建設業許可の実務経験証明書は本人が証明できる?勤務先・第三者の扱いを解説

建設業許可の実務経験証明書は本人が証明できるのか。個人事業主、会社勤務、元勤務先が廃業した場合に分け、愛知県での証明者の考え方と必要資料を行政書士が解説します。

実務経験証明書は本人が証明できるのか


建設業許可を実務経験で申請しようとしたとき、「実務経験証明書は自分で証明していいのか」と迷う方は少なくありません。

結論からいうと、答えはどの立場で経験を積んだかによって変わります。

会社に勤めていた期間は、原則として当時の勤務先が証明します。一方、一人親方・個人事業主として自分で工事を請け負っていた期間は、事業主本人が証明者となります。

また、勤務先の倒産などで使用者から証明を得られない場合には、別の証明方法を検討することがあります。

大切なのは、証明者の名前を決めることだけではありません。取得したい許可業種、実際に従事した工事、経験期間、手元に残る資料を一致させる必要があります。

この記事では、愛知県知事許可を想定し、証明者を誰にするか迷ったときの考え方を整理します。

会社勤務時代の経験は勤務先が証明する


建設会社の従業員として工事に従事した経験を使う場合、原則として、その期間に雇用していた会社が証明者となります。

現在も勤務している会社だけでなく、退職した会社での経験を使うことも考えられます。その場合は、元勤務先に当時の在籍状況や担当工事を確認してもらい、証明を依頼します。

当時の上司が退職していたり、代表者が交代していたりしても、それだけで過去の経験が使えなくなるとは限りません。会社に記録が残り、現在の代表者が内容を確認できるかを見ていきます。

複数の勤務先で経験を積んだ場合は、勤務先ごとに証明書を分けて、利用できる期間を整理します。

ただし、証明を頼む前にどの許可業種について、何年分の経験が必要なのかを確認することが先です。対象業種や期間を決めずに元勤務先へ依頼すると、後から証明内容を修正してもらうことになりかねません。

一人親方・個人事業主は事業主本人が証明者になる


一人親方や個人事業主として、自ら工事を請け負っていた期間は、会社員時代とは扱いが異なります。

愛知県の建設業許可申請の手引きでは、個人事業主自身の実務経験は、その事業主が証明者となることが示されています。元請会社を必ず証明者にしなければならない、というわけではありません。

たとえば、個人事業主として塗装工事を請け負い、自身も施工に従事していた期間を使う場合には、その自営期間について本人による証明を検討します。後に法人化した場合も、個人事業主だった当時の経験として整理します。

ただし、「自分で証明できる」ことと、「記憶だけで経験が認められる」ことは別です。実際にその業種の工事に従事した期間を、契約書、注文書、請求書、入金記録などと照らして確認します。

会社員だった期間と自営の期間を合わせて使う場合は、会社員時代は使用者、自営期間は事業主本人というように、期間ごとに証明者を分けて考えます。

勤務先が倒産・廃業した場合の第三者証明


「以前の会社がなくなり、証明を頼めない」という相談もあります。その場合でも、すぐに実務経験の利用を諦める必要はありません。

愛知県の手引きでは、使用者が倒産するなど、証明を得られない正当な理由がある場合に、その実務経験を証明できる、現在建設業許可を有する第三者を証明者とする方法が示されています。

第三者であれば誰でもよいわけではありません。当時の工事や本人の従事状況を把握し、証明する内容を理解したうえで引き受けてもらう必要があります。第三者の建設業許可番号と電話番号も記載します。

「前の会社と連絡が取りづらい」「証明を断られそう」という段階で、直ちに第三者証明へ切り替えられると決めつけることもできません。元勤務先の状況、証明を得られない理由、候補となる第三者と工事資料を確認してから進めます。

過去に同じ経験を証明済みの場合


過去の建設業許可申請で、同じ実務経験について証明を受けている場合は、その申請書の副本が手がかりになります。

愛知県の手引きでは、過去に同じ内容で証明を受けた方が改めて申請するとき、申請者本人による証明でも差し支えない場合が示されています。ただし、過去に使ったという理由だけで自動的に認められるわけではなく、業種や経験年数などは再度確認されます。

以前の許可申請書や実務経験証明書の副本が残っているなら、新しく証明者を探し始める前に、その内容を確認しましょう。

「被証明者との関係」欄の考え方


実務経験証明書には、証明者から見た「被証明者との関係」を記載する欄があります。

会社が従業員の経験を証明する場合、一人親方が自身の経験を証明する場合、第三者が証明する場合では、記載する関係が変わります。愛知県の記載例では、「使用人」のほかに「本人」「法人の役員」「元使用人」「第三者(同業者)」などが示されています。

ここで確認するのは、証明者と経験者が実際にどのような関係にあったかです。単に「昔の上司」「知り合い」と書く前に、証明する会社・事業主と本人との関係を整理しましょう。

証明者だけでなく工事資料も確認する


実務経験証明書では、誰が証明するかと同じくらい、何の工事を、いつ、どの立場で行ったかが重要です。

たとえば塗装工事業の許可を取りたいなら、証明しようとする期間に塗装工事へ従事していたことを確認します。工事名が「改修工事一式」だけでは内容が分かりにくい場合もあります。

勤務先の証明や本人の証明があっても、工事内容・期間・在籍状況と資料に食い違いがあれば、追加の確認が必要になります。契約書や注文書が手元にない場合も、何が残っているかを先に洗い出すことが大切です。

注文書や請書などをどう整理するかは、実務経験の証明に使える書類の記事でも解説しています。

証明を依頼する前に相談できること


「前の会社に頼むべきか」「個人事業主時代の経験を使えるか」「会社が廃業していて証明者がいない」。この段階で、すべての資料を揃えてから相談する必要はありません。

弊所ではまず、希望する許可業種、候補者の職歴、自営期間、担当した工事、現在残っている資料を確認します。そのうえで、どの期間を使うか、誰に証明を依頼するか、追加で何を探すかを整理します。

元勤務先や取引先へ何度も証明を頼み直す負担を減らすためにも、先に申請の組み立てを確認することが大切です。

「実務経験はあるが、証明の進め方が分からない」という方は、勤務先・自営の別と、おおよその経験年数だけでもお聞かせください。建設業許可の申請サポートと相談方法は、建設業許可申請サポートでご案内しています。

まとめ


建設業許可の実務経験証明書は、本人が証明できる場合があります。

愛知県知事許可では、個人事業主自身の自営期間は事業主本人が証明者となります。会社勤務時代の経験は原則として当時の使用者が証明し、勤務先の倒産などで証明を得られない場合には、条件に合う第三者による証明を検討します。

過去に同じ経験を証明した申請書の副本が残っている場合も、確認しておきたい資料です。

証明者を決める前に、取得したい許可業種、利用する経験期間、工事内容、手元の資料を整理しましょう。誰に依頼すればよいか分からない段階から、弊所にご相談いただけます。

坂下慶門
執筆・ご相談対応 坂下 慶門 特定行政書士
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