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就業規則に「1か月前申告」と書いてある場合でも、内容証明退職は可能か【法律と実務の整理】

就業規則に「退職は1か月前申告」と書かれていても、民法との関係から必ずしも1か月拘束されるわけではありません。本記事では法的整理と実務での扱い、内容証明を使う際の注意点を行政書士が解説します。

1.就業規則の「1か月前申告」はどれほど強制力があるのか

多くの企業では、就業規則に

「退職する場合は1か月前までに届け出ること」

といった記載があります。

これを見た労働者の方は、

  • 1か月も耐えられない
  • 1か月働かないと違法になるのか
  • 会社が許さないと言ったら辞められないのか

と不安になりがちです。

しかし結論から言えば、

就業規則に1か月前申告と書いてあっても、
内容証明を使った退職は十分に可能です。

理由は「民法」の規定が土台にあるためです。


2.民法の原則|退職日の基本は「2週間」

正社員(期間の定めのない雇用)の退職について、
民法627条1項は次のように定めています。

やむを得ない事由がなくても、労働者は
2週間の予告で雇用契約を解約できる。

つまり、

  • 退職の申し出から2週間で退職可能
  • 特別な理由がなくても辞められる

というのが法律の原則です。

企業が独自に「1か月」と決めていても、
その規定が法律を上書きできるわけではありません。


3.就業規則と民法が矛盾した場合の扱い

法律と就業規則に矛盾があった場合、
一般的には次のように整理されます。


◎原則:法律(民法)が優先

就業規則は事業者が定める内部ルールであり、
法律に反する部分は効力が否定されうるとされています。


◎実務:企業は「1か月前申告」を盾に引き止める

法律的には2週間で退職できたとしても、
企業側は次のような理由で引き止めてくることがあります。

  • 慣例として1か月前申告が必要
  • 業務引き継ぎのため
  • 人員補充に時間がかかる
  • 「規則に従え」と主張したい

ただし、こうした主張があっても
法的拘束力は限定的です。


4.会社が「1か月働け」と言ってくる理由

会社が強く抵抗する背景には、
次のような事情があります。


●① 人員不足・業務逼迫

中小企業では特に、
「辞められると現場が回らない」という切迫感があります。


●② 引き継ぎへのこだわり

引き継ぎが終わらない限り辞めさせない、
と考えている管理職も一定数います。


●③ 規則違反=責任追及に使いたい

「規則を守らなかったのだから責任を取れ」と
感情的・慣習的に主張してくるケースもあります。


いずれにせよ、
これらは企業側の事情であり、
労働者の退職の自由を制限する理由にはなり得ません。


5.内容証明退職は可能か|結論と注意点

結論:
就業規則が「1か月前申告」であっても、内容証明退職は十分に可能です。

理由は以下のとおりです。


◎① 民法が優先されるため

退職の意思表示から2週間で退職が成立するのが原則。


◎② 書面で意思表示を残すことで後日のトラブルを防げる

電話・口頭だけでは
「1か月と言ったはずだ」「言ってない」
と争いになりやすい。

内容証明にしておけば、
退職日・意思表示の日時が客観化 されます。


◎③ 心身の不調がある場合はさらに早期退職が合理化される

精神的疲弊・体調悪化がある場合、
長期勤務を続けることは現実的ではありません。


6.内容証明に盛り込む文言の考え方

就業規則に「1か月前申告」があっても、
次のような文言を入れることで安全に進められます。


◎① 退職意思の明確化

本書面をもって退職の意思を通知いたします。


◎② 退職日の指定

退職日をどう設定するかはケースにより異なりますが、
一般的には以下のいずれかです。

  • 当書面到達日をもって退職
  • 当書面到達日から2週間後を退職日とする

例:

退職日は本書面到達日から2週間後とさせていただきます。


◎③ 就業規則との関係の整理(穏当な表現)

なお、就業規則に退職の申告期限に関する定めがあることは認識しておりますが、
現状の体調等の事情により、長期間の勤務継続が困難な状況にございます。

“否定”ではなく、
事情説明+現実的困難性 に寄せます。


◎④ 電話連絡を控えてほしい旨(必要に応じて)

精神的負担が大きい場合は必須です。


7.トラブルを避けるための事前整理事項

スムーズに進めるために、
次の点を整理しておくと内容証明が強くなります。


●① 最初に退職を申し出た日

  • 口頭
  • LINE
  • メール

どの手段でも構いませんが、
最初の意思表示日時が重要です。


●② 会社の反応・拒否の有無

  • 「1か月働け」
  • 「就業規則を守れ」
  • 「認められない」

これらの発言も事実として整理します。


●③ 体調不良・精神的負担の有無

医療機関の受診の有無にかかわらず、
「体調悪化」は内容証明で書面化しやすい重要情報です。


●④ 引き継ぎ状況

可能な範囲で伝えておけば、
「無責任に辞めた」と主張されにくくなります。


8.まとめ|“1か月前申告”の文言に過度に縛られない

就業規則に「1か月前申告」と書かれていても、

  • 法律(民法)が原則2週間
  • 実務でも柔軟に扱われることが多い
  • 内容証明で退職の形を整えられる
    という点から、

1か月働かなければ辞められない、というわけではありません。

むしろ、

  • しつこい引き止め
  • 電話攻撃
  • 長期間の拘束
  • 過度な引き継ぎ要求

といったトラブルが起きる前に、
内容証明で手続きを客観化すること の方が重要です。

あなたの事情に合わせて
最適な文言設計ができるのが行政書士の役割です。

電話連絡なしで、法的に安全に退職したい方へ

行政書士が内容証明を用いて、最短当日の退職手続きまでサポートします。
初回のご相談は無料で承っています。

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