「役員が代表者1人しかいない」「従業員を雇っていない」という小規模法人でも、建設業許可を取得できる可能性はあります。
建設業許可では、会社の人数や規模そのものではなく、常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎、社会保険、営業所などの要件を満たしているかが確認されます。
代表者1人が複数の要件を満たし、必要な経験を資料で証明できれば、役員1人・従業員なしの法人でも申請は可能です。
ただし、家族を役員や従業員として扱う場合や、代表者が現場作業も行う場合には、常勤性や実務経験の整理が重要になります。
役員や従業員の人数だけで判断せず、代表者や家族の経歴、資格、過去の工事資料から申請可能性を確認することが大切です。
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役員1人・従業員なしでも建設業許可は取得できる
建設業許可には、「役員が何人以上必要」「従業員を何人以上雇用していなければならない」といった会社規模に関する一律の要件はありません。
株式会社や合同会社を1人で経営し、代表者自身が現場作業、営業、契約、請求まで行っている会社でも、必要な許可要件を満たせば建設業許可を取得できます。
そのため、「従業員を雇ってからでなければ申請できない」「役員を増やさなければ許可を取れない」と最初から考える必要はありません。
ただし、人数が少ない会社では、代表者が建設業の経営経験と技術者要件の両方を満たす必要があるケースが多くなります。
単に「長年建設業をしている」というだけでなく、どの立場で、何年間、どのような工事を行ってきたかを確認することが重要です。
役員数や従業員数だけで許可取得を諦めるのではなく、代表者の経歴、資格、過去の工事資料、会社の決算内容などから申請可能性を判断します。
小規模法人が確認すべき建設業許可の要件
役員1人の小規模法人であっても、基本的な許可要件は一般の法人と同じです。
主に確認されるのは、次の項目です。
・建設業の経営経験を持つ常勤役員等がいること
・取得する業種に対応した営業所技術者等がいること
・適切な社会保険に加入していること
・請負契約に関して誠実性があること
・一般建設業または特定建設業に必要な財産的基礎があること
・建設業の営業所として使用できる場所があること
・役員等が欠格要件に該当しないこと
小規模法人で特に確認が必要なのが、常勤役員等と営業所技術者等です。
この2つの人的要件を代表者1人で満たせるか、家族を含む別の人で補う必要があるかによって、申請の進め方が変わります。
また、設立直後の法人や赤字決算の法人でも、それだけで申請できないとは限りません。
一般建設業許可の財産的基礎については、直近の貸借対照表だけでなく、金融機関の残高証明書などによって500万円以上の資金調達能力を確認できる場合があります。
会社が小さいことではなく、それぞれの要件を満たし、必要な資料で証明できるかが判断の中心になります。
代表者が常勤役員等と営業所技術者等を兼ねられる場合
役員1人・従業員なしの法人では、代表者が「常勤役員等」と「営業所技術者等」の両方を兼ねる形が考えられます。
常勤役員等については、代表者に建設業を営む会社の役員経験や、個人事業主として建設業を経営してきた経験などがあるかを確認します。
一般的には、建設業に関して5年以上の経営業務管理経験があることが代表的な要件です。
営業所技術者等については、取得を希望する業種に対応した国家資格、指定学科の卒業と一定期間の実務経験、または原則10年以上の実務経験などによって確認します。
代表者が両方の要件を満たし、同じ営業所に常勤している場合は、常勤役員等と営業所技術者等を兼ねられる可能性があります。
したがって、建設業許可を申請するためだけに、役員や従業員を増やさなければならないとは限りません。
ただし、経営経験と技術経験は別々に確認されます。
代表者に十分な現場経験があっても経営経験が不足している場合や、経営経験はあっても取得したい業種の技術者要件を満たしていない場合には、別の対応を検討する必要があります。
代表者が両方を兼ねられるかは、経歴だけでなく、その経歴を裏付ける書類が残っているかまで含めて確認することが重要です。
代表者が現場に出る場合の注意点
小規模な建設会社では、代表者が営業所で契約業務を行いながら、自ら現場作業を担当することも珍しくありません。
