建設業許可における常勤役員について解説します。経営業務管理責任者との関係、常勤の意味、非常勤役員との違い、常勤確認資料、よくある不許可事例までわかりやすく説明します。
常勤役員とは
建設業許可の相談を受けていると、「経営業務管理責任者」という言葉は知っていても、「常勤役員」についてはよく分からないという方が少なくありません。
しかし、建設業許可を取得するうえで常勤役員は非常に重要な存在です。
現在の建設業許可制度では、営業所において適切な経営体制が確保されていることが求められています。その中心となるのが常勤役員です。
簡単に言えば、会社の経営に継続的に関与し、日常的に経営判断を行う立場の役員を指します。
単に役員として登記されているだけでは足りません。
実際に営業所へ常勤し、会社経営に携わっていることが求められます。
そのため、建設業許可申請では役員であることだけでなく、「常勤しているかどうか」が重要な審査ポイントになります。
なぜ建設業許可で常勤役員が必要なのか
建設工事は契約金額が大きく、工事期間も長期にわたることがあります。
工事が始まれば、資材の手配や人員配置、下請業者との調整、資金繰りなど、さまざまな経営判断が必要になります。
そのため建設業法では、適切な経営経験を持つ者が営業所に常駐し、経営を管理できる体制を求めています。
もし経営者が会社にほとんど来ない状態であれば、トラブルが発生した際に迅速な対応ができません。
また、発注者から見ても、責任を持って経営を行う人物が存在していることは重要です。
こうした理由から、建設業許可では常勤役員という考え方が設けられています。
経営業務管理責任者との関係
常勤役員という言葉が出てくると、多くの方が経営業務管理責任者との違いに疑問を持ちます。
実際には、この二つは密接に関係しています。
現在の建設業許可制度では、経営業務管理責任者として認められるためには、原則として常勤役員であることが必要です。
つまり、
経営経験がある
↓
役員である
↓
常勤している
という条件を満たして初めて経営業務管理責任者として認められる可能性があります。
そのため、経営業務管理責任者の要件を確認する際には、経験年数だけでなく常勤性の確認も同時に行われます。
常勤と非常勤の違い
建設業許可でいう常勤とは、単に会社へたまに来るという意味ではありません。
営業所において継続的に勤務し、通常の勤務時間中に経営業務へ従事している状態を指します。
一方で非常勤役員は、取締役として登記されていても日常的な勤務を行っていない役員です。
株主として会社経営に関与していても、営業所へ出勤していないのであれば常勤とは認められません。
実際には、
- 名前だけ役員になっている
- 親族だから役員にしている
というケースもありますが、それだけでは建設業許可の常勤役員にはなれません。
重要なのは実態です。
どのような人が常勤役員になれるのか
株式会社であれば代表取締役や取締役、合同会社であれば代表社員や業務執行社員が対象になることが一般的です。
一人会社の場合は、代表者自身が常勤役員になるケースがほとんどです。
また、家族経営の会社では配偶者や子どもが役員になっていることもあります。
ただし、役員であることと常勤役員として認められることは別問題です。
登記上の役員であっても、他社でフルタイム勤務している場合などは常勤性が認められない可能性があります。
そのため、肩書だけではなく勤務実態が重要になります。
常勤性はどのように確認されるのか
建設業許可申請では、常勤していることを客観的な資料によって確認します。
その際に確認されることが多いのが健康保険や厚生年金の加入状況です。
また、住民票や役員変更登記の内容なども確認資料として利用されることがあります。
行政庁が見ているのは、本当にその営業所で働いているのかという点です。
そのため、形式的に役員になっているだけでは十分ではありません。
常勤確認は経営業務管理責任者だけでなく、専任技術者の確認でも重要なポイントになります。
他社勤務がある場合の注意点
建設業許可申請で特に問題になりやすいのが他社勤務です。
例えば、A社の常勤役員として申請しようとしている人が、同時にB社でもフルタイム勤務している場合があります。
このようなケースでは、どちらの会社に常勤しているのかという問題が生じます。
実際の申請でも、
- 社会保険の加入先
- 勤務実態
- 給与支払状況
などから確認されることがあります。
常勤役員は営業所に常駐して経営を行うことが前提ですので、他社勤務との両立には慎重な判断が必要です。
法人成りや親族会社でよくある問題
一人親方から法人成りした場合や親族会社では、常勤役員の考え方で悩むことがあります。
特に多いのが、
- 以前は個人事業主だった
- 親族が役員になっている
- 別会社も経営している
といったケースです。
建設業許可では、形式的な役員就任ではなく、現在の勤務実態が確認されます。
そのため、法人成りしたばかりの会社では、役員構成や社会保険加入状況を整理しておくことが重要になります。
建設業許可でよくある補正事例
常勤役員に関する補正は決して珍しくありません。
実際には経営経験そのものよりも、常勤性の説明で補正になるケースが多く見られます。
特に、
- 他社との兼職が疑われる
- 社会保険の状況が不明確
- 役員就任時期が確認できない
といったケースでは追加資料を求められることがあります。
申請する側としては問題ないと思っていても、行政庁から見ると確認が必要なこともあります。
そのため、申請前に常勤確認資料を整理しておくことが重要です。
まとめ
常勤役員とは、営業所において継続的に勤務し、会社の経営業務を管理する役員のことを指します。
建設業許可では、経営業務管理責任者の要件を満たすうえでも重要な位置付けとなっています。
単に役員として登記されているだけでは足りず、
- 実際に勤務していること
- 他社との兼職に問題がないこと
- 常勤性を証明できること
が求められます。
特に近年は常勤確認が厳格化される傾向もあるため、申請前に勤務実態や社会保険加入状況を整理しておくことが大切です。
経営業務管理責任者の経験年数ばかりに目が向きがちですが、常勤役員として認められるかどうかも建設業許可取得の重要なポイントと言えるでしょう。
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