郵送で退職届を出しても退職できるのか、会社に行かずに辞める方法を行政書士が解説します。退職届の郵送方法、普通郵便・書留・内容証明の違い、貸与品返却、有給消化、会社から連絡が来た場合の対応までわかりやすく説明します。
郵送で退職届を出したいと考えている方へ
退職したいと思っていても、会社に行って退職届を手渡しすることが難しい場合があります。
上司に会うのがつらい。
退職を伝えると強く引き止められそうで怖い。
すでに出社すること自体が限界に近い。
退職届を出すためだけに会社へ行くことを考えると、気持ちが重くなる方も少なくありません。
そのような場合、退職届や退職通知書を郵送で会社へ送る方法があります。
退職の意思表示は、必ず会社に出向いて、上司に直接手渡ししなければならないものではありません。
大切なのは、退職の意思が会社に明確に伝わることです。
ただし、郵送で退職届を出す場合は、送れば何でもよいというわけではありません。
退職日、有給休暇の取得希望、貸与品の返却方法、退職書類の送付先、今後の連絡方法などを整理しておかないと、退職後も会社から連絡が続く原因になります。
会社に行かずに辞めたい場合ほど、退職届の出し方と、その後の手続きの流れを冷静に整えることが重要です。
退職届は手渡しでなければならないのか
退職届は、会社に手渡しするのが一般的なイメージかもしれません。
円満退職であれば、上司に退職の意思を伝え、退職届を提出し、引継ぎを行って退職日を迎える流れが自然です。
しかし、会社との関係が悪化している場合や、上司と直接話すことが精神的に難しい場合には、手渡しにこだわる必要はありません。
退職の意思表示は、郵送で行うこともできます。
期間の定めのない雇用契約であれば、退職の申入れから一定期間が経過することで労働契約は終了します。
会社が「認めない」と言っている場合でも、会社の同意がなければ退職できないというものではありません。
もちろん、就業規則に退職手続きの定めがある場合は、確認しておくことが望ましいです。
しかし、会社が退職届を受け取らない、退職を認めない、退職を伝えると強く責められるという状況では、手渡しに固執すると、いつまでも退職手続きが進まないことがあります。
退職届を郵送する目的は、会社と揉めることではありません。
退職の意思を明確に伝え、会社との直接のやり取りを減らしながら、退職手続きを進めることです。
郵送で退職届を出す場合に大切なこと
郵送で退職届を出す場合、最も大切なのは、退職の意思と退職日を明確にすることです。
「退職したいです」
「辞めたいと思っています」
という表現だけでは、会社側が相談や希望として受け取る可能性があります。
退職の意思が固まっているのであれば、「退職します」という意思表示になるよう、文面を整える必要があります。
また、退職日も曖昧にしないことが重要です。
「今月中に辞めたいです」ではなく、「〇年〇月〇日をもって退職いたします」と記載する方が、会社との認識のズレを防ぎやすくなります。
退職届を郵送する際は、退職の意思だけでなく、退職日までの扱いも整理しておくと安心です。
有給休暇が残っている場合は、退職日まで年次有給休暇を取得する旨を記載することがあります。
有給休暇がない場合や日数が足りない場合は、退職日まで欠勤扱いになる可能性もあります。
さらに、会社から借りている物がある場合は、貸与品を郵送で返却すること、退職関係書類は自宅宛てに送付してほしいことも併せて伝えると、退職後の連絡を減らしやすくなります。
普通郵便より記録が残る方法を選ぶ
退職届を郵送する場合、普通郵便で送ることも不可能ではありません。
しかし、普通郵便では、いつ差し出したのか、会社に届いたのかが分かりにくくなります。
会社から「届いていない」と言われた場合に、説明が難しくなることがあります。
退職届は、退職の意思表示に関わる重要な書類です。
そのため、郵送する場合は、できるだけ記録が残る方法を選ぶ方が安心です。
簡易書留や一般書留、レターパックなど、追跡できる方法を使えば、発送日や配達状況を確認できます。
ただし、追跡ができる郵送方法であっても、文書の中身までは証明されません。
封筒が届いたことは分かっても、その中にどのような文書が入っていたかまでは、通常は別途説明が必要になります。
会社との関係が円満であれば、追跡できる郵送方法で足りることもあります。
一方で、退職届を受け取ってもらえない、退職を認めないと言われている、後から「聞いていない」と言われそうな場合は、内容証明を検討した方がよいことがあります。
郵送で退職届を出す場合は、「届けばよい」だけでなく、「後から確認できる形にする」ことが大切です。
内容証明で退職の意思を通知する方法
会社に行かずに退職したい場合、内容証明郵便で退職の意思を通知する方法があります。
内容証明は、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに差し出したかを記録として残す制度です。
退職の場面では、退職の意思表示をしたこと、退職日を明確にしたこと、今後の連絡方法を指定したことを残しやすくなります。
退職届を普通郵便で送った場合、会社から「受け取っていない」「中身を確認していない」と言われる不安が残ることがあります。
内容証明であれば、少なくともどのような文書を送ったのかを整理できます。
さらに配達証明を付けることで、会社に配達された事実も確認しやすくなります。
内容証明に記載する内容としては、退職の意思、退職日、有給休暇の取得希望、貸与品の返却方法、退職書類の送付依頼、今後の連絡方法などがあります。
ただし、内容証明は万能ではありません。
文書に書いた内容がすべて自動的に認められるわけではありませんし、会社との交渉や紛争対応まで解決するものでもありません。
それでも、会社に行かずに退職意思を明確に伝えたい場合には、有効な方法の一つです。
退職日と有給休暇の扱いを明確にする
郵送で退職届を出す場合、退職日まで出社するのか、有給休暇を使うのかを整理しておく必要があります。
