退職日を会社に勝手に決められた、退職日の変更を求められた方へ。変更を拒否できるか、後ろ倒し・前倒し、有給消化中や退職届提出後の変更、希望する退職日を書面や内容証明で伝える方法を行政書士が解説します。
会社に退職日を勝手に決められ、困っている方へ
希望する退職日と変更に同意していないことを、
書面で明確に伝えられる場合があります
「退職日を延ばすと言われた」「有給を使うなら退職日を早めると言われた」という段階でもご相談いただけます。
現在の状況を確認し、内容証明による退職通知で進められるかをご案内します。
ご相談のみでも問題ありません。当初の退職日、会社から提示された日付、これまでのやり取りをお聞かせください。
退職日を勝手に決められたら、まず同意の有無を確認する
退職を伝えたところ、会社から自分が希望していない退職日を指定されることがあります。
「今月末では困るから来月末まで働いてほしい」
「後任が決まるまでは退職させない」
「有給を使うなら退職日を早める」
「もう出社しなくていいので今日付で退職にする」
このように言われると、会社から指定された退職日に従わなければならないのか、自分が伝えた退職日は無効になったのかと不安になるかもしれません。
しかし、会社が別の退職日を提示しただけで、その日付が当然に確定するわけではありません。
まず確認したいのは、自分が会社の提示した退職日に同意したかどうかです。
退職日を変更することについて、本人と会社の双方が納得しているのであれば、合意によって退職日を変更することはできます。
一方で、自分は変更したくないのに、会社が一方的に別の日付を指定している場合は、その場で曖昧な返事をしないことが重要です。
電話で「分かりました」「そうですね」「考えておきます」と返答すると、会社から退職日の変更に同意したと受け取られる可能性があります。
変更を希望していない場合は、当初伝えた退職日に変更がないことを、メールや書面など記録が残る方法で明確にしましょう。
退職日は本人と会社のどちらが決めるのか
退職日の決まり方は、本人がどのような退職意思を伝えたのかによって異なります。
期間の定めのない雇用契約では、労働者は会社に対して退職を申し入れることができます。
原則として退職の申入れから2週間を経過することで労働契約が終了するため、会社が承認しなければいつまでも退職できないものではありません。
例えば、「〇年〇月〇日をもって退職します」と明確に通知した場合、会社が別の日付を希望しているだけで、当然に通知した退職日が変更されるわけではありません。
一方で、「退職したいと考えています」「できれば今月末に辞めたいです」と相談しただけの場合は、まだ退職日が確定していないと会社に受け取られることがあります。
その場合は、会社との話し合いによって退職日を決める流れになる可能性があります。
また、契約社員など期間の定めがある雇用契約では、契約期間の途中で退職できるかについて、契約内容や勤務期間などの確認が必要です。
退職日をめぐって会社との認識が食い違っている場合は、次の点を確認しましょう。
- 会社へ最初に退職を伝えた日
- 口頭・メール・LINE・書面のどれで伝えたか
- 具体的な退職日を明示したか
- 退職願・退職届・退職通知書のどれを提出したか
- 会社から提示された変更に同意したか
- 雇用契約に期間の定めがあるか
退職日の問題は、単に「本人と会社のどちらが強いか」で決まるものではありません。
どのような退職意思を、いつ、どのような文面で会社へ伝えたのかを整理することが大切です。
退職日の変更を求められたら拒否できるのか
会社から退職日の変更を求められても、必ず受け入れなければならないわけではありません。
会社が人手不足で困っている、引継ぎが終わっていない、繁忙期であるといった事情から、退職日を延ばしてほしいとお願いされることはあります。
本人が納得して変更するのであれば問題ありません。
しかし、すでに退職意思と退職日を明確に通知しており、変更を希望していないのであれば、当初の退職日に変更がないことを伝えることができます。
会社から強く言われた場合でも、その場ですぐに返事をする必要はありません。
「退職日の変更については同意しておりません」
「当初通知した〇年〇月〇日をもって退職する意思に変更はありません」
このように、変更を希望していないことを文面で伝えましょう。
電話だけで対応すると、後から「本人も変更に同意した」と言われる可能性があります。
退職日の変更を拒否する場合は、会社を非難する文章ではなく、当初の退職日と変更に同意していないことを簡潔に伝えるのが基本です。
退職届を提出した後に変更を求められた場合
退職届を提出した後に、会社から退職日を変更するよう求められることがあります。
この場合は、提出した書類の表題だけでなく、文面の内容を確認する必要があります。
「退職願」として、「〇年〇月〇日をもって退職させていただきたく、お願い申し上げます」と記載した場合は、会社に対する合意退職の申込みとして扱われることがあります。
