建設業許可の事業年度終了届を行政書士に丸投げしたい場合の流れを解説します。決算変更届との関係、行政書士に任せられる範囲、依頼者側で用意する資料、工事経歴書、直前3年の工事施工金額、財務諸表、納税証明書、変更届漏れ、更新前の注意点まで整理します。
事業年度終了届を行政書士に丸投げしたい場合
建設業許可を持っている会社では、毎年、事業年度終了届を提出する必要があります。
実務上は「決算変更届」と呼ばれることも多い手続きです。
ただ、現場仕事や元請対応で忙しい会社にとって、毎年の事業年度終了届を自社で作成するのは負担になりやすいです。
次のような悩みを持つ方も多いと思います。
・事業年度終了届を行政書士に丸投げしたい
・決算変更届を毎年出すのが面倒
・工事経歴書の作り方が分からない
・許可業種ごとの売上の分け方が分からない
・税理士の決算書をどう使えばよいか分からない
・納税証明書や財務諸表の準備が不安
・何年分か未提出になっている
・更新前なので急いで整理したい
結論として、事業年度終了届の作成や提出は、行政書士にかなりの部分を任せることができます。
ただし、「完全に何もせずに終わる」という意味での丸投げは難しいです。
なぜなら、事業年度終了届では、その会社が実際に行った工事内容、売上、決算書、納税証明書など、会社側でしか分からない資料が必要になるからです。
行政書士は、必要書類の案内、工事経歴書の作成、施工金額の整理、建設業許可用の財務諸表の作成、提出書類の作成、提出対応、補正対応などを進めることができます。
一方で、決算書、請求書、工事台帳、注文書、契約書、納税証明書などの資料提供は、依頼者側の協力が必要です。
この記事では、事業年度終了届を行政書士に丸投げしたい場合に、どこまで任せられるのか、依頼者側で何を用意する必要があるのか、未提出分がある場合にどう進めるのかを解説します。
事業年度終了届とは決算変更届のこと
事業年度終了届とは、建設業許可を受けた事業者が、毎事業年度の終了後に提出する届出です。
実務上は「決算変更届」と呼ばれることも多いです。
建設業許可を取った後は、許可証を持っているだけで終わりではありません。
毎年の決算が終わった後に、建設業許可上の届出として、その年度の工事実績や財務状況を提出する必要があります。
事業年度終了届で主に整理する内容は、次のとおりです。
・その年度の工事経歴
・直前3年の各事業年度における工事施工金額
・財務諸表
・納税証明書
・使用人数
・社会保険の加入状況に関する変更の有無
・会社情報や営業所情報に変更がないか
ここで注意したいのは、税務申告とは別の手続きだということです。
税理士が法人税や消費税の申告をしていても、それだけで建設業許可の事業年度終了届を提出したことにはなりません。
税務申告は税務署に対する手続きです。
一方で、事業年度終了届は建設業許可を受けている行政庁に対する手続きです。
そのため、税理士から決算書を受け取ったら、それをもとに建設業許可用の書類を作成し、事業年度終了届として提出する必要があります。
「決算書はあるから大丈夫」
「税理士がやってくれていると思っていた」
このような場合でも、建設業許可の事業年度終了届まで提出済みかどうかは確認が必要です。
行政書士にどこまで丸投げできるのか
事業年度終了届を行政書士に依頼する場合、任せられる範囲は広いです。
主に次のような作業を依頼できます。
・必要書類の案内
・決算書の確認
・工事経歴書の作成
・直前3年の工事施工金額の作成
・建設業許可用の財務諸表の作成
・使用人数の整理
・納税証明書の確認
・社会保険の加入状況の確認
・事業年度終了届の表紙作成
・提出書類の取りまとめ
・行政庁への提出対応
・補正対応
・副本返却後の確認
・次回以降の届出管理の案内
特に負担になりやすいのが、工事経歴書と直前3年の工事施工金額です。
工事名、注文者、工事場所、請負代金、工期、元請・下請、許可業種ごとの売上などを整理する必要があるため、自社で作ると時間がかかることがあります。