ただし、営業所技術者等には、その営業所に常勤し、請負契約の適正な締結や工事の履行を技術面から管理する役割があります。
そのため、遠方の現場に長期間常駐しており、営業所で勤務している実態がない場合には、営業所技術者等の常勤性との関係を確認する必要があります。
現在は、一定の条件を満たす場合に、営業所技術者等が現場の主任技術者等を兼ねられる制度があります。
しかし、すべての現場で自由に兼務できるわけではありません。
工事場所、請負金額、営業所との距離、連絡体制、工事現場の数などを踏まえて、兼務できるかを個別に判断します。
代表者1人で会社を運営している場合は、建設業許可を取得できるかだけでなく、許可取得後の現場配置まで含めて無理のない体制になっているかを確認しておくことが大切です。
従業員がいなくても社会保険の確認は必要
「従業員がいないから社会保険への加入は必要ない」と考えている場合は注意が必要です。
株式会社や合同会社などの法人事業所は、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。
代表者1人だけの会社であっても、役員報酬の支給状況などに応じて加入手続きが必要になることがあります。
建設業許可では、健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、適用事業所に該当する場合には適切に加入していることが求められます。
一方、従業員がおらず、雇用保険の適用対象者がいない場合は、その実態に応じて適用除外として扱われます。
社会保険や雇用保険については、単に「加入しているか」だけでなく、自社がそれぞれの保険の適用対象になるかを確認することが必要です。
社会保険の加入状況に不明点がある場合は、申請直前に慌てないよう、建設業許可の準備段階で確認しておきましょう。
家族経営で家族を役員・従業員にする場合の注意点
夫婦、親子、兄弟などで経営している会社でも、家族であることを理由に建設業許可上の要件が緩和されるわけではありません。
一方で、家族だから要件を満たせないということもありません。
重要なのは、その家族が実際に会社で勤務し、必要な経験や資格を持っているかどうかです。
家族を常勤役員等にする場合は、単に登記上の役員になっているだけでなく、建設業の経営に継続して関与してきた実態が必要です。
役員登記の履歴に加えて、過去の許可関係書類、工事請負契約書、請求書、確定申告書、社会保険関係資料などから、経験期間と勤務実態を確認します。
経理や事務を手伝っていたという事情だけで、直ちに経営業務の管理経験として認められるとは限りません。
どのような立場で、どの程度経営に関与していたかを具体的に整理する必要があります。
また、家族が資格や実務経験を持っている場合は、営業所技術者等になれる可能性があります。
ただし、次のような事情がある場合は、常勤性を慎重に確認しなければなりません。
・他社に常勤している
・別の事業を常時行っている
・営業所から著しく離れた場所に住んでいる
・会社から報酬や給与が支払われていない
・実際には営業所で勤務していない
家族を役員に追加してから申請する場合も、役員に就任しただけで過去の経験が新たに生まれるわけではありません。
就任前を含めた経歴と、その裏付け資料を先に確認することが重要です。
小規模法人が実務経験証明でつまずきやすいケース
小規模法人の建設業許可申請では、要件そのものよりも、過去の経験を証明する資料の整理に時間がかかることがあります。
特に、次のようなケースでは早めの確認が必要です。
・個人事業時代の契約書や請求書を保存していない
・請求書に具体的な工事内容が記載されていない
・一式工事と専門工事の区別が資料から分からない
・入金履歴と請求書の対応関係を確認できない
・家族名義の事業と法人の実績が混在している
・以前勤務していた会社が廃業している
・取得したい業種と過去に行っていた工事の内容が一致しない
たとえば、「リフォーム工事を10年以上行っている」という場合でも、その工事が内装仕上工事、塗装工事、大工工事、管工事などのどの業種に該当するかを資料から判断しなければなりません。
リフォーム工事という名称だけで、希望するすべての業種の実務経験として認められるわけではありません。
最初から取得業種を決め打ちするのではなく、残っている工事資料を確認したうえで、どの業種なら経験を証明しやすいかを検討する方法もあります。