一方で、「〇年〇月〇日をもって退職いたします」と明確に記載した退職届や退職通知書は、退職する意思を会社へ通知する内容になっています。
ただし、「退職願」「退職届」という表題だけで法的な意味が決まるわけではありません。
退職をお願いしている文面なのか、退職する意思を明確に通知している文面なのかを、書類全体から確認する必要があります。
また、一度確定した退職日を、本人の都合で後から変更したい場合も、自由に変更できるとは限りません。
退職日について会社と合意している場合や、明確な退職意思がすでに会社へ到達している場合は、本人から変更を求める際にも会社との調整が必要になることがあります。
退職届を提出した後に会社から別の日付を言われた場合は、提出した書類の控えと、会社とのメールやLINEを保存しておきましょう。
会社が退職日を後ろ倒しにした場合
会社が退職日を後ろに延ばそうとするケースは少なくありません。
「今月末では引継ぎが間に合わない」
「後任が決まるまで辞められない」
「就業規則では2か月前に申し出ることになっている」
このように言われると、会社が指定した日まで働かなければならないように感じるかもしれません。
しかし、人手不足や後任者が決まっていないことだけを理由に、退職日を無期限に延ばせるわけではありません。
期間の定めのない雇用契約について、退職の意思と退職日を明確に通知している場合は、会社の承認が出るまで退職できないものではありません。
会社側が退職日の変更を希望することはできますが、本人が変更を希望していないのであれば、当初通知した退職日に変更がないことを明確に伝えましょう。
引継ぎについては、対応可能な範囲で資料を作成する、担当業務の進捗をまとめるなど、退職日までにできる対応を整理します。
その一方で、会社が納得するまで退職日を延ばし続ける必要はありません。
電話で言い合うのではなく、当初の退職日と退職意思に変更がないことをメールや書面で伝えることが重要です。
会社が退職日を前倒しにした場合
本人が希望した退職日よりも前の日付を、会社から指定されることもあります。
例えば、月末退職を伝えたところ、「もう来なくていいので今日付で退職にする」と言われるケースです。
また、有給休暇の取得を希望したら、「それなら有給を使わせず、退職日を明日にする」と言われることもあります。
会社が本人の希望よりも早い日付で雇用関係を終了させようとする場合は、単なる退職日の調整だけではなく、退職日までの賃金や有給休暇の扱いにも影響します。
本人が前倒しに同意していない場合は、会社から提示された日付をすぐに受け入れないことが重要です。
「退職日は当初通知した〇年〇月〇日を希望しており、会社から提示された前倒しの退職日には同意しておりません」
このように、前倒しへの同意がないことを記録に残しましょう。
「もう来なくていい」と言われた場合も、それだけで退職日がいつになったのか、出勤しなくてよい期間の賃金がどうなるのかは明確ではありません。
会社が提示している退職日、出勤の要否、賃金や有給休暇の扱いを文面で確認することが大切です。
有給消化中に退職日を変更された場合
退職日までの期間に有給休暇を取得し、そのまま出社せずに退職したいと考える方は少なくありません。
ところが、有給取得を希望したところ、会社から次のように言われることがあります。
「退職する人に有給は使わせない」
「有給を使うなら退職日を早める」
「最終出勤日を退職日にする」
退職予定者であっても、在籍中であれば年次有給休暇を取得できます。
会社には一定の場合に有給休暇の時季を変更する権利がありますが、退職日より後の日へ変更することはできません。
そのため、退職日までの所定労働日に有給休暇を取得したい場合は、退職日と有給取得希望を明確に伝えておくことが重要です。
会社が退職日を一方的に早めると、予定していた有給休暇だけでなく、退職日までの賃金や社会保険の扱いにも影響する可能性があります。
会社から有給休暇を理由に退職日を変更すると言われた場合は、その場で了承せず、次の事項を文面で確認しましょう。
- 当初通知した退職日
- 有給休暇の残日数
- 有給休暇を取得する予定期間
- 会社が提示した変更後の退職日
- 退職日変更の理由
- 退職日までの賃金や社会保険の扱い
退職日と有給取得期間を一つの書面にまとめて通知しておくと、会社との認識のズレを防ぎやすくなります。
変更に同意していないことを伝える文例
会社から退職日の変更を求められた場合は、感情的な文章を送る必要はありません。
当初の退職日と、変更に同意していないことを簡潔に伝えます。
基本的な文例は、次のとおりです。
先にお伝えしましたとおり、〇年〇月〇日をもって退職する意思に変更はありません。
会社から提示された退職日の変更については同意しておりません。
退職手続きに関する今後のご連絡は、記録保持および行き違い防止のため、メールまたは書面にてお願いいたします。
有給休暇を取得して退職する場合は、次の内容も追加します。
