があいまいだと、追加作業や無償対応の要求、品質を巡るトラブルが発生しやすくなります。
  • 何を、いつまでに、どのような形で納品するかをできる限り具体的に記載してください。
  • 成果物が複数ある場合は、納品順序やファイル形式、バージョン管理などの細かい条件も明記しましょう。
  • 参考資料やデザインイメージを契約書に添付することも効果的です。
例:「本業務の成果物は、2025年7月31日までにA4レポート(PDF)2点およびワードファイルで納品するものとする」

納品後の修正対応範囲や追加費用の有無も、できれば明文化しておきましょう。

2.報酬・支払い条件のチェック
  • 「報酬額」「支払方法」「支払期限」は絶対に記載し、不明点は事前に確認すること。
  • 「源泉徴収」「消費税」の有無、経費(交通費・機材費等)の負担者も要確認。
  • 「分割払い」や「前金・着手金」「遅延損害金」についても、トラブル防止のために明記しましょう。
例:「報酬は税抜10万円。納品月の翌月末までに指定口座へ振込むものとし、源泉徴収税額を控除した額を支払う。」

また、入金の遅れが慢性化している業界もあるため、「支払い遅延時の損害金」や「報酬未払い時の対応策」も、できれば入れておくと安全です。

3.著作権・成果物の帰属に注意
  • 成果物(納品物)の著作権・使用権の帰属が曖昧なままだと、後でトラブルになることも。
  • たとえば、「納品したデータの著作権はどちらが持つのか」「二次利用は可能か」などの条件は必ず確認。
  • デザイン・Web・ライティング業務は特に重要で、曖昧にせず条文に落とし込むことが大切です。
例:「本業務における著作権は甲に帰属するが、乙は自身の実績紹介の目的で成果物を利用できるものとする」
4.秘密保持・競業避止義務
  • 業務で知り得た情報の秘密保持(NDA)は原則義務です。
  • また、同業他社への就業・業務提供を制限する競業避止義務条項がある場合も多く、範囲が広すぎる場合はリスクが高くなることも。
  • 競業避止の条件(期間・地域・内容)に納得できなければ、修正・限定を求めましょう。
例:「乙は業務遂行上知り得た秘密情報を、契約期間中および契約終了後2年間、第三者に漏らしてはならない」
5.契約解除・トラブル時の対応
  • 「一方的なキャンセル」「納期遅延時の損害賠償」「契約解除の条件」は必ず確認を。
  • 解除通知の方法や、契約不履行時の違約金・損害賠償の範囲・金額も、双方納得できる内容にしましょう。
  • 「瑕疵担保責任」「損害賠償額の上限」「不可抗力による免責」なども、実務ではよく揉めるポイントです。
例:「いずれかの当事者が契約条項に違反した場合、相手方は書面による通知をもって契約を解除できる」

契約終了時の「納品物の返却」「データ削除」なども、取り決めておくと安心です。

6.電子契約・リモート時代の対応
  • コロナ禍以降、契約締結も電子署名・オンライン化が主流です。
  • 電子契約にも法的効力がありますが、契約内容やデータ管理方法を事前に確認しましょう。
  • 電子署名サービス(クラウドサイン等)を利用する場合、運用ルールや証拠保全の方法も大切です。
例:「本契約は電子署名による合意をもって成立し、紙媒体による原本の作成を要しない」
7.契約書がない場合のリスク
契約書がないと、「言った・言わない」の水掛け論となり、報酬未払い・仕様変更・損害賠償など、証拠不十分で立証が困難になるケースが多発します。
特に新規クライアント・高額案件では、必ず契約書または電子契約を交わす習慣をつけましょう。
【まとめ】自分を守る契約書を
~“ひとり経営”時代の必須知識~
フリーランス・個人事業主にとって、契約書は自分の武器であり防具です。
「雛形で済ませてしまう」「不利な内容をそのまま受け入れる」ことなく、内容を十分に確認し、納得できない部分は修正・交渉・専門家相談を行いましょう。
トラブルを未然に防ぎ、安定した事業運営につなげていくことができます。
当事務所では、フリーランス・個人事業主の方向けの契約書作成・内容チェック・アドバイスを行政書士が丁寧にサポートします。
雛形流用や法的リスクに不安がある方、安心して業務に集中したい方はぜひお気軽にご相談ください。
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