会社で誓約書を書かされていても、それだけで退職できなくなるわけではありません。「一定期間辞めない」「退職したら違約金」などの記載がある場合の考え方や、会社と直接やり取りせず内容証明で退職意思を伝える方法を行政書士が解説します。
退職についてお悩みの方へ
会社と直接やり取りせずに、
退職手続きを進めたい方へ
会社への連絡がつらい段階でも、現在の状況からご相談いただけます。
退職希望日や有給休暇などを整理し、退職通知書の作成・発送までサポートします。
誓約書を書いたから辞められないと思っている方へ
会社を辞めたいものの、入社時や勤務中に書いた誓約書が気になって動けなくなっている方は少なくありません。
「〇年間は退職しません」
「途中で退職した場合は会社に損害を賠償します」
「研修後すぐに辞めた場合は費用を支払います」
「会社に迷惑をかけた場合は責任を負います」
このような内容が書かれていると、「一度サインした以上、辞められないのではないか」と不安になると思います。
特に、院長や社長などから直接誓約書を求められた場合、その場の雰囲気で署名してしまい、後になって退職を言い出せなくなることがあります。
しかし、誓約書を書いたという事実だけで、当然に退職できなくなるわけではありません。
大切なのは、誓約書に何が書かれているのか、現在の雇用契約がどのような内容なのか、会社から何を言われているのかを分けて整理することです。
「誓約書があるから無理だ」と自分だけで判断する必要はありません。
会社と直接話すことがつらい場合でも、現在の状況を確認し、退職通知書を作成して内容証明で退職意思を伝える方法があります。
誓約書があることと退職できるかは分けて考える
誓約書には、さまざまな内容が書かれています。
そのため、「誓約書を書いたら辞められない」「誓約書は全部無効」と一括りに考えるのは適切ではありません。
まず確認したいのは、退職そのものを制限する内容なのか、それとも退職後も関係する別の約束なのかという点です。
たとえば、
「最低3年間勤務する」
という内容と、
「退職後も患者や顧客の個人情報を漏らさない」
という内容では、意味がまったく違います。
期間の定めのない雇用契約であれば、退職の意思表示によって契約を終了させる仕組みがあります。
会社が「誓約書を書いたのだから辞めさせない」と言ったからといって、それだけでいつまでも退職できなくなるわけではありません。
一方、契約社員など期間の定めがある場合は、契約期間や勤務開始からの期間なども確認して退職日を整理します。
つまり、最初に見るべきなのは、
「誓約書があるか」
だけではありません。
雇用契約、誓約書の内容、退職希望日、現在の勤務状況をまとめて確認することが大切です。
「一定期間は辞めない」と書かれている場合
入社時に、
「最低でも3年間は勤務します」
「〇年間は自己都合退職しません」
といった内容の誓約書を書かされているケースがあります。
このような文言を見ると、書かれている期間が終わるまで働かなければならないように感じます。
しかし、誓約書に勤務期間が書かれていることと、本人が一切退職できなくなることは同じではありません。
期間の定めのない雇用契約の場合、退職については民法上のルールがあります。
そのため、「3年間辞めないと約束したから、3年間は何があっても退職できない」と単純に決まるものではありません。
ただし、雇用契約自体に期間が定められている場合は別の確認が必要です。
契約社員、有期雇用のパート・アルバイトなどの場合には、雇用契約書に書かれている契約期間も確認します。
誓約書だけを見て判断するのではなく、雇用契約書や労働条件通知書も一緒に確認するのがポイントです。
会社から「誓約書があるから退職できない」と言われている場合でも、その言葉だけで諦める必要はありません。
現在の契約内容を整理したうえで、退職意思をどのような形で会社へ伝えるかを考えましょう。
「辞めたら違約金」と書かれている場合
さらに不安になりやすいのが、退職時の違約金や損害賠償について書かれている誓約書です。
「1年以内に辞めた場合は10万円支払う」
「途中退職した場合は違約金を支払う」
