退職届を内容証明郵便で送る場合のテンプレートと書き方を、行政書士が解説します。
内容証明郵便を利用すれば、退職の意思、退職日、有給休暇、貸与品の返却、必要書類の送付依頼など、会社へ通知した内容を記録として残せます。
ただし、退職日や有給休暇の日数、雇用契約の期間、会社から借りている物などは、一人ひとり異なります。
インターネット上のテンプレートをそのまま使うのではなく、現在の状況に合わせて内容を調整することが大切です。
この記事では、退職届を内容証明で送る場合の一般的な例文と、書き方・送り方、発送後の対応までご案内します。
退職届を内容証明で送る場合のテンプレート
退職したいのに、会社へ直接言い出せない。
退職届を出しても受け取ってもらえない。
強く引き止められており、これ以上会社と話したくない。
このような場合には、退職の意思を書面にまとめ、内容証明郵便で会社へ通知する方法があります。
内容証明郵便とは、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに差し出したのかを日本郵便が証明する制度です。
さらに配達証明を付ければ、会社へ配達された事実も記録に残せます。
口頭や通常の郵便だけで退職を伝えた場合、後から会社に、
「退職するとは聞いていない」
「退職届を受け取っていない」
と言われる可能性があります。
内容証明郵便を利用すれば、退職する意思や退職日など、会社へ通知した内容を確認できる形で残せます。
ただし、内容証明郵便を利用すれば、どのような文面でもよいわけではありません。
退職日、有給休暇、貸与品、必要書類、今後の連絡方法などを確認し、自分の状況に合った退職通知書を作成する必要があります。
退職の内容証明に記載する基本事項
退職の内容証明は、長い文章にする必要はありません。
会社への不満や退職に至った経緯を詳しく書くよりも、退職手続きに必要な事項を簡潔に整理することが重要です。
一般的には、次の事項を記載します。
- 退職する意思
- 退職日
- 有給休暇を取得する場合はその希望
- 会社貸与品の返却方法
- 離職票や源泉徴収票などの送付依頼
- 今後の連絡方法
- 通知年月日
- 会社の名称・所在地・代表者名
- 通知人の住所・氏名
文書の表題は「退職届」「退職通知書」「通知書」などが考えられます。
重要なのは表題ではなく、会社との雇用契約を終了させる意思が明確に記載されていることです。
たとえば、
「退職を考えています」
「できれば辞めたいです」
「近日中に退職したいです」
という表現では、退職の確定した意思ではなく、相談や希望として受け取られる可能性があります。
退職する意思が固まっている場合は、退職することと、具体的な退職日を明確に記載しましょう。
また、貸与品の返却や退職関係書類についても整理しておくと、退職後に何度も会社へ連絡する負担を減らしやすくなります。
退職届の内容証明テンプレート(基本形)
期間の定めのない雇用契約で、具体的な退職日を指定して通知する場合の基本的な文例は、次のとおりです。
通知書
私は、貴社との間の雇用契約について、本書をもって退職する意思を通知します。
退職日は、令和○年○月○日とします。
会社から貸与されている物品については、別便にて返却します。
離職票、源泉徴収票その他の退職関係書類については、下記住所へ郵送してください。
今後の退職に関するご連絡は、記録保持のため、書面またはメールでお願いします。
令和○年○月○日
〒○○○-○○○○
○○県○○市○○町○丁目○番○号
株式会社○○○○
代表取締役 ○○○○ 様
〒○○○-○○○○
○○県○○市○○町○丁目○番○号
通知人 ○○○○
このテンプレートには、退職の意思、退職日、貸与品の返却、退職関係書類の送付、今後の連絡方法を記載しています。
貸与品がない場合は、返却に関する記載を削除できます。
連絡方法を指定する必要がなければ、その部分を省略することもできます。
反対に、社員証、鍵、制服、パソコン、スマートフォンなどを会社から借りている場合は、何を、どのような方法で返却するのかを整理しておきましょう。
ただし、上記は期間の定めがない雇用契約を想定した一般的な例文です。