資格証、請求書、契約書、注文書、通帳などが手元にある段階で確認すれば、申請方針を立てやすくなります。
許可取得後も要件を維持できる体制が必要
役員1人の会社では、代表者が常勤役員等と営業所技術者等を兼ねることで許可を取得できる一方、その代表者が要件を満たせなくなった場合の影響が大きくなります。
代表者が退任する、常勤でなくなる、別会社へ常勤する、病気などで長期間勤務できなくなるといった場合、代わりに要件を満たす人がいなければ、許可を維持できなくなる可能性があります。
そのため、現在の代表者1人で申請できる場合でも、将来的な事業承継や人員体制について考えておくことが大切です。
家族経営の場合は、将来的に事業を引き継ぐ家族を役員に入れ、経営経験や資格取得を計画的に積み上げることも考えられます。
また、許可取得後は次のような手続きも必要です。
・毎事業年度終了後の事業年度終了届
・役員や商号などを変更した場合の変更届
・常勤役員等や営業所技術者等を変更した場合の届出
・営業所を移転、追加または廃止した場合の届出
・5年ごとの建設業許可更新
許可を取得した後も、要件を維持しながら必要な届出を継続することが重要です。
申請前に確認しておきたい資料
役員1人の法人や家族経営の会社が建設業許可を検討する場合は、まず次のような資料を確認します。
・会社の履歴事項全部証明書と定款
・代表者や家族役員の職歴・役員歴が分かる資料
・過去の建設業許可通知書や変更届
・国家資格者証、卒業証明書、成績証明書
・工事請負契約書、注文書、請求書、入金記録
・直近の決算書や金融機関の残高証明書
・健康保険、厚生年金保険、雇用保険の加入状況が分かる資料
・営業所の賃貸借契約書、写真、使用権限が分かる資料
最初からすべての資料がそろっていなくても、別の資料で補える可能性があります。
特に過去の経験資料は、処分した後で再取得できないものもあります。申請可能性を確認するまでは、契約書、注文書、請求書、通帳などを残しておきましょう。
代表者1人で要件を満たせるか、家族を要件者として申請できるかは、会社ごとの経歴と保有資料によって判断が変わります。
法人設立や役員変更を先に進める前に、現在の体制で申請できるかを確認しておけば、不要な手続きや待機期間を防ぎやすくなります。
愛知県・名古屋市の小規模法人による建設業許可申請を支援
弊所では、愛知県・名古屋市の小規模法人や家族経営の建設会社を対象に、建設業許可の取得可能性を確認し、必要な申請手続きを支援しています。
ご相談では、役員や従業員の人数だけで判断するのではなく、次の点を確認します。
・代表者の経営経験
・取得したい建設業種
・保有資格と実務経験
・過去の工事資料
・家族役員や家族従業員の勤務状況
・社会保険の加入状況
・会社の財産状況
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代表者が常勤役員等と営業所技術者等を兼ねられるか、家族を要件者にできるか、どの業種なら実務経験を証明できるかを整理したうえで、申請方針をご案内します。
「役員が自分1人しかいない」「従業員を雇っていない」「家族に資格者がいるが申請に使えるか分からない」という段階でもご相談いただけます。
役員追加や法人設立などを先に進める前に、現在の体制と資料で許可を取得できるか確認することが大切です。
まとめ
役員1人・従業員なしの小規模法人や家族経営の会社でも、建設業許可を取得することは可能です。
会社の人数よりも、常勤役員等と営業所技術者等の要件を誰が満たすのか、その経験や常勤性を資料で証明できるかが重要になります。
代表者が両方の要件を兼ねられるケースもありますが、取得したい業種、過去の経営経験、資格・実務経験、現場への出方、社会保険の加入状況などをまとめて確認しなければなりません。
家族を要件者にする場合も、家族関係だけで判断されるのではなく、実際の勤務状況、役員経験、資格、実務経験が確認されます。
また、代表者1人に許可要件が集中する場合は、許可取得後の要件維持や将来の事業承継も考えておくことが大切です。
愛知県・名古屋市で、役員1人・従業員なしの法人による建設業許可申請を検討している方は、現在の役員構成、代表者の経歴、資格、過去の工事資料をご用意のうえ、弊所へご相談ください。
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