会社と話したくない・電話が怖い方でも、退職は書面だけで進められます。本記事では、内容証明を使う退職準備を「やることリスト」で整理。貸与物返却・退職日の決め方・文面の注意点を行政書士が解説します。
1.電話・対面なしで退職できる理由(法的根拠)
「もう会社と話したくない」
「電話が鳴るだけで動悸がする」
「退職を伝える場面を想像するだけでしんどい」
こうした相談は非常に多く、実務でも珍しくありません。
そして、結論から言うと 電話も対面も一切行わず退職することは可能 です。
◎退職は“通知行為”であり、会社の承諾は不要
退職は法律上、
労働者が退職の意思を会社に通知すれば成立 する仕組みです。
◎メールや書面でも法的効力はある
- 内容証明郵便
- メール
- FAX
これら“記録が残る手段”であれば、会社に到達した時点で退職の意思表示が成立します。
◎行政書士の内容証明なら、対面ゼロで退職可能
電話連絡も交渉もせずに退職を実現するには、
内容証明による退職通知 が最も適しています。
2.書面退職を選ぶべき人の特徴
書面だけで退職を進めるのに適しているのは、次のようなケースです。
◎会社と話すこと自体がストレス
- 電話が怖い
- 話すと断れなくなる
- 何を言われるか不安
◎出社できる精神状態ではない
特にパワハラ・長時間労働のケースは、書面退職が適切。
◎会社が強圧的で、対話が難しい
「辞めさせない」「話し合え」と言われる可能性がある場合。
◎夜勤・シフト制で時間調整ができない
書面なら24時間進められる。
これらに当てはまる場合、
書面特化の退職手続きは大きな助けになります。
3.退職準備チェックリスト(全18項目)
書面だけで退職を完結するためのチェックリストをまとめます。
この通りに進めれば、電話も出社も必要ありません。
■① 労働条件通知書・雇用契約書の確認
退職日を設定する際に参考になります。
■② 有給残日数の把握
退職日パターンが決められる。
■③ 社内規程(就業規則)の確認
特に退職のルールを確認。
■④ 退職日をどのパターンにするか選ぶ
- 到達日退職
- 本日付退職(効力は到達日)
- 有給消化後退職
■⑤ 引き継ぎ状況の整理
資料やデータの所在だけでもまとめる。
■⑥ 貸与物一覧を作る
- PC
- 社員証
- 鍵
- 制服
- 書類
■⑦ 貸与物返却方法を決める
郵送で返却できるように準備。
■⑧ 会社から連絡を受けたくない場合の文章を用意
内容証明に「直接のご連絡はお控えいただけますと幸いです」と記載。
■⑨ 内容証明に記載する事項を整理
後述の項目参照。
■⑩ 郵便局での発送方法を確認
- 内容証明
- 配達証明
- 書留
■⑪ 退職通知の控えを保管
後日の争いを防ぐ。
■⑫ 仕事用アカウントのデータバックアップ
削除ではなく“返却”を意識。
■⑬ 社用スマホのデータ初期化
個人情報保護のため。
■⑭ 社内チャット・メールのログイン情報整理
退職後のトラブル防止。
■⑮ 年金・健康保険・住民税のアフター手続きを事前確認
退職後の流れは事前準備が大事。
■⑯ 最終給与の支給日を確認
退職日を決める参考になる。
■⑰ 会社からの書類の受け取り方法
郵送で受け取れるか確認。
■⑱ 行政書士へ相談するか検討
文面作成と送り方を任せられる。
4.内容証明で必ず入れるべき項目
書面退職で最重要なのは「内容証明で何を書くか」です。
以下は行政書士実務で必須とする項目です。
◎① 退職の意思表示
本書面をもって退職の意思を通知いたします。
◎② 退職日
退職日は本書面の到達日といたします。
(もしくは有給消化後退職)
◎③ 貸与物返却方法
PC・社員証等は〇月〇日に郵送にて返却いたします。
◎④ 引き継ぎ対応が困難な理由
現在、心身の負担が大きく出社が困難です。
◎⑤ 本人宛ての連絡を控えてほしい旨(お願いベース)
可能な限り直接のご連絡はお控えいただけますと幸いです。
これらを盛り込むことで、
電話・対面ゼロでも法的に問題なく退職が成立 します。
5.貸与物返却のベストプラクティス
書面退職では「返却物」が重要です。
会社側の不安の半分は返却物で解消できます。
◎郵送が最も安全
対面返却は
- 出社の負担
- 引き止めリスク
があるため推奨しません。
◎返却時に添える文面例
同封の〇〇は返却物となりますのでご確認ください。
◎発送後は控えを保存
- 追跡番号
- 配達記録
を必ず保存します。
6.会社とやり取りしないための注意点
書面退職をスムーズに進めるためには、
以下のポイントに注意する必要があります。
◎① 電話を無視すること自体は違法ではない
退職通知後の会社からの電話は“義務の範囲外”。
◎② メール返信も義務ではない
返却物・必要書類など最低限の項目だけ対応すれば十分です。
◎③ 会社に強制できる文言は書かない
お願いベースが重要。
強制の文言は“交渉”と評価される可能性があります。
◎④ 攻撃的な文面は避ける
感情的表現はトラブルのもと。
7.行政書士に依頼するメリット
退職通知において行政書士が提供できるのは、
「非交渉型・書面特化」の安全なスキーム です。
◎メリット1:電話ゼロで退職できる
行政書士は交渉を行わないため、
電話・対面なしのスキームが成立します。
◎メリット2:退職日を確実に設計できる
到達日・本日付・有給消化など、
ケースに最適な退職日の型を設計。
◎メリット3:文面のリスクチェック
- 非弁行為の線引き
- 法的にNGな表現
- 攻撃的表現の排除
これらを踏まえた文案を作成。
◎メリット4:返却物・手続きガイドを作成
退職後の流れも整理されるため安心感が高い。
8.まとめ|書面だけで退職は完結できる
本記事でまとめた通り、
退職は“対面ゼロ・電話ゼロ”で完結可能 です。
内容証明を中心に手続きを組み立てれば、
会社と一切話さず、
当日から出社不要の状態を作ることもできます。
「話すのが怖い」「電話に出たくない」という方こそ、
書面退職は非常に強力な選択肢です。