次のような場合は、名前や日付を入れ替えるだけでは、現在の状況に合わない可能性があります。
- 雇用契約に期間の定めがある
- すでに出勤できない状態になっている
- 有給休暇を使ってから退職したい
- 退職日をいつにすればよいか分からない
- 会社から貸与品を複数借りている
- 会社からの電話を避け、連絡方法を限定したい
- すでに退職を拒否されたり、強く引き止められたりしている
一般的なテンプレートを使用するときは、自分の雇用契約と現在の勤務状況に合っているかを確認してください。
有給休暇を取得する場合のテンプレート
退職日までに年次有給休暇が残っている場合は、取得の希望も退職通知書に記載できます。
有給休暇を含めた一般的な文例は、次のとおりです。
通知書
私は、貴社との間の雇用契約について、本書をもって退職する意思を通知します。
退職日は、令和○年○月○日とします。
本書到達日の翌日から退職日までの期間について、保有する年次有給休暇を取得します。
年次有給休暇だけでは退職日までの日数を充足しない場合は、その余の期間を欠勤として取り扱ってください。
会社から貸与されている物品については、別便にて返却します。
離職票、源泉徴収票その他の退職関係書類については、下記住所へ郵送してください。
今後の退職に関するご連絡は、記録保持のため、書面またはメールでお願いします。
令和○年○月○日
〒○○○-○○○○
○○県○○市○○町○丁目○番○号
株式会社○○○○
代表取締役 ○○○○ 様
〒○○○-○○○○
○○県○○市○○町○丁目○番○号
通知人 ○○○○
有給休暇について記載する場合は、現在の保有日数と、退職日までの日数が合っているかを確認する必要があります。
有給休暇の日数が退職日までの日数より少ない場合や、すでに欠勤している場合は、その期間をどのように整理するかも検討します。
単に「有給を全部使います」と記載するだけでは、取得期間や退職日との関係が分かりにくくなることがあります。
退職日、内容証明が会社へ到達する日、有給休暇の残日数を確認し、日付の関係を整理してから通知しましょう。
貸与品・退職書類・連絡方法の記載例
退職の内容証明には、退職意思と退職日だけでなく、退職後に必要となる事務手続きについても記載できます。
貸与品の返却方法
会社から借りている物がある場合は、次のような文章を記載します。
会社から貸与されている社員証、制服、鍵その他の物品については、別便にて返却します。
貸与品は、内容証明郵便の封筒に同封できません。
宅配便やレターパックなど、配達状況を確認できる方法で別に送りましょう。
返却前に貸与品の一覧と状態を確認し、発送日、追跡番号、返却した物の内容を記録しておくと安心です。
退職関係書類の送付依頼
退職関係書類については、次のような文章が考えられます。
離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証その他の退職関係書類については、準備が整い次第、下記住所へ郵送してください。
必要となる書類は、勤務状況や退職後の予定によって異なります。
離職票、源泉徴収票、雇用保険被保険者証、社会保険資格喪失証明書などから、自分に必要な書類を確認したうえで記載しましょう。
今後の連絡方法
会社からの電話を避けたい場合は、次のように連絡方法を指定できます。
今後の退職に関するご連絡は、記録保持のため、書面またはメールでお願いします。電話での連絡はお控えください。
希望する連絡方法を明確に伝えておくことで、電話ではなく、記録の残る方法でやり取りしやすくなります。
退職意思、退職日、有給休暇、貸与品、退職書類、連絡方法を一つの通知書に整理しておけば、それぞれについて何度も会社へ連絡する負担を減らせます。
退職日を決めるときの注意点
期間の定めのない雇用契約では、原則として、退職の申入れから2週間が経過すると雇用契約が終了するとされています。
内容証明で退職を通知する場合は、発送した日だけでなく、会社に文書が到達する日も考慮する必要があります。
たとえば、会社への到達から2週間以上先の日を退職日として指定する方法があります。
ただし、内容証明を発送した日と、会社に到達する日は同じとは限りません。
