有給休暇を消化して退職する場合の退職届の書き方を行政書士が解説します。退職日・最終出勤日・有給取得期間の違い、退職届への記載例、有給日数が足りない場合、会社に伝えにくいときの内容証明による通知方法まで説明します。
有給休暇を使って退職したい方へ
有給を使ってそのまま出社せずに、
退職手続きを進めたい方へ
「退職日をいつにすればよいか分からない」「会社に有給を伝えるのが不安」という段階でもご相談いただけます。
有給残日数や雇用契約を確認し、内容証明による退職通知で進められるかをご案内します。
ご相談のみでも問題ありません。有給残日数や退職希望日が分かる範囲でお聞かせください。
有給消化して退職する場合の退職届の書き方
退職を考えている方の中には、残っている有給休暇を使い切ってから辞めたいと考えている方も多いでしょう。
「退職を伝えた後は会社へ行きたくない」
「上司と顔を合わせずに退職日を迎えたい」
「残っている有給休暇を無駄にしたくない」
このような場合は、最終出勤を終えた後、退職日まで年次有給休暇を取得する方法があります。
退職予定者であっても、在籍中であれば年次有給休暇を取得できます。
ただし、有給消化を希望する場合は、退職届に退職日だけを書けばよいとは限りません。
有給休暇をいつから取得するのか、何日取得するのか、最終出勤日はいつになるのかを整理し、会社へ明確に伝える必要があります。
「残っている有給を全部使います」とだけ伝えると、会社との間で有給日数や退職日の認識が食い違う可能性があります。
有給消化して退職する場合は、退職日、有給取得期間、有給残日数を確認したうえで、退職届や有給休暇申請書を作成しましょう。
退職届と有給休暇申請書は別にするべきか
退職届と有給休暇の申請は、必ず一つの文書にまとめなければならないわけではありません。
退職届には退職する意思と退職日を記載し、有給休暇については会社所定の申請書や勤怠管理システムから別に申請する方法があります。
一方で、退職届と有給取得希望を一つの文書にまとめ、「退職届兼年次有給休暇取得申請書」として提出する方法もあります。
どちらの方法を選ぶかは、会社の就業規則や申請方法、会社との関係によって異なります。
通常どおり会社とやり取りができる場合は、退職届と会社所定の有給休暇申請書をそれぞれ提出する方法が分かりやすいでしょう。
会社へ直接提出することが難しい場合や、退職の意思と有給取得希望を同時に記録として残したい場合は、一つの文書にまとめることも考えられます。
重要なのは、書類の名称ではありません。
次の事項が明確になっていることが大切です。
- 退職する意思
- 具体的な退職日
- 有給休暇を取得する期間
- 取得を希望する有給休暇の日数
- 通知年月日
- 会社名と本人の氏名
会社に所定の有給申請方法がある場合は、その方法も確認したうえで進めましょう。
有給消化を記載した退職届の例文
退職届と有給休暇の申請を一つの文書にまとめる場合は、次のような文面が考えられます。
退職届兼年次有給休暇取得申請書
私儀
一身上の都合により、令和○年○月○日をもって退職いたします。
つきましては、令和○年○月○日から同年○月○日までの
所定労働日○日について、年次有給休暇を取得します。
令和○年○月○日
○○部○○課
氏名 ○○○○
株式会社○○○○
代表取締役 ○○○○ 様
退職理由は、自己都合退職であれば「一身上の都合」と簡潔に記載できます。
会社への不満や退職に至った経緯を、退職届に詳しく書く必要はありません。
有給休暇については、取得する期間と日数をできるだけ具体的に記載します。
有給残日数が正確に分からない場合は、会社に残日数を確認してから日付を決める方法があります。
会社へ確認することが難しい場合は、給与明細、勤怠管理システム、有給休暇管理簿など、手元で確認できる資料を探しましょう。
なお、会社所定の有給休暇申請書を別に提出する場合は、退職届に有給取得の記載を入れず、申請書側に取得日を記載することもできます。
最終出勤日・有給開始日・退職日の違い
有給消化して退職する場合は、最終出勤日と退職日が異なります。
最終出勤日は、実際に会社へ出勤する最後の日です。
有給開始日は、年次有給休暇の取得を始める日です。
退職日は、会社との雇用関係が終了する日です。
たとえば、次のような日程が考えられます。
- 3月10日:最終出勤日
- 3月11日:有給休暇の取得開始
- 3月31日:退職日
この場合、3月11日から3月31日までのすべての日に有給休暇を使うわけではありません。
有給休暇を取得するのは、その期間中の所定労働日です。
土日祝日が会社の休日であれば、休日に有給休暇を充てる必要はありません。
シフト制の場合は、勤務予定日や所定労働日を確認して、有給取得日数を計算します。
また、有給消化中も退職日までは会社に在籍しています。
そのため、有給休暇の取得期間が終わった日ではなく、雇用関係を終了させる日を退職日として記載します。