「会社に損害が発生した場合は〇万円支払う」
このような文言を見て、金銭請求が怖くて退職できないと考えてしまう方もいます。
労働基準法では、労働契約の不履行について違約金を定めたり、損害賠償額をあらかじめ予定したりすることは禁止されています。
つまり、
「辞めたら一律10万円」
「契約期間前に辞めたら一律30万円」
といった形で、退職等を理由とするペナルティをあらかじめ固定しておくことには法律上の制限があります。
そのため、誓約書に金額が書かれているからといって、その金額を必ず支払わなければ退職できないと考える必要はありません。
ここでも大切なのは、文言を実際に確認することです。
「違約金」と書いてあるのか。
研修費について書かれているのか。
会社備品について書かれているのか。
実際に何か請求を受けているのか。
内容によって整理すべきポイントが変わります。
不安な文言がある場合は、誓約書の写真やPDFを手元に用意して相談するとスムーズです。
秘密保持・患者情報・貸与品などの約束は別に整理する
誓約書の中には、退職を禁止する内容ではなく、秘密保持や会社の物品について書かれているものもあります。
医療機関であれば、患者情報や院内情報。
一般企業であれば、顧客情報、取引情報、営業資料、社内データ。
また、パソコン、スマートフォン、制服、鍵、社員証、入館証などの貸与品について記載されていることもあります。
こうした内容は、「退職できるか」という問題とは分けて整理することが重要です。
退職するからといって、会社から預かっている物をそのままにしてよいわけではありません。
一方で、貸与品があるから会社へ直接出向かなければならないとも限りません。
郵送で返却できる物であれば、追跡できる方法で返却し、発送記録を残す方法もあります。
内容証明退職では、退職意思だけでなく、
貸与品をどのように返却するか。
退職後に必要な書類をどこへ送ってもらうか。
今後の連絡方法をどうするか。
こうした事項まで整理して会社へ通知することができます。
誓約書がある場合ほど、一つ一つ分けて整理した方が退職手続きを進めやすくなります。
退職を申し出た後に新たな誓約書を求められた場合
退職を伝えた後になって、会社から新しい誓約書への署名を求められることもあります。
「この書類にサインしないと退職手続きを進めない」
「退職するならまず誓約書を書いてほしい」
「院長と面談して誓約書を提出してほしい」
このように言われると、会社へ行って署名しなければ辞められないように感じてしまいます。
しかし、退職を考えている段階で新たな書類を出された場合は、その場ですぐに署名するのではなく、まず内容を確認することが大切です。
特に、金銭負担、損害賠償、退職後の行動、秘密保持、貸与品返却などがまとめて記載されている場合は、何について約束する書類なのかを整理しましょう。
すでに会社と直接話すことが負担になっているのであれば、無理に面談へ行ってその場で判断する必要はありません。
退職意思が固まっている場合は、退職通知書を作成し、書面で退職意思を明確にする方法があります。
「会社から書類を出されたから、まず会社へ行かなければ」
と考える前に、現在の状況を一度整理することをおすすめします。
当事務所でも医療関係の退職を内容証明でサポートしています
当事務所でも、誓約書が関係する退職のご相談に対応したことがあります。
医療関係の勤務先で、退職にあたり院長から誓約書の提出を求められていたケースです。
依頼者としては、
「誓約書を書かなければ辞められないのではないか」
「院長と直接話さなければならないのではないか」
という不安を抱えやすい状況でした。
そこで、勤務状況や会社側から言われている内容を整理したうえで、退職意思や退職日などを記載した退職通知書を作成し、内容証明郵便で勤務先へ通知しました。
結果として、会社と直接やり取りを重ねる形ではなく、内容証明による通知を使って退職手続きを進めることができました。
医療機関、クリニック、歯科医院などは、院長との距離が近く、少人数で勤務していることも多いため、退職を直接言い出しにくいことがあります。