退職日を具体的に決める場合は、郵送にかかる日数も考慮して設定しましょう。
また、雇用契約に期間の定めがある場合は、期間の定めがない雇用契約と同じ考え方がそのまま当てはまるとは限りません。
正社員であっても有期契約の場合があり、契約社員、派遣社員、パート・アルバイトの場合も、雇用契約書や労働条件通知書に契約期間が記載されていることがあります。
退職日を決める前に、次の点を確認してください。
- 雇用契約に期間の定めがあるか
- 現在の契約期間はいつまでか
- 就業規則で定められた退職手続き
- 有給休暇の保有日数
- 最終出勤を終えているか
- 会社から借りている物があるか
- 内容証明が会社へ到達する見込み日
就業規則に「退職の1か月前までに申し出る」と記載されている場合でも、それだけを見て退職できないと判断する必要はありません。
一方で、雇用契約の期間や現在の勤務状況を確認せずに退職日を決めると、通知書の内容と実際の状況が合わなくなる可能性があります。
特に、すぐに出勤を止めたい場合や、有給休暇を使って退職したい場合は、退職日だけでなく、到達日から退職日までの扱いも整理することが重要です。
テンプレートをそのまま使用するリスク
インターネット上のテンプレートは、退職通知書の形や基本的な記載事項を確認するために役立ちます。
一方で、名前や日付だけを変更して発送すると、自分の雇用契約や勤務状況に合わない文書になる可能性があります。
たとえば、次のような点には注意が必要です。
- 雇用契約に期間の定めがあるのに、一般的な無期雇用の例文を使用している
- 有給休暇の日数と退職日までの日数が合っていない
- 内容証明が会社へ到達する日を考慮せずに退職日を設定している
- 貸与品の返却方法が記載されていない
- 必要な退職関係書類が整理されていない
- 会社に対する不満や強い表現を書きすぎている
- 退職願のように、会社の承諾を求める文章になっている
- 退職する意思や退職日が曖昧になっている
退職の内容証明は、会社を非難するための文書ではありません。
退職の意思、退職日、今後の手続きを明確にし、会社とのやり取りを整理するための文書です。
自分で作成する場合は、雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、有給休暇の残日数、貸与品の内容などを確認し、現在の状況に合わせて調整しましょう。
自分の状況に合っているか判断できない場合は、完成したつもりの文書をすぐに発送せず、必要な事項を一度整理することが大切です。
内容証明郵便を窓口から送る方法
郵便局の窓口から内容証明郵便を送る場合は、一般的に次のものを用意します。
- 会社へ送る内容文書
- 内容文書の謄本2通
- 会社の住所・名称を記載した封筒
- 郵便料金
- 念のため差出人の印鑑
謄本には、縦書き・横書きの別に応じて、1行当たりの字数と1枚当たりの行数に関する規定があります。
横書きの場合は、一般的に次のいずれかの形式で作成します。
- 1行20字以内、1枚26行以内
- 1行13字以内、1枚40行以内
- 1行26字以内、1枚20行以内
すべての郵便局で内容証明を取り扱っているわけではありません。
利用する場合は、集配郵便局または内容証明を取り扱う郵便局を事前に確認しましょう。
会社に文書が配達された事実も残したい場合は、内容証明に配達証明を付けます。
内容証明は、差し出した文書の内容を証明する制度です。
配達証明は、会社へ配達された事実を証明する制度です。
退職意思が会社へ到達したことを確認するためにも、配達証明を併用するとよいでしょう。
なお、内容証明郵便には、貸与品、返信用封筒、別紙資料などを同封できません。
返却物や別の書類がある場合は、別便で発送します。
e内容証明を利用して送る方法
郵便局の窓口へ行くことが難しい場合は、日本郵便のe内容証明を利用する方法があります。
e内容証明は、Wordで作成した文書をインターネット上にアップロードし、内容証明郵便として発送できるサービスです。
24時間申し込むことができ、印刷、封筒への封入、郵便局への持込みを日本郵便側で行います。
一般的な流れは、次のとおりです。
- e内容証明の利用登録をする
