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派遣社員の退職を内容証明で行う場合、派遣元・派遣先との関係整理【行政書士が体系的に解説】

派遣社員が退職する際、内容証明を送るのは派遣元なのか?派遣先への通知は必要か?本記事では、派遣契約の構造、退職時の正しい連絡先、即日退職の可否、実務上の注意点を行政書士が詳しく解説します。

1.派遣社員の退職は「誰に」伝えるべきか

まず最も重要なポイントは、
派遣社員の退職は派遣元(派遣会社)に対して行う という原則です。


◎派遣社員の労働契約は「派遣元」と結んでいる

  • 派遣元:あなたを雇用している会社
  • 派遣先:実際に働いている会社

派遣先は業務指示を行う立場にありますが、
退職届の提出先ではありません。

労働契約は派遣元と締結しているため、
退職の意思表示は派遣元に対して行う必要があります。


◎派遣先に直接伝えても退職は成立しない

派遣先に「辞めます」と伝えても、
法的には派遣元に通知していなければ退職扱いになりません。

この構造を理解していないと、
「退職が認められない」「契約が残っている」
といったトラブルにつながります。


2.内容証明を送る相手が派遣元である理由

内容証明を使う場合も、
送付先は 派遣元(営業担当/人事部) です。

理由は明確で、
内容証明は 「労働契約の相手方に退職を通知する書面」 だからです。


◎派遣元に送ることで退職の効力が確実に発生する

労働契約の終了を正しく成立させるためには、
退職の意思表示が派遣元へ「到達」する必要があります。

内容証明郵便・配達証明を利用すれば、
意思表示が到達した事実を客観的に証明できます。


◎派遣先は「通知先ではない」

派遣先に内容証明を送る必要はありません。
そもそも派遣先はあなたを直接雇用していないため、
退職手続を行う権限がありません。

ただし派遣元は、
あなたの退職を受けて派遣先に業務調整を行います。


3.派遣先との関係はどうなる?通知は必要?

結論:
あなたから派遣先へ直接通知する必要はありません。


◎派遣先へは派遣元が連絡する

退職が成立すれば、
派遣元が派遣先に対して「契約終了の手続き」を行います。

したがって、あなたが派遣先の上司や現場責任者へ
退職を説明する義務はありません。


◎派遣先が電話してくるケース

派遣先があなたに電話をすることはありますが、
応じる義務はありません。

内容証明に次のようなお願い文言を入れることで、
派遣先からの連絡を最小限にできます。

心身の負担が大きいため、直接のお電話はお控えいただけますと幸いです。


4.民法627条から見る退職日の設定(2週間ルール)

派遣社員でも適用される退職ルールは通常と同じで、
民法627条によって次のように扱われます。


◎原則:退職の意思表示から2週間で退職が成立

派遣契約の期間が定められている場合でも、

  • 労働条件が著しく相違
  • 心身不調
  • 過重労働
    などがあれば「やむを得ない事由」(民法628条)として
    即時退職も視野に入ります。

◎契約期間途中の場合

派遣社員は有期契約であることも多いですが、
実務上は「やむを得ない事由」があれば退職は認められます。

契約期間が1ヶ月未満の短期派遣などの場合も同様です。


5.即日退職は可能か──実務的な判断基準

派遣社員の即日退職は、
条件が揃えば可能です。


◎即日退職が認められやすいケース

  • 心身不調(医療機関の通院歴があれば有利)
  • ハラスメント被害
  • 労働条件が著しく異なる
  • 賃金未払
  • 深刻な人間関係トラブル

これらは民法628条の「やむを得ない事由」に該当し得ます。


◎即日退職が難しいケース

  • 特段の事情なく「今日辞めたいだけ」
  • 派遣元・派遣先が代替要員を確保できないと主張してくる場合

ただし、
内容証明を使えば「到達日退職」で早期に離脱できる ことも多いです。


6.内容証明に盛り込むべき文言(派遣向け)

派遣社員の退職通知では、
以下のポイントを盛り込むとトラブル防止になります。


■① 労働契約の相手方が派遣元であることを前提に通知

本書面をもって貴社との労働契約を終了する意思を通知いたします。


■② 退職日(到達日退職が有効)

退職日は本書面の到達日といたします。


■③ 業務内容・労働条件の不一致がある場合

労働条件が当初説明と異なり、継続勤務が困難です。


■④ 電話連絡の制限(お願いベース)

可能な限り、直接のお電話はお控えいただけますと幸いです。


■⑤ 派遣先への連絡を当方で行わない旨

派遣先への連絡は貴社にてご対応いただきたく存じます。


7.会社側が示しやすい反応と正しい整理

派遣社員の退職では、派遣元が次のような反応を示すことがあります。


◎反応①「派遣先の了承が必要」

→ 不要。退職の主体は派遣元との契約。


◎反応②「契約期間が残っているから辞められない」

→ 民法628条により「やむを得ない事由」があれば即時退職は可能。


◎反応③「派遣先が困るので退職日はずらしてほしい」

→ あくまで要請であり、強制ではない。


◎反応④「直接話し合いが必要」

→ 法的義務はない。


派遣社員の退職をめぐる混乱は、
派遣元・派遣先・労働者の役割を混同していること が原因です。


8.返却物・勤怠処理・給与など派遣特有の注意点

派遣社員には派遣特有の実務ポイントがあります。


◎① 貸与物の返却は派遣元へ

  • IDカード
  • 制服
  • PC、備品など

派遣先から貸与されている物でも、
返却窓口は派遣元であることが多いです。


◎② 勤怠締め日の違いに注意

派遣元の給与支払サイクルは企業ごとに異なり、
退職月の給与計算にずれが生じる可能性があります。


◎③ 派遣元の社会保険加入状況を確認

退職日により資格喪失日が決まります。


◎④ 派遣先からの連絡が来ても対応義務なし

書面で意思表示しているため問題ありません。


◎⑤ 派遣契約とあなた個人の退職は別の手続

派遣先との契約終了は派遣元が処理します。


9.まとめ|派遣社員の退職は派遣元への書面が最重要

派遣社員の退職は、
単純な「会社を辞める」という話ではなく、
派遣元・派遣先・労働者の三者関係 を理解する必要があります。

しかし根本はシンプルで、

  • 退職通知の相手は派遣元
  • 内容証明で退職意思を確実に伝えられる
  • 派遣先へ直接連絡する必要はない
  • 即日退職も条件次第では可能
  • トラブルを避けるには書面化が重要

この5点を押さえれば、安全に退職できます。

出社や電話が精神的負担になっている場合でも、
内容証明を使えば最短ルートで手続きを完結できます。

電話連絡なしで、法的に安全に退職したい方へ

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