民法627条の「2週間前の予告」は、即日退職を禁止する規定ではありません。本記事では、即日退職が認められる理由、出社義務の有無、安全に辞めるためのポイントを行政書士が解説します。
1.民法627条とは?(まず結論)
民法627条は、
「期間の定めのない雇用」は
退職の申入れから2週間で終了する
と定めています。
◎最初に結論
- 民法627条は「退職日の決まり方」を示した条文であり
- 退職届提出後2週間働けという義務ではない
- よって、即日退職(本日付退職)は法的に可能
ここが最も重要なポイントです。
会社側ですら誤解しているケースが多く、
「2週間は働け」と言われてしまうことがありますが、
これは法的には誤りです。
2.「2週間ルール」は出社義務ではない理由
民法627条の趣旨は
“労働契約がいつ終了するか” を決めているだけであり、
“どこまで働かなければならないか” を定めたものではありません。
■退職届提出後の「労務提供義務」は事実上消失する
退職届が会社に到達した後、
会社は通常、引き継ぎや退勤処理を前提とした対応をとります。
しかし、実務上は
- 出社しなくても懲戒できない
- 欠勤を理由に損害賠償はほぼ認められない
- 精神不調・安全配慮の観点から出社義務を課しにくい
という運用が一般的です。
■2週間=“雇用契約の終了日”であり“労務義務”ではない
裁判例でも、
「2週間働け」という解釈は否定されています。
3.即日退職が可能な法的根拠
即日退職が可能である理由は大きく3つあります。
◎① 民法627条は「退職日の確定」を定めているだけ
退職届提出直後に欠勤しても、
退職が無効になるわけではありません。
◎② 懲戒解雇にできない
退職届提出後の欠勤を理由に懲戒することは、
裁判例で否定されています。
◎③ 損害賠償は極めて例外的でしか認められない
「あなたが来なかったせいで損害が出た」
という会社側の主張は、ほぼ認められません。
要するに、
即日辞めることによって法的責任を負うケースは極めて稀
ということです。
4.会社側がよく誤解している点
退職トラブルの多くは、
会社側の誤解・法律知識不足に起因しています。
■誤解①:「2週間働かないと辞められない」
→ × 誤り
退職日は2週間後だが、出社義務ではない。
■誤解②:「即日退職は違法」
→ × 退職の意思表示は一方的に可能。
■誤解③:「退職を認めない」
→ × 会社に拒否権はない。
■誤解④:「有給は使わせない」
→ × 時季変更権を乱用できず、退職時の有給消化は広く認められる。
会社側がこのような誤解を持っている場合、
書面で意思表示を行うことが極めて重要です。
5.安全な即日退職を実現するポイント
即日退職は合法とはいえ、
次の点を押さえて進める必要があります。
◎ポイント①:退職届は“到達”させる
メール・口頭・LINEでは不十分。
確実に到達が証明できる方法が必要。
◎ポイント②:退職日設定を誤らない
- 本日付退職
- 到達日退職
- 有給消化後退職
どれを採用するかでリスクが変わる。
◎ポイント③:会社との接触を最小限に
心理的に追い込まれている場合、
電話や対面での引き止めは危険。
書面で淡々と処理すべき。
◎ポイント④:返却物や社会保険を整理する
即日退職後の事務処理がスムーズでないと、
会社とのやり取りが再発する可能性がある。
6.内容証明が即日退職と相性が良い理由
内容証明は、即日退職スキームにおいて
“中心となるツール”です。
■理由①:到達日=退職日を確定できる
一般郵便では証明力が弱い。
■理由②:受取拒否でも到達扱い
会社側の妨害が無意味になる。
■理由③:会社の不当行為を抑止
法的文書であるため、
強引な引き止めを防ぎやすい。
■理由④:「今日から出社不要」の説明がしやすい
行政書士は法的根拠を示しながら
出社義務の実質的消失を案内できる。
7.弊所が行う「退職代行サービス」
弊所の退職代行サービスでは、
以下のように即日退職を安全に構築します。
◎STEP1|状況ヒアリング
雇用形態・有給・未払い・返却物など整理。
◎STEP2|退職日設定
- 本日付
- 到達日
- 有給消化後
最適パターンを選択。
◎STEP3|内容証明作成
退職意思表示・退職日・返却物・連絡制限など
必要事項を法的に整合した形で文章化。
◎STEP4|発送
配達証明付きで会社に郵送。
◎STEP5|到達後の行動指針
本日以降の出社不要の理由を説明し、
会社から連絡が来た場合の受け答えテンプレートを共有。
8.まとめ|即日退職は“合法的に可能”
民法627条は、
「2週間前に退職を申し入れれば契約が終了する」
と定めた条文であり、
- 即日退職を禁止しているわけではなく
- 2週間働く義務を課しているわけでもない
という点が最も重要です。
内容証明を活用することで、
退職日の確定・証拠保全・不当行為の抑止が可能になり、
安全に即日退職を実現できます。
行政書士による支援は、
交渉を行わない安全な枠組みで
「今日から会社に行かなくてよい状態」を作る手段として最適です。


