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建設業法の書類保存期間とは?帳簿・契約書・施工体制台帳の保存ルールを解説

建設業法で求められる書類保存期間について解説します。帳簿、契約書、施工体制台帳、施工体系図、完成図、打合せ記録など、建設業許可業者が保存すべき書類と保存期間をわかりやすく説明します。

建設業法では書類保存が義務付けられている


建設業許可を取得した会社には、取得後にもさまざまな管理義務があります。

決算変更届や更新申請、変更届などは比較的意識されやすい手続きですが、日常業務の中で見落とされやすいのが書類保存期間です。

建設業法では、建設業者に対して帳簿や営業に関する図書を一定期間保存する義務を定めています。

これは、単に役所へ提出するための書類を残しておけばよいという話ではありません。

工事ごとの契約内容、施工体制、引渡し、下請関係、発注者との打合せ内容などを後から確認できる状態にしておくことが求められます。

建設工事は、契約金額が大きく、工期も長く、工事完了後に不具合や代金トラブルが発生することもあります。

そのような場面で、契約書や工事関係書類が残っていなければ、会社として適切な説明ができません。

書類保存義務は、法令遵守のためだけでなく、建設会社自身を守るための重要な管理体制でもあります。

保存が必要になる主な書類


建設業法上、保存が問題になる書類には大きく分けて、帳簿、帳簿の添付書類、営業に関する図書があります。

帳簿とは、工事ごとの契約内容や注文者、工事名、工事場所、工期、請負代金、完成検査や引渡しに関する事項などを記録するものです。

会社によっては、工事台帳や案件管理表のような形で管理していることもあります。

帳簿の添付書類としては、契約書、注文書、注文請書、請負代金の支払関係資料、施工体制台帳の一部などが関係します。

営業に関する図書には、完成図、発注者との打合せ記録、施工体系図などが含まれます。

これらはすべて同じ保存期間ではありません。

5年保存でよいものもあれば、10年保存が必要になるものもあります。

そのため、建設会社では「工事書類は全部同じ期間だけ保管すればよい」と考えるのではなく、書類の種類ごとに保存期間を整理しておくことが重要です。

帳簿の保存期間は原則5年


建設業法上の帳簿は、原則として5年間保存する必要があります。

保存期間の起算点は、工事目的物の引渡しをした日を基準に考えるのが基本です。

契約日や請求日を基準にしてしまうと、保存期間の判断を誤るおそれがあります。

特に工期が長い工事では、契約日から引渡し日まで数か月以上離れることもあります。

そのため、保存期間を管理する際は、工事完了日や引渡日を正確に把握しておくことが大切です。

ただし、すべての帳簿が5年で処分できるわけではありません。

発注者と締結した住宅を新築する建設工事に関する帳簿については、10年間保存しなければならない場合があります。

住宅新築工事では、引渡し後に不具合や瑕疵の問題が発生することもあるため、長期間にわたって契約内容や施工内容を確認できるようにしておく必要があります。

帳簿を一律5年で廃棄する運用にしている会社は注意が必要です。

契約書・注文書・注文請書の保存


建設業では、契約書、注文書、注文請書の保存が非常に重要です。

建設業法では、建設工事の請負契約について書面化が求められており、その書面は後から確認できるよう保存しておく必要があります。

契約書が残っていないと、工事範囲、請負金額、支払条件、工期、追加工事の有無などを証明することが難しくなります。

特に下請工事では、注文書や注文請書だけで契約を進めることも多くあります。

この場合でも、工事名、工事内容、金額、工期、支払条件などが分かる形で保存しておくことが重要です。

紙で受け取った書類を現場担当者だけが保管していたり、メール添付の注文書が担当者のパソコンにだけ残っていたりすると、後から会社として確認できなくなることがあります。