会社に行かずに辞めたい方の多くは、退職届を送ったあと、もう出社したくないと考えています。
その場合、有給休暇が残っていれば、退職日まで有給休暇を取得する形を検討できます。
退職予定者であっても、在籍中であれば年次有給休暇を取得する権利があります。
退職日以降に会社が時季を変更することはできないため、退職日までの有給取得は重要なポイントになります。
退職届や退職通知書には、「退職日までの期間について、年次有給休暇を取得いたします」といった内容を記載することがあります。
ただし、有給休暇が残っていない場合や、日数が足りない場合には、その期間が欠勤扱いになる可能性があります。
欠勤扱いになれば、その期間の給与は発生しないのが通常です。
それでも、会社へ行くことが精神的に難しい場合には、退職の意思を明確に通知したうえで、退職日までの扱いを整理する方が現実的なこともあります。
大切なのは、何も伝えずに出社しなくなるのではなく、退職日と退職日までの扱いを文書で会社に伝えることです。
貸与品等は別便で返却する
会社に行かずに辞める場合でも、会社から借りている物は返却する必要があります。
社員証、制服、名札、鍵、入館証、パソコン、スマートフォン等は、退職に伴って返却するものです。
会社から「直接持ってきてください」と言われることがありますが、会社に行くことが難しい場合は、郵送で返却する方法があります。
返却する際は、追跡できる方法を使いましょう。
レターパック、宅配便、簡易書留などを利用し、発送日、追跡番号、同封物の内容を控えておくと安心です。
また、送付状を同封し、「退職に伴い、下記貸与品を返却いたします」と記載して、返却物の一覧を書いておくと、後から確認しやすくなります。
ここで注意したいのは、内容証明には退職通知以外の物を同封できないことです。
そのため、内容証明で退職の意思を通知する場合でも、社員証等の貸与品は別便で送る必要があります。
会社に行かずに退職する場合は、退職届を送ることだけで終わりではありません。
貸与品を返却し、返却した記録を残すところまで整理しておくことが重要です。
会社から電話が来た場合の対応
退職届を郵送したあと、会社から電話が来ることがあります。
「どういうことだ」
「一度会社に来て話してほしい」
「退職は認めていない」
「引継ぎはどうするのか」
このように言われると、電話に出なければならないように感じるかもしれません。
しかし、退職の意思を文書で通知している場合、会社からの電話に必ず出なければならないわけではありません。
電話で話してしまうと、記録が残りにくく、その場の雰囲気で不利な返答をしてしまうことがあります。
退職日、有給休暇、出社の有無について曖昧な返答をしてしまうと、後から話がこじれる可能性があります。
会社から連絡が来た場合は、メールや書面など、記録が残る方法に切り替えることが大切です。
「退職に関するご連絡は、記録保持のため書面またはメールにてお願いいたします」
このように短く伝えれば足ります。
必要な事務連絡まで無視するのではなく、電話や対面ではなく文書で対応する形にすることが重要です。
自分で郵送するのが不安な場合
退職届を郵送すればよいと分かっていても、自分で手続きを進めることに不安を感じる方は少なくありません。
退職日をどう書けばよいのか。
有給休暇の希望を入れてよいのか。
貸与品の返却方法も書くべきなのか。
会社から電話が来ないようにするには、どのような文面にすればよいのか。
会社を刺激しすぎる文面にならないか。
このような不安があると、退職届を書くだけでも時間がかかります。
特に、会社との関係が悪化している場合や、退職を伝えたら怒られることが予想される場合は、自分一人で対応するのは大きな負担です。
行政書士に依頼する場合、退職の意思、退職日、有給休暇の取得希望、貸与品の返却方法、退職関係書類の送付依頼、今後の連絡方法などを整理した内容証明を作成できます。
行政書士が対応できるのは、主に書類作成や内容証明による通知です。
会社との交渉、未払い賃金や残業代の請求交渉、損害賠償請求への対応など、紛争性の高い代理対応が必要な場合は、弁護士への相談が必要になることがあります。
ただ、会社に行かずに退職の意思を伝えたい、退職届を受け取ってもらえるか不安、会社と直接話したくないという場合には、内容証明による退職通知が現実的な選択肢になります。
まとめ
退職届は、必ず会社に行って手渡ししなければならないものではありません。
会社に行くことが難しい場合や、上司と直接話したくない場合は、退職届や退職通知書を郵送で会社へ送る方法があります。
ただし、郵送で退職届を出す場合は、退職の意思、退職日、有給休暇の取得希望、貸与品の返却方法、退職書類の送付先、今後の連絡方法を整理しておくことが大切です。
普通郵便では記録が残りにくいため、追跡できる方法を利用する方が安心です。
退職届を受け取ってもらえない、後から「聞いていない」と言われそう、会社と直接やり取りしたくないという場合は、内容証明で退職の意思を通知する方法もあります。
会社に行かずに辞める場合でも、貸与品は返却する必要があります。
返却は郵送で行うことができ、追跡番号や送付状を残しておくと安心です。
退職届を郵送したあとに会社から電話が来た場合は、無理に電話で対応するのではなく、書面やメールでのやり取りに切り替えましょう。
「会社に行かずに退職したい」
「退職届を手渡しするのが怖い」
「郵送で退職できるか不安」
このような場合は、無理に出社する前に、退職通知の方法を整理することが大切です。
退職は、会社に何度もお願いして許可をもらい続けるものではありません。
必要な形で退職の意思を伝え、記録が残る方法で手続きを進めれば、会社に行かずに退職へ進められる場合があります。
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「連絡したくない」「引き止められるのが不安」という方でも問題ありません。
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