行政書士に依頼すれば、決算書や工事資料を確認しながら、建設業許可用の様式に合わせて整理してもらえます。
また、建設業許可用の財務諸表も、税理士が作成した決算書をもとに作成します。
税務申告用の決算書をそのまま出すのではなく、建設業許可の様式に合わせて作成する点がポイントです。
ただし、丸投げといっても、行政書士が会社の内部資料を勝手に用意できるわけではありません。
行政書士は、書類作成や提出手続きを代行できますが、実際の工事内容や決算資料は依頼者側から提供してもらう必要があります。
つまり、事業年度終了届の丸投げとは、「必要な資料を渡したうえで、書類作成や提出作業を任せる」というイメージです。
丸投げでも依頼者側で必要になる資料
事業年度終了届を行政書士に丸投げしたい場合でも、依頼者側で用意する資料があります。
行政書士が書類を作成するためには、その年度の決算内容や工事内容を確認する必要があるからです。
用意することが多い資料は、次のとおりです。
・該当年度の決算書
・法人税申告書控え
・確定申告書控え
・青色申告決算書
・納税証明書
・請求書
・注文書
・契約書
・見積書
・工事台帳
・売上元帳
・総勘定元帳
・工事写真
・元請からの発注書
・入金記録
・前年度の事業年度終了届の控え
・建設業許可通知書
・前回申請書の副本
・変更届の控え
法人の場合は、税理士から受け取った決算書や法人税申告書控えが重要になります。
個人事業主の場合は、確定申告書や青色申告決算書などが関係します。
また、工事経歴書を作るためには、請求書や工事台帳などが必要になることがあります。
特に、工事名だけでは内容が分かりにくい場合は、見積書、注文書、契約書、工事写真などを確認することがあります。
たとえば、「リフォーム工事」「改修工事」「外構工事」「工事一式」などの表記だけでは、どの許可業種の工事なのか分かりにくい場合があります。
このような場合は、実際にどのような工事を行ったのか、依頼者側に確認しながら整理します。
すべての資料を最初から完璧にそろえる必要はありません。
ただし、手元にある資料を早めに共有することで、不足資料を確認しやすくなります。
行政書士に丸投げしたい場合でも、資料提供だけは早めに行うことが大切です。
工事経歴書と施工金額の整理を任せたい場合
事業年度終了届で特に行政書士に任せたい部分が、工事経歴書と直前3年の工事施工金額の整理です。
この部分は、建設業許可に慣れていない方にとって分かりにくいところです。
工事経歴書では、その事業年度に行った建設工事について、主に次のような内容を整理します。
・工事名
・注文者
・工事場所
・請負代金
・工期
・元請か下請か
・許可業種との関係
直前3年の工事施工金額では、許可業種ごとの施工金額を整理します。
このとき、兼業売上と建設工事の売上を分けたり、許可業種ごとに売上を分けたりする必要があります。
よく問題になるのは、工事名だけでは業種が分かりにくいケースです。
たとえば、次のような表記です。
・リフォーム工事
・改修工事
・修繕工事
・原状回復工事
・外構工事
・工事一式
・雑工事
・人工代
・応援作業
これらの表記だけでは、どの業種の工事として整理すべきか判断しにくい場合があります。
リフォーム工事といっても、内装仕上工事、塗装工事、防水工事、大工工事、管工事、電気工事などが含まれることがあります。
外構工事といっても、とび・土工工事、舗装工事、タイル・れんが・ブロック工事、造園工事などが関係することがあります。
行政書士に依頼する場合は、請求書や工事台帳を確認しながら、どの工事をどの業種に整理するかを確認していきます。
ただし、行政書士が現場の中身をすべて把握しているわけではありません。
そのため、必要に応じて、実際の工事内容を依頼者側に確認することがあります。
事業年度終了届を丸投げしたい場合でも、工事内容の確認には協力が必要です。
財務諸表や納税証明書の整理を任せたい場合
事業年度終了届では、工事経歴書だけでなく、財務諸表や納税証明書も関係します。
