専任技術者(営業所技術者等)の実務経験証明書(様式第9号)の書き方を行政書士が解説。10年経験の数え方、工事内容、証明者、裏付け資料を整理し、名古屋・愛知で建設業許可を申請する際の確認ポイントをご案内します。
資格ではなく実務経験で申請したい方へ
10年分の工事経験と証明資料を
行政書士が申請前に整理します
請求書・注文書がそろっていない段階でも構いません。
取得したい業種、経験期間、証明者、手元資料から申請可能性を確認します。
実務経験証明書は書き始める前の整理が重要
建設業許可で、資格ではなく実務経験によって専任技術者の要件を満たす場合は、様式第9号の「実務経験証明書」を作成します。
現在の制度や申請様式では「営業所技術者等」という名称が使われていますが、実務上は今でも「専任技術者」や「専技」と呼ばれることが多いため、この記事では分かりやすさを優先して併記します。
実務経験証明書で重要なのは、書式の空欄を埋めることではありません。
・どの建設業種の許可を取りたいのか
・その業種に該当する工事をいつ経験したのか
・必要な経験年数を満たしているか
・誰がその経験を証明するのか
・経験を確認できる資料が残っているか
これらを先に整理し、実務経験証明書と裏付け資料の内容を一致させる必要があります。
まず資料を確認し、証明できる経験から逆算して書類を組み立てる方が、手戻りを防ぎやすくなります。
専任技術者の役割や資格ルートを含む全体像は、専任技術者(営業所技術者)になれる資格と実務経験で解説しています。
10年の実務経験が必要になるケース
営業所技術者等になる方法は、10年の実務経験だけではありません。
申請する業種に対応した国家資格を持っている場合や、指定学科の卒業歴と一定の実務経験を組み合わせられる場合など、10年より短い経験期間で要件を満たせることがあります。
そのため、最初から10年分の請求書を探し始めるのではなく、保有資格、学歴、取得したい業種を先に確認することが大切です。
資格や学歴による別のルートを使えない場合に、取得したい建設業について原則10年以上の実務経験を証明する方法を検討します。
たとえば、塗装工事業の許可を取りたい場合は、単に建設現場で10年間働いていたというだけでなく、塗装工事に関する実務経験として確認できることが必要です。
内装仕上工事、とび・土工工事、防水工事など、複数の工事を経験している場合も、どの期間をどの業種の経験として使うのかを分けて整理します。
実務経験証明書に記載する内容
実務経験証明書には、主に次の事項を記載します。
・証明者の商号または名称、代表者名
・被証明者の氏名と生年月日
・証明者と被証明者との関係
・使用者の商号または名称
・実務経験の内容
・実務経験を積んだ期間
・経験年数の合計
証明書上の会社名、在籍期間、工事内容、経験期間は、登記事項、在籍資料、請求書、注文書などと整合している必要があります。
転職や法人成りにより複数の会社・事業形態で経験を積んでいる場合は、証明者や使用者ごとに整理します。
会社名が途中で変わっているときは、当時の商号や変更時期も確認します。
工事内容の書き方
「実務経験の内容」には、申請する建設業種との関係が分かる工事を具体的に記載します。
たとえば、内装仕上工事業の経験を証明する場合に「建築工事」「現場作業」「リフォーム工事一式」とだけ書いても、内装仕上工事の経験かどうか判断しにくくなります。
実際の資料に基づき、次のように工事の内容が分かる形へ整理します。
・店舗改装工事に伴うクロス張り・床仕上工事
・共同住宅の居室内装仕上工事
・事務所改修工事に伴う軽量間仕切・天井仕上工事
塗装工事業であれば、建物外壁塗装工事、鉄骨塗装工事など、対象業種との関係が読み取れる表現にします。
ただし、実際の請負内容より詳しく見せるために、事実と異なる工事名を作ってはいけません。
請求書の記載が「工事一式」など曖昧な場合は、対応する見積書、注文書、工事写真などを確認し、事実の範囲内で工事内容を特定します。
経験期間と10年の数え方
実務経験は、対象業種の工事に実際に従事した期間を積み上げて確認します。
同じ期間を複数業種の実務経験として重複計上できるとは限りません。
たとえば、同じ10年間について、塗装工事と内装仕上工事の両方を経験したとする場合でも、工事資料と実際の従事状況から業種ごとに確認する必要があります。
複数の勤務先で経験している場合は、それぞれの期間を合算できる可能性があります。
ただし、期間が重なっている部分を二重に数えず、空白期間や対象外業務の期間を除いて整理します。
経験年数がちょうど10年程度の場合は、資料がない期間などを考慮し、早めに使える期間を確認しておくと安心です。
実務経験を誰に証明してもらうか
実務経験証明書では、経験期間だけでなく、誰が証明者になるかも重要です。
会社員として勤務していた期間は、当時の勤務先が証明者になるのが基本的な考え方です。
複数の会社で経験を積んだ場合は、会社ごとに証明を受けることを検討します。
退職後でも元勤務先に記録が残っていれば、証明を受けられる可能性があります。依頼前に対象業種、期間、工事内容を整理しておきましょう。
