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契約書の保存期間は何年?法律・実務で変わる保存義務と管理方法を徹底解説【行政書士監修】

契約書の保存期間・管理方法の実務解説
契約書は、ビジネス・個人問わず「取引の証拠」や「万一のトラブル時の防御策」として不可欠な書類です。
しかし、日々の業務の中で「契約書の保存期間はいつまで?」「どこまで厳密に保管すべき?」「紙原本とPDF保存、どちらが有効?」など、保存や管理の実務で悩まれる方が多いのも事実です。
本記事では、行政書士が法律・実務双方の観点から、契約書の保存期間・管理方法・現場ノウハウまで詳しく解説します。
契約書の保存期間の原則と「なぜ7年?」
  • 原則:7年間保存(法人税法、所得税法、会社法などに基づく)
  • 個人事業主も、税務調査の観点から最低7年の保存が必要です
  • ただし、不動産・金融・建設業など「10年以上」保管すべき例外分野も多数

  • 会社法では「重要な書類(取締役会議事録・契約書類等)」の10年保存義務(会社法432条等)
消滅時効にも要注意!
債権・債務の時効(5年・10年)を超えて保管することで、将来の訴訟や請求時にも「証拠」として役立ちます。
  • 【実務豆知識】「7年」を超える長期保管が求められるのはどんなとき?
    ・不動産売買や金銭消費貸借など、「長期にわたる契約」「権利義務が続く契約」は、契約終了から10年をひとつの目安に。
主な法律・分野ごとの保存期間一覧
分野・根拠法
法人税法・所得税法
主な保存期間
7年
具体例・備考
見積書・請求書・契約書・帳簿類など
分野・根拠法
会社法(商法)
主な保存期間
7年~10年
具体例・備考
定款・議事録10年、契約書は7年(商法32条等)
分野・根拠法
建設業法
主な保存期間
5年~10年
具体例・備考
完成引渡し日から5年(公共工事等10年推奨)
分野・根拠法
不動産取引
主な保存期間
10年(推奨)
具体例・備考
登記関係・重要事項説明・売買契約書など
分野・根拠法
労働契約書(労基法)
主な保存期間
3年
具体例・備考
雇用関係終了から3年(賃金台帳等は5年)
分野・根拠法
知的財産権・著作権
主な保存期間
権利消滅後も保管推奨
具体例・備考
ライセンス・使用契約など
※契約内容や業界慣行によって例外もあるため、必ず個別にご確認ください。
電子契約・PDFデータ保存の注意点
  • 電子契約(電子署名)やPDF保存も「電子帳簿保存法」の要件を満たせば紙原本と同等に有効
  • 電子保存の場合は「真実性(改ざん防止)」「可視性(印刷可能)」「検索性(索引)」が必須
  • クラウドやサーバー保存では、定期的なバックアップとセキュリティ対策を
  • 元本(紙原本)をスキャン→電子化した場合は、原本廃棄時期に注意(法要件に適合必須)
電子化のポイント:「電子契約締結→即PDFで保存→台帳管理」という流れが主流です。電子契約導入やデータ保存要件についてもご相談ください。
契約書管理の現場実務とノウハウ
  • 【紙の場合】
    • 契約書ファイルを案件ごと・取引先ごとに整理
    • 背表紙・索引ラベルをつけ「満了日」「保存期限」を明記
    • 保管場所は耐火キャビネットやセキュリティエリア推奨
    • 閲覧・持ち出しの履歴管理を徹底し、責任者を明確に
  • 【電子保存の場合】
    • フォルダ階層やファイル名ルールを統一(例:2024_会社名_契約種別.pdf)
    • Excel等で契約管理台帳を作成し、満了日・更新日・保存期間を一覧化
    • 情報漏えい・不正アクセス防止のため、権限管理やパスワード制限も必須
  • 【廃棄処理・満了後】
    • 「保存期間満了+1〜2年」は余裕を持って保管(万一のトラブル対応)
    • 廃棄時はシュレッダー処理やデータ消去など証拠残らない方法を選択
【管理ポイント】台帳管理・保管責任者・廃棄ルールの3点を明文化し、社内ルール化しましょう。
契約書保存に関する「よくある質問(Q&A)」
Q. 保存期間が過ぎた契約書はすぐに廃棄して良い?
A.
万一のトラブル対応や税務調査を想定し「保存期間+2年程度」保管を推奨します。重要な契約や継続的取引の場合は長期保存が安心です。
Q. 電子契約と紙契約、どちらが安全?
A.
電子契約でも、電子署名法や電子帳簿保存法に則れば紙と同等の効力が認められます。ただし、クラウドのセキュリティ対策やデータ消失リスクには要注意です。
Q. どんな契約書も7年でOK?
A.
不動産や金銭消費貸借など、契約終了後も長期に権利義務が残る契約は「10年以上」保管をおすすめします。消滅時効や訴訟リスクも考慮しましょう。
Q. 紛失した場合のリスクは?
A.
証拠力を失い、相手方とのトラブル時に大きな不利益となる可能性があります。契約書は原本・控え双方で管理し、できればスキャン保存も併用しましょう。
まとめ:契約書管理は「予防法務」としての最重要ポイント
  • 契約書は原則7年保存、長期案件や権利関係が続く場合は10年以上を推奨
  • 紙・電子どちらでも実務的な管理体制と台帳がトラブル防止のカギ
  • 保存期間を過ぎたら社内規定に従い適切に廃棄・消去(情報流出防止)
  • 疑問や個別相談があれば、行政書士など専門家へ早めにご相談を
当事務所では、契約書の保存方法・電子化・管理台帳の整備はもちろん、紙・データ双方の運用アドバイスまで実務経験豊富な行政書士がご案内します。
「契約書が多すぎて整理できない」「電子契約の保存方法が不安」「社内ルール作成のコツを知りたい」…など、まずはお気軽にご相談ください。
あなたの大切な契約書管理・コンプライアンス強化を全力でサポートします。

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