法人の場合は、税理士が作成した決算書をもとに、建設業許可用の財務諸表を作成します。
主に関係する書類は、次のとおりです。
・貸借対照表
・損益計算書
・株主資本等変動計算書
・注記表
・事業報告書
個人事業主の場合は、確定申告書や青色申告決算書などをもとに整理します。
ここで注意したいのは、税務申告用の決算書をそのまま提出すればよいとは限らないことです。
建設業許可には建設業許可用の様式があり、その様式に合わせて財務諸表を作成します。
行政書士に依頼すれば、決算書をもとに建設業許可用の形へ整理してもらえます。
ただし、元になる決算書や申告書控えは、依頼者側で用意する必要があります。
また、納税証明書も必要になります。
納税証明書は、法人か個人事業主か、知事許可か大臣許可かなどによって確認が必要です。
行政書士が取得をサポートできる場合もありますが、委任状や本人確認、会社情報などが必要になることがあります。
財務諸表や納税証明書は、工事経歴書に比べると機械的に整理できる部分もあります。
ただし、決算書が未完成だったり、税務申告が終わっていなかったりすると、事業年度終了届の作成も進めにくくなります。
事業年度終了届を行政書士に任せたい場合は、まず税理士から決算書を受け取っているか、納税証明書を取得できる状態かを確認しましょう。
未提出分がある場合は何年分あるか確認する
事業年度終了届を行政書士に丸投げしたい場合で、過去に未提出分があるときは、まず何年分未提出なのかを確認する必要があります。
よくある相談は、次のようなものです。
・1年分だけ出し忘れた
・2年分まとめて出したい
・3年分未提出になっている
・5年分出していないかもしれない
・前回更新後から一度も出していない
・許可取得後から一度も出していない
・提出したかどうか分からない
未提出分がある場合は、まず許可関係の副本や控えを確認します。
確認したい資料は、次のとおりです。
・現在の許可通知書
・前回の申請書副本
・過去の更新申請書副本
・事業年度終了届の副本
・変更届の副本
・決算書
・税務申告書控え
・行政書士や税理士とのやり取り
・郵送控えや受付控え
控えがある年度は、提出済みである可能性が高いです。
一方で、控えが見つからない年度は、未提出の可能性があります。
ただし、副本を紛失しているだけの場合もあるため、まずは会社内の許可関係ファイル、前任者の保管フォルダ、過去に依頼した行政書士とのやり取りを確認しましょう。
未提出年数が多い場合は、年度ごとに資料を分けることが大切です。
たとえば、3年分未提出であれば、3期分の決算書、工事資料、納税証明書を年度ごとに分けて整理します。
年度が混ざると、工事経歴書や施工金額の内容がズレる原因になります。
行政書士に依頼する場合でも、まずは未提出年度を確認し、手元にある資料を共有することが重要です。
変更届漏れも一緒に確認してもらう
事業年度終了届を行政書士に依頼する場合は、変更届漏れも一緒に確認してもらうと安心です。
建設業許可を受けた後、会社の内容に変更があった場合は、変更届が必要になることがあります。
事業年度終了届だけを毎年出していても、変更届が漏れていると、更新時に問題になることがあります。
確認したい変更は、次のとおりです。
・代表者が変わった
・役員が就任または退任した
・役員の氏名や住所が変わった
・商号や名称を変更した
・資本金額を変更した
・営業所を移転した
・営業所を新設または廃止した
・営業所の名称を変更した
・経管、常勤役員等が変わった
・専任技術者、営業所技術者等が変わった
・社会保険の加入状況が変わった
・雇用保険の加入状況が変わった
・一部の建設業を廃業した
ここで注意したいのは、会社の登記変更と建設業許可の変更届は別の手続きだということです。
役員変更登記を済ませていても、建設業許可の役員変更届を出したことにはなりません。
営業所移転の登記を済ませていても、建設業許可上の営業所変更届が必要になる場合があります。
特に重要なのは、経管と専任技術者です。