この三つの日付を混同すると、有給日数が足りなくなったり、退職日が想定より早くなったりする可能性があります。
退職日を決める前に有給残日数を確認する
退職日を決める前に、有給休暇が何日残っているかを確認しましょう。
有給残日数を確認せずに退職日を決めると、退職日までの所定労働日数に対して、有給休暇が不足することがあります。
確認するポイントは次のとおりです。
- 現在の有給残日数
- 次回の有給付与日
- 退職日までの所定労働日数
- すでに申請している有給休暇
- 会社の休日やシフト
- 最終出勤日
有給休暇は、退職した後に取得することはできません。
残っている有給休暇を使いたい場合は、退職日までの所定労働日に取得する必要があります。
また、期間の定めのない雇用契約では、原則として退職の申入れから2週間が経過すると雇用契約が終了します。
一方、雇用契約に期間の定めがある場合は、契約期間中の退職について別の確認が必要になることがあります。
正社員、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトという名称だけで判断せず、雇用契約書や労働条件通知書に契約期間が記載されているか確認しましょう。
有給日数が足りない場合の考え方
退職日までの所定労働日数より、有給残日数が少ないこともあります。
たとえば、退職日までの所定労働日が10日あるのに、有給休暇が5日しか残っていない場合です。
この場合、すべての所定労働日を有給休暇として休むことはできません。
有給休暇で足りない期間については、次のような方法が考えられます。
- 有給休暇に入る前に出勤する
- 退職日を調整する
- 会社と合意して早い日を退職日とする
- 有給休暇で足りない期間を欠勤扱いとする
会社へ行くことが難しい場合は、有給休暇で足りない期間を欠勤として扱うよう通知することもあります。
ただし、何も伝えずに出勤しなくなると、会社から安否確認の電話が来たり、家族や緊急連絡先へ連絡されたりする可能性があります。
欠勤する場合であっても、無断欠勤の状態にせず、退職日まで出勤できないことを文書で明確に伝えることが大切です。
有給日数が不明な場合は、すべての期間を有給休暇と断定せず、会社が管理する残日数と照合することも検討します。
会社から有給消化を拒否された場合
退職前に有給休暇を取得しようとすると、会社から次のように言われることがあります。
「退職する人に有給は使わせない」
「人手が足りないから認められない」
「引継ぎが終わるまで有給にはできない」
「有給を取るなら退職日を変更してほしい」
会社には、年次有給休暇を別の日へ変更できる時季変更権があります。
ただし、時季変更権は会社が自由に有給休暇を拒否できる制度ではありません。
また、退職日が確定している場合、会社は退職日より後の日へ有給休暇の時季を変更できません。
そのため、退職日までの所定労働日に年次有給休暇を取得する意思を、日付を明確にして伝えることが重要です。
会社から有給を認めないと言われた場合は、すぐに感情的な返信をするのではなく、次の点を整理しましょう。
- 退職日はいつか
- 有給休暇を取得する日はいつか
- 有給残日数は何日か
- 会社へ有給取得希望をいつ伝えたか
- 有給申請の記録が残っているか
電話だけでやり取りすると、後から何を伝えたのか確認しにくくなります。
メールや書面など、記録が残る方法で退職日と有給取得希望を伝えると整理しやすくなります。
会社へ直接提出できない場合は内容証明で通知する
通常どおり会社へ退職届を提出できる場合は、必ずしも内容証明郵便を利用する必要はありません。
しかし、次のような場合は、内容証明による通知が選択肢になります。
- 退職届を受け取ってもらえない
- 会社へ行くことが精神的に難しい
- 上司に強く引き止められている
- 退職の意思を伝えても無視されている
- 会社と電話や対面で話したくない
- 退職意思と有給取得希望を記録に残したい
内容証明郵便を利用すると、どのような内容の文書を、いつ、誰から誰宛てに差し出したのかを記録として残せます。
さらに配達証明を付けることで、会社へ文書が配達された事実も確認できます。
内容証明では、退職の意思や有給取得希望だけでなく、退職日、今後の連絡方法、貸与品の返却方法、退職書類の送付依頼などを一つの文書にまとめることができます。
内容証明を利用する場合は、発送日ではなく、会社に文書が到達する日も考慮して退職日を設定しましょう。
内容証明に有給取得希望を記載する例文
会社へ退職意思と有給取得希望を内容証明で通知する場合は、次のような文章が考えられます。
私は、貴社との間の雇用契約について、本書をもって退職する意思を通知します。
退職日は、令和○年○月○日とします。
本書到達日の翌日から退職日までの所定労働日について、残存する年次有給休暇を取得します。