契約関係書類は、経理資料としてだけでなく、建設業法上の帳簿添付書類としての意味もあります。

請求書や入金記録とあわせて、工事ごとに紐づけて保存しておくと、更新申請、経営事項審査、元請からの確認、トラブル対応の際にも役立ちます。

施工体制台帳の保存期間


一定規模以上の工事や公共工事では、施工体制台帳の作成が必要になる場合があります。

施工体制台帳は、元請業者、下請業者、再下請業者、配置技術者、施工範囲などを整理する重要な書類です。

施工体制台帳を作成した場合、その内容を工事期間中だけ管理していればよいわけではありません。

工事目的物の引渡し後も、一定期間保存する必要があります。

施工体制台帳は、帳簿の添付書類として、引渡し後5年間保存する必要があります。

現場が終わったからといって、施工体制台帳や再下請負通知書をすぐに処分してしまうと、後日確認を求められた際に対応できません。

特に公共工事や大型民間工事では、施工体制の適正性が重要視されます。

下請構造、主任技術者・監理技術者の配置、社会保険加入状況などを確認するためにも、施工体制台帳は適切に保存しておく必要があります。

施工体系図や完成図は10年保存に注意


施工体制台帳と混同されやすい書類に施工体系図があります。

施工体系図は、元請から下請、再下請までの施工分担関係を図で示したものです。

施工体制台帳は5年保存が基本ですが、施工体系図は営業に関する図書として10年間保存する必要があります。

この違いは非常に重要です。

施工体制台帳と施工体系図を同じファイルで管理している会社では、5年経過時にまとめて処分してしまうリスクがあります。

しかし、施工体系図は10年保存が必要です。

また、営業に関する図書として、完成図や発注者との打合せ記録も10年間保存の対象になります。

完成図は、工事完成後の状態を示す重要資料です。

発注者との打合せ記録は、仕様変更、施工方法、追加工事、引渡し条件などの確認資料になります。

工事完了後に不具合や認識違いが生じた場合、これらの図書が残っているかどうかで対応力が大きく変わります。

元請として発注者から直接工事を請け負う会社は、特に10年保存の書類を意識して管理する必要があります。

税務書類の保存期間と混同しない


建設業法の書類保存期間でよくある誤解が、税務書類の保存期間と混同してしまうことです。

会社では、税理士の指導により決算書、総勘定元帳、請求書、領収書などを税務上の保存期間に従って保管していることが多いでしょう。

しかし、建設業法上の保存義務は、税務上の保存義務とは目的が異なります。

税務書類は税務申告や税務調査への対応を目的とします。

一方、建設業法上の書類保存は、建設工事の適正な施工、契約内容の明確化、施工体制の確認、発注者保護などを目的とします。

そのため、税務上は保存しているつもりでも、建設業法上必要な書類が不足していることがあります。

工事経歴、契約書、注文請書、完成図、打合せ記録、施工体系図などは、単なる経理資料とは異なります。

建設会社では、税務保存と建設業法保存を分けて考え、工事ごとに必要書類を整理しておくことが大切です。

電子データで保存する場合の注意点


近年は、契約書や工事資料を電子データで保存する会社も増えています。

PDF化した契約書、メールで受領した注文書、クラウド上の完成図、チャットでの打合せ記録など、工事資料の形も多様化しています。

電子保存自体は実務上有効な管理方法ですが、重要なのは後から確認できる状態にしておくことです。

単にデータがどこかに残っているだけでは不十分です。

工事名、発注者名、工期、現場名、書類の種類などで検索できるように整理しておく必要があります。

ファイル名が「契約書.pdf」「見積書.pdf」だけでは、数年後にどの工事の資料か分からなくなる可能性があります。

電子データで保存する場合は、年度、工事名、取引先名、書類名を含めたファイル名にするなど、社内ルールを決めておくとよいでしょう。

また、担当者の個人パソコンや個人メールにだけ保存されている状態は避けるべきです。

退職や端末故障により資料が失われるリスクがあります。

会社として共有フォルダやクラウドを活用し、バックアップ体制も整えておくことが重要です。

保存期間を守らない場合のリスク


書類保存期間を守らない場合、行政庁からの確認や元請からの調査に対応できなくなるリスクがあります。

直ちに許可取消しになるというものではありませんが、法令遵守体制に問題があると判断される可能性があります。

また、工事代金の未回収、追加工事代金の争い、施工不良の指摘、下請業者との精算トラブルなどが発生した場合、書類が残っていなければ自社の主張を裏付けることが難しくなります。

建設工事では、トラブルが工事完了後しばらく経ってから発生することもあります。

そのときに契約書、打合せ記録、完成図、施工体制台帳などが残っているかどうかは非常に重要です。

さらに、経営事項審査や公共工事、元請の協力会社審査では、書類管理体制を確認されることがあります。

書類保存ができていない会社は、事務管理が弱い会社と見られる可能性もあります。

保存期間を守ることは、行政対応だけでなく、取引上の信用を守ることにもつながります。

まとめ


建設業法では、建設業者に対して帳簿や営業に関する図書の保存義務が定められています。

帳簿や契約書、注文書、注文請書、施工体制台帳などは、原則として工事目的物の引渡し後5年間保存する必要があります。

一方で、施工体系図、完成図、発注者との打合せ記録などの営業に関する図書は10年間保存が必要です。

また、発注者と締結した新築住宅工事に関する帳簿についても10年間の保存が必要になる場合があります。

保存期間を考える際には、契約日や請求日ではなく、工事目的物の引渡し日を基準に管理することが重要です。

また、税務書類の保存期間と建設業法上の保存期間は目的が異なるため、混同しないよう注意しなければなりません。

建設業の書類保存は、単なる事務負担ではありません。

契約トラブルへの対応、元請や行政からの確認、経営事項審査、許可維持、会社の信用管理に関わる重要な実務です。

工事ごとに契約書、注文書、請求書、完成図、打合せ記録、施工体制関係書類を整理し、保存期間を意識して管理する体制を整えておきましょう。

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