これらは許可要件に関わります。
経管だった役員が退任している。
専任技術者が退職している。
後任者に変わっているが届出を出していない。
このような場合は、更新申請にも影響する可能性があります。
事業年度終了届を行政書士に依頼するタイミングで、過去1年間に変更がなかったか、未提出分がある場合はその期間中に変更がなかったかを確認しておくと安心です。
行政書士に依頼する前に確認しておきたいこと
事業年度終了届を行政書士に丸投げしたい場合は、依頼前にいくつか確認しておくとスムーズです。
まず確認したいのは、対象年度です。
今年度分だけ依頼したいのか。
過去の未提出分もまとめて依頼したいのか。
更新前なので急ぎなのか。
この点を最初に整理しましょう。
次に、決算書が完成しているかを確認します。
事業年度終了届は、決算書をもとに作成します。
税理士から決算書を受け取っていない段階では、作成を進めにくい場合があります。
また、工事資料の有無も確認しましょう。
工事経歴書を作成するために、請求書、工事台帳、売上元帳、注文書、契約書などが必要になることがあります。
最低限、次の資料を準備しておくと相談が進みやすいです。
・建設業許可通知書
・前回申請書の副本
・前年度の事業年度終了届の控え
・該当年度の決算書
・法人税申告書控え
・納税証明書
・請求書一覧
・工事台帳
・売上元帳
・変更届の控え
・役員変更や営業所変更の有無が分かる資料
すべてを最初から完璧にそろえる必要はありません。
ただし、手元にある資料を早めに共有することで、行政書士側で不足資料を確認しやすくなります。
また、更新期限が近い場合は必ず伝えましょう。
建設業許可の更新前に事業年度終了届が未提出になっている場合、更新申請にも影響する可能性があります。
更新期限が近い場合は、通常より優先順位を明確にして進める必要があります。
まとめ
事業年度終了届を行政書士に丸投げしたい場合、書類作成や提出手続きの多くを任せることはできます。
事業年度終了届は、実務上「決算変更届」と呼ばれることも多い手続きです。
建設業許可を受けた後、毎事業年度が終了した後に提出する必要があります。
行政書士に依頼すれば、必要書類の案内、工事経歴書の作成、直前3年の工事施工金額の整理、建設業許可用の財務諸表の作成、提出書類の取りまとめ、提出対応、補正対応などを任せることができます。
ただし、完全に何もしなくてよいわけではありません。
決算書、法人税申告書控え、請求書、注文書、契約書、工事台帳、売上元帳、納税証明書など、会社側でしか用意できない資料があります。
行政書士に丸投げしたい場合でも、資料提供には協力が必要です。
特に重要なのが、工事経歴書と直前3年の工事施工金額です。
リフォーム工事、外構工事、改修工事、工事一式などの表現だけでは、許可業種ごとの整理が難しいことがあります。
請求書や工事台帳を確認しながら、どの工事をどの業種として整理するか確認する必要があります。
また、過去に未提出分がある場合は、何年分が未提出なのかを確認しましょう。
1年分だけなのか、数年分あるのか、前回更新後から一度も出していないのかによって、必要な作業量が変わります。
事業年度終了届を依頼するタイミングで、変更届漏れも確認しておくと安心です。
役員変更、営業所変更、経管変更、専任技術者変更、社会保険の加入状況変更などがある場合は、事業年度終了届だけでなく変更届も整理する必要があります。
「事業年度終了届を行政書士に丸投げしたい」
「決算変更届の作り方が分からない」
「工事経歴書を作る時間がない」
「許可業種ごとの売上を分けられない」
「何年分か未提出になっている」
「更新前なので急いで整理したい」
このような場合は、早めに現在の許可状況と決算資料を整理することが大切です。
建設業許可を持っている方は、事業年度終了届を毎年きちんと出し、更新時に慌てないよう、決算後の届出管理を整えておくと安心です。
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