年次有給休暇だけでは退職日までの日数を充足しない場合は、その余の期間を欠勤として取り扱ってください。
今後の退職手続きに関するご連絡は、記録保持のため、書面またはメールでお願いします。
有給残日数が分かっている場合は、有給を取得する具体的な期間や日数を記載することもできます。
一方、有給残日数が分からない場合は、誤った日数を断定しないよう注意が必要です。
また、会社への不満や過去の出来事を長く書く必要はありません。
内容証明の目的は会社を責めることではなく、退職の意思、退職日、有給取得希望、今後の手続きを明確にすることです。
貸与品の返却と退職書類の送付依頼
有給消化に入った後、そのまま会社へ出勤せずに退職日を迎える場合は、貸与品の返却方法も整理しておきましょう。
返却が必要になる可能性があるものには、次のような物があります。
- 社員証や入館証
- 制服や作業着
- 会社の鍵
- パソコンやスマートフォン
- 業務に関する書類
- その他会社から借りている物
必ず会社へ持参しなければならないとは限りません。
会社へ行くことが難しい場合は、宅配便やレターパックなど、追跡できる方法で返却できます。
発送日、追跡番号、返却物の一覧を記録しておくと安心です。
内容証明郵便には、貸与品や別の書類を同封できないため、貸与品は別便で発送します。
退職後に必要となる書類についても、内容証明の中で送付を依頼できます。
離職票、源泉徴収票その他の退職関係書類については、準備が整い次第、下記住所へ郵送してください。
退職前に返却方法と書類の送付先を明確にしておくことで、退職後の連絡を減らしやすくなります。
行政書士に退職通知書の作成を依頼する場合
有給消化を伴う退職通知では、単に「有給を使って辞めます」と書くだけでは足りないことがあります。
退職日、有給開始日、所定労働日、有給残日数、欠勤期間、貸与品、必要書類などを整理して文面を作る必要があります。
特に、次のような場合は個別の状況確認が重要です。
- 有給を使って明日から出社したくない
- 有給残日数が分からない
- 有給だけでは退職日までの日数が足りない
- 会社から有給を認めないと言われている
- 雇用契約に期間の定めがある
- 会社から何度も電話が来ている
- 会社へ直接退職届を提出できない
行政書士に依頼することで、現在の勤務状況や退職希望日を確認したうえで、退職意思、有給取得希望、今後の連絡方法、貸与品の返却、必要書類の送付依頼などを文書として整理できます。
当事務所では、内容証明による退職通知書の作成から発送まで対応しています。
「有給を何日使えるか分からない」「今の状態でも進められるか確認したい」という段階でも問題ありません。
まずは、雇用契約、有給残日数、退職希望日など、分かる範囲で現在の状況をお聞かせください。
まとめ
有給消化して退職する場合は、退職届に退職日を記載するだけでなく、有給取得期間と有給日数を整理することが重要です。
最終出勤日、有給開始日、退職日はそれぞれ異なります。
有給休暇を取得するのは、最終出勤日の翌日から退職日までのすべての日ではなく、その期間中の所定労働日です。
退職届と有給休暇申請書は、別々に提出することも、一つの文書にまとめることもできます。
会社所定の申請方法がある場合は、その方法を確認しましょう。
また、退職予定者であっても、在籍中であれば年次有給休暇を取得できます。
会社には時季変更権がありますが、退職日より後の日へ有給休暇の時季を変更することはできません。
会社へ直接退職届を提出することが難しい場合は、退職意思と有給取得希望を内容証明郵便で通知する方法があります。
「有給を使ってそのまま退職したい」
「会社へ行かずに退職日を迎えたい」
「退職日と有給取得期間をどう決めればよいか分からない」
このような場合は、文書を送る前に、有給残日数、所定労働日、退職希望日、雇用契約の期間を整理しておきましょう。
必要な事項を文書で明確にすることで、会社との認識の違いを減らし、退職手続きを進めやすくなります。
有給休暇を使って退職したい方へ
有給を使ってそのまま出社せずに、
退職手続きを進めたい方へ
有給残日数、退職希望日、雇用契約、貸与品などを確認し、退職に必要な事項を文書で整理します。
会社に有給取得希望を直接伝えるのが不安な段階でもご相談いただけます。
ご相談のみでも問題ありません。内容をご確認いただいたうえで正式にご依頼いただけます。
ご相談から退職通知の発送まで
雇用契約、有給残日数、最終出勤日、退職希望日などをお伺いします。
内容証明による退職通知で進められるかを確認し、料金をご案内します。
退職日、有給取得希望、連絡方法、貸与品、必要書類などを整理します。
作成した退職通知書を会社へ発送し、発送後の確認事項もご案内します。
※ご相談内容を確認したうえで、内容証明による退職通知として進められる方法をご案内します。