さらに誓約書まで求められると、「もう辞められない」と感じてしまうかもしれません。
しかし、似た状況でも、誓約書の内容と現在の勤務状況を確認し、書面で退職意思を整理することで進められる場合があります。
内容証明で退職意思を明確にする方法
誓約書が気になって会社と話せなくなっている場合、内容証明郵便を使って退職意思を通知する方法があります。
内容証明を利用するメリットは、会社と長時間話し合うことではなく、本人の退職意思を文書として明確に伝えられることです。
退職通知書には、状況に応じて、
退職の意思。
退職希望日。
退職日までの有給取得希望。
出社しない期間の扱い。
貸与品の返却方法。
退職後に必要な書類の送付先。
今後の連絡方法。
などを整理して記載します。
誓約書について会社から何か言われている場合も、その状況を確認したうえで文案を作ります。
会社と電話で話すことが怖い方や、院長・社長と直接面談したくない方にとって、書面で退職意思を伝える方法は大きな選択肢になります。
自分で内容証明を作成することもできますが、誓約書が絡むケースでは「何を書けばよいのか」「余計なことまで書いてしまわないか」と迷いやすいところです。
当事務所では、現在の状況を確認したうえで、退職通知書の文案作成から内容証明による発送までサポートしています。
相談前に誓約書や会社からの連絡を確認する
誓約書がある状態で退職を相談する場合は、手元にある資料を確認しておくとスムーズです。
特に確認したいのは、誓約書そのもの、雇用契約書または労働条件通知書、会社から届いているLINE・メール・SMSなどです。
誓約書については、すべて暗記して説明する必要はありません。
写真を撮る、PDFにするなどして、実際の文面を確認できる状態にしておけば十分です。
また、
「退職すると言ったら違約金を請求すると言われた」
「誓約書を書かなければ退職を認めないと言われた」
「院長との面談を求められている」
「家族や身元保証人へ連絡すると言われた」
など、会社から何か言われている場合は、その内容も重要です。
一方で、会社へまだ退職を伝えていない段階でも相談できます。
誓約書があるからどう伝えればいいか分からない。
直接話すと引き止められそう。
会社に行かずに手続きを進めたい。
このような段階から、現在の状況を整理して退職通知の進め方を確認できます。
全部自分で判断してから相談する必要はありません。
まとめ
会社から誓約書を書かされている場合でも、誓約書があるという理由だけで退職できなくなるわけではありません。
「一定期間は辞めない」
「退職したら違約金を支払う」
「損害が出た場合は責任を負う」
このような文言があっても、まずは実際に何が書かれているのかを確認することが大切です。
期間の定めのない雇用契約であれば、退職の意思表示によって雇用契約を終了させる仕組みがあります。
また、退職等を理由とする違約金や損害賠償額をあらかじめ定めることには法律上の制限があります。
一方、秘密保持、患者情報、顧客情報、貸与品返却などは、退職できるかという問題とは分けて整理しておきましょう。
当事務所でも、医療関係の勤務先で院長から誓約書の提出を求められていたケースについて、状況を整理し、退職通知書を作成して内容証明郵便で通知することで、退職手続きをサポートした実績があります。
「誓約書を書いているから辞められないかもしれない」
「辞めたらお金を請求すると言われそうで怖い」
「院長や社長と直接話さずに退職したい」
「誓約書を見ても、自分では何が問題なのか分からない」
このような場合でも、まずは現在の状況から整理できます。
会社へ電話したり面談へ行ったりする前に、誓約書や会社からの連絡内容を確認し、どのような退職通知を送るのがよいか検討しましょう。
誓約書があるからといって、一人で退職を諦める必要はありません。
会社と直接やり取りすることがつらい場合は、内容証明による退職通知を使い、退職意思・退職日・有給・貸与品返却・今後の連絡方法まで書面で整理して進める方法があります。
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