- 日本郵便が指定するWordのひな形を用意する
- 退職通知書を作成する
- 差出人と受取人を入力する
- Wordファイルをアップロードする
- 配達証明などのオプションを選択する
- 内容と料金を確認して差し出す
e内容証明でも配達証明を付けることができます。
郵便局へ行かずに発送できる点は便利ですが、退職日や有給休暇など、会社へ何を通知するかは自分で整理する必要があります。
文面が完成している方には便利な方法ですが、何を記載すればよいか分からない場合は、発送方法より先に通知内容を整理しましょう。
内容証明を送った後の対応
内容証明を送った後でも、会社から退職手続きに関する連絡が来ることがあります。
代表的な内容は、次のとおりです。
- 貸与品の返却
- 最終給与の確認
- 退職関係書類の送付先
- 社会保険や雇用保険に関する手続き
- 有給休暇や欠勤期間の確認
会社から連絡が来た場合は、内容を確認し、退職手続きに必要な事項かどうかを整理しましょう。
電話で直接話すことが負担になる場合は、退職通知書の中で、書面やメールなど記録が残る方法での連絡を希望しておくことが考えられます。
貸与品を郵送した場合は、発送控えや追跡番号を保管してください。
会社から届いた書面やメールも、退職手続きが完了するまでは削除せずに保存しておきましょう。
内容証明を発送する前に、貸与品の返却方法や退職関係書類についても記載しておけば、発送後のやり取りを減らしやすくなります。
会社と直接やり取りしたくないなら退職代行を利用する
ここまで読んで、
「自分の場合はどの日を退職日にすればよいか分からない」
「有給休暇と退職日の関係を自分で整理できない」
「会社へもう一度連絡するのがつらい」
「文面の作成から発送まで自分で行うのは負担が大きい」
と感じた方もいるでしょう。
会社と直接やり取りせずに退職手続きを進めたいのであれば、テンプレートを探し続け、すべてを一人で準備する必要はありません。
坂下行政書士事務所の退職代行サービスでは、現在の状況を確認し、退職日や会社へ通知する内容を整理したうえで、退職通知書の作成から発送までサポートします。
退職の意思と退職日だけでなく、必要に応じて次の事項も一つの通知書にまとめます。
- 有給休暇
- 貸与品の返却方法
- 離職票や源泉徴収票などの送付依頼
- 今後の連絡方法
- 退職後に必要となる確認事項
作成した退職通知書は、内容証明郵便で会社へ発送します。
次のような段階でもご相談いただけます。
- まだ退職日を決められていない
- 会社へ一度伝えたが話が進んでいない
- 退職届を受け取ってもらえない
- 明日から出勤することが難しい
- 会社や上司と直接話したくない
- 自分で作成した文面のまま発送することに不安がある
自分で内容証明を完成させてから相談する必要はありません。
「退職したいが、会社と直接やり取りしたくない」という現在の状況を、そのままお知らせください。
まとめ
退職届を内容証明郵便で送る場合は、退職の意思と退職日を明確に記載することが重要です。
必要に応じて、有給休暇、貸与品の返却、離職票・源泉徴収票などの送付依頼、今後の連絡方法も整理します。
内容証明郵便に配達証明を付ければ、会社へ通知した内容と、会社へ配達された事実を記録として残せます。
自分で作成・発送できる方は、この記事のテンプレートを参考に、現在の状況に合わせて文面を調整してください。
一方で、
「退職日をどう決めればよいか分からない」
「有給休暇や貸与品まで整理するのが難しい」
「会社へもう一度連絡したくない」
「文面の作成や発送を自分で行いたくない」
という場合まで、無理に一人で進める必要はありません。
退職する意思が決まっており、会社と直接やり取りせずに手続きを進めたい方は、坂下行政書士事務所の退職代行サービスをご利用ください。
現在の状況を確認し、会社へ通知する内容を整理したうえで、退職通知書の作成から内容証明郵便による発送までサポートします。
「退職したい」の一言からでもご相談いただけます。
全国対応の退職代行
退職を言い出せない方へ、まずはご相談ください。
退職日・有給休暇・必要書類の請求を整理し、内容証明で会社へ退職を通知します。