退職日までの所定労働日につきましては、残存する年次有給休暇を取得いたします。
会社貸与品を郵送で返却する場合や、退職書類を自宅へ送ってほしい場合は、その内容も併せて記載します。
ただし、退職日がまだ明確に決まっていない場合や、会社が提示した日付に一度同意する返答をしている場合は、事実関係に合わせて文面を調整する必要があります。
内容証明で退職日を明確に通知する方法
会社から退職日を勝手に決められた場合や、変更に同意していないことを伝えても話が進まない場合は、内容証明で退職日と退職意思を通知する方法があります。
内容証明郵便を利用すると、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに差し出したのかを記録として残すことができます。
さらに配達証明を付けることで、会社へ配達された事実も確認できます。
退職通知書には、主に次の内容を記載します。
- 退職の意思
- 希望する退職日
- 会社が提示した変更に同意していないこと
- 有給休暇の取得希望
- 貸与品の返却方法
- 退職関係書類の送付依頼
- 今後の連絡方法
会社から退職日を後ろ倒しにされている場合は、当初通知した退職日をもって退職する意思に変更がないことを明記します。
退職日を前倒しにされている場合は、会社が提示した前倒しの日付に同意していないことを明確にします。
内容証明は、会社を非難するための文書ではありません。
退職日と退職意思を明確にし、後から「別の日付に同意した」「退職日はまだ決まっていなかった」と言われることを防ぎやすくするための方法です。
会社と直接やり取りするのが難しい場合
退職日を会社に勝手に決められたり、変更するよう強く求められたりすると、自分で冷静に対応することが難しくなります。
「上司からの電話で強く言われ、断れない」
「退職日を延ばされているが、もう会社へ行きたくない」
「有給を使いたいのに、退職日を早めると言われた」
「どの日付を書いて退職通知を送ればよいか分からない」
このような状態で何度も電話や面談を繰り返すと、本人が希望していない退職日に同意したような形になる可能性があります。
行政書士に依頼する場合は、これまでのやり取りや雇用状況を確認し、退職意思、退職日、有給取得希望、貸与品の返却方法、退職書類の送付依頼、今後の連絡方法などを退職通知書として整理できます。
会社を過度に刺激する表現を避けながら、本人が希望する退職日と変更に同意していないことを文書で明確にできます。
会社から別の退職日を提示されている段階でも、まずは当初の退職日、会社から提示された日付、自分がどのように返答したのかを整理するところから始められます。
まとめ
退職日を会社に勝手に決められたり、すでに伝えた退職日を変更されたりしても、会社が提示した日付が当然に確定するわけではありません。
最初に確認すべきなのは、自分が会社の提示した退職日に同意したかどうかです。
変更に同意しておらず、当初の退職日で退職したい場合は、次の点を文書で明確にしましょう。
- 退職意思に変更がないこと
- 当初通知した退職日
- 会社が提示した変更に同意していないこと
- 有給休暇の取得希望
- 今後の連絡方法
会社から退職日を後ろ倒しにされた場合と、前倒しにされた場合では、確認すべき内容が異なります。
後ろ倒しの場合は、会社の都合だけで退職日を無期限に延ばされないよう、当初の退職日を明確にします。
前倒しの場合は、退職日までの賃金や有給休暇の扱いにも影響する可能性があるため、同意していないことと会社の処理内容を確認します。
「退職日を会社に勝手に決められた」
「退職日の変更を求められたが拒否したい」
「退職届を提出した後に別の日付を言われた」
「会社と直接話さずに退職日を明確にしたい」
このような場合は、内容証明によって退職意思、退職日、変更に同意していないことを通知する方法があります。
会社から言われた日付にその場で流されず、現在の状況を整理したうえで、記録が残る文書により退職手続きを進めましょう。
会社に退職日を勝手に決められ、困っている方へ
希望する退職日と変更に同意していないことを、
書面で明確に伝えられる場合があります
「退職日を延ばすと言われた」「有給を使うなら退職日を早めると言われた」という段階でもご相談いただけます。
現在の状況を確認し、内容証明による退職通知で進められるかをご案内します。
ご相談のみでも問題ありません。内容をご確認いただいたうえで正式にご依頼いただけます。
ご相談から退職通知の発送まで
当初の退職日、会社から提示された日付、これまでの返答などをお伺いします。
内容証明による退職通知で進められるかを確認し、料金をご案内します。
退職日、変更への意思、有給休暇、貸与品、今後の連絡方法などを整理します。
作成した退職通知書を会社へ発送し、発送後の確認事項についてもご案内します。
※退職日が確定しているか分からない場合や、会社へ曖昧な返答をしてしまった場合でも、現在の状況を確認したうえで進め方をご案内します。