元勤務先が廃業している、代表者が交代している、証明を受けにくいといった場合は、申請先の取扱いを確認しながら別の方法を検討します。
証明者について詳しくは、実務経験証明書は誰に証明してもらうのかで整理しています。
実務経験を裏付ける資料
実務経験証明書を作成するだけで、10年の経験が自動的に認められるわけではありません。証明内容を確認できる資料も準備します。
資料の例として、次のようなものがあります。
・工事請負契約書
・注文書、注文請書
・請求書、見積書
・入金を確認できる通帳や取引明細
・工事台帳、工事経歴書
・工事写真、施工資料
・確定申告書、決算書
・在籍や常勤性を確認する資料
必要となる資料や確認方法は、愛知県知事許可か大臣許可か、証明者が許可業者か、個人事業主時代の経験かなどによって変わります。
資料は、量が多ければよいわけではありません。申請業種、工事内容、経験期間、証明者が相互につながっていることが重要です。
注文書、請書、工事写真などの整理方法は、専任技術者の実務経験証明に使える書類で詳しく解説しています。
一人親方・前職の経験を使う場合
一人親方や個人事業主としての経験を使う場合は、勤務先が発行する在籍証明がないため、当時の事業実態と工事実績を資料でつなげていきます。
確定申告書、請求書、注文書、通帳などから、いつ、どの取引先から、どのような工事を請け負っていたのかを確認します。
請求書しか残っていない場合でも、直ちに申請できないと決まるわけではありません。
工事内容や入金との対応が分からない場合は、追加資料を探します。
詳しくは、専任技術者の証明で請求書しかない場合をご覧ください。
前職の経験を使う場合も、取得したい業種と使う期間を決めてから証明を依頼しましょう。
補正や手戻りを防ぐ確認ポイント
実務経験証明で確認しておきたいポイントは次のとおりです。
・申請する建設業種と工事内容が一致しているか
・必要な実務経験年数を満たしているか
・期間を重複して数えていないか
・証明者が経験内容を確認できる立場か
・会社名、在籍期間、工事期間にずれがないか
・証明書と請求書、注文書等の内容が一致しているか
・現在の営業所で常勤できる人か
最初に取得したい業種、候補者の資格・学歴、実際の工事内容を確認すれば、不要な資料収集や作り直しを避けやすくなります。
申請期限が決まっている場合ほど、書類作成より先に、要件を満たすルートと証明可能な期間を確認することが重要です。
行政書士へ依頼するメリット
実務経験証明書は、記載例を見ながら文字を埋めるだけの書類ではありません。
申請業種の選定、資格・学歴ルートの確認、経験期間の計算、証明者の確認、工事資料との照合を一体として進める必要があります。
坂下行政書士事務所では、名古屋市・愛知県の建設業者様を対象に、建設業許可申請の一環として次の内容を確認します。
・取得したい業種と実際の工事内容
・営業所技術者等候補者の資格、学歴、職歴
・実務経験を利用する場合の必要年数
・証明を依頼する会社や証明者
・請求書、注文書、契約書等の使用可能性
・実務経験証明書と申請書類の作成
・愛知県への申請と補正対応
新規申請の行政書士報酬は99,000円~、業種追加は88,000円~です。
いずれも税込で、申請手数料、証明書取得費用等の実費は別途必要です。
資料状況と申請内容を確認し、正式な費用は着手前にお見積もりします。
「経験は10年以上あるが、どの資料を使えばよいか分からない」という段階でも構いません。
まずは取得したい業種、経験した工事、保有資格、手元にある資料をお知らせください。
まとめ
専任技術者(営業所技術者等)の要件を実務経験で満たす場合は、様式第9号の実務経験証明書を作成します。
資格や学歴で要件を満たせる場合もあるため、10年分の資料を集める前に、候補者の資格、学歴、取得したい業種を確認しましょう。
10年の実務経験で申請する場合は、対象業種の工事内容、経験期間、証明者、裏付け資料をそろえ、相互の内容を一致させることが重要です。
「工事一式」としか書かれていない請求書が多い、前職へ証明を頼めるか分からない、一人親方時代の資料が少ないといった場合も、残っている資料から確認できる可能性があります。
自己判断で10年分の書類を作り込む前に、どの経験と資料を使えるか整理すれば、申請準備を進めやすくなります。
坂下行政書士事務所では、実務経験の確認から申請書類の作成、愛知県への提出まで対応しています。
元請から許可取得を求められている場合や、希望時期が決まっている場合は、早めにご相談ください。
実務経験はあるのに証明方法が分からない方へ
書類を書き始める前に
使える経験と資料を確認します
取得したい業種、資格、職歴、手元資料を確認し、
実務経験で申請できる可能性と準備する書類を行政書士が整理します。
SUPPORT 実務経験申請で確認する内容
資料が全部そろっていなくても、手元にあるものから確認できます。
ご相談から建設業許可申請まで
取得したい業種、資格、学歴、職歴、工事資料を確認します。
使える経験期間、証明者、必要書類を整理し、お見積もりをご案内します。
実務経験証明書を含む申請書類を作成し、愛知県への申請を進めます。


