退職代行の料金は、提供される業務範囲や法的関与の度合いによって2万円台から5万円台まで幅があります。本記事では、民間退職代行・弁護士・行政書士による内容証明退職サポートの相場を整理し、22,000〜44,000円という価格帯にどの程度のサービスが含まれるのかを具体的に解説します。
1.退職代行の主なタイプと料金相場の全体像
一口に「退職代行」といっても、
実際には次の3つのタイプに分かれます。
- 民間退職代行(電話・LINE型のサービス)
- 弁護士事務所による退職サポート
- 行政書士事務所による内容証明退職サポート
それぞれの「平均的なレンジ感」は概ね以下の通りです。
- 民間退職代行:2万円台〜3万円台前後
- 弁護士型:3万円台後半〜5万円台以上(内容によって変動)
- 行政書士・内容証明型:2万円台〜4万円台程度
同じ「退職をサポートする」サービスでも、
金額だけでなく 業務範囲と責任の取り方が根本的に異なる ため、
単純に「この金額なら安い・高い」と評価できるものではありません。
2.民間退職代行の料金帯とカバー範囲の特徴
まず、もっとも数が多いのが 民間退職代行 です。
●料金帯のイメージ
- 正社員・契約社員:20,000〜30,000円前後
- アルバイト・パート:15,000〜25,000円前後
広告上は「一律〇〇円」という表示が多く、
分かりやすさ・手軽さを打ち出している事業者が多数です。
●料金に含まれがちな内容
- 会社への電話連絡・メール連絡
- 退職の意思の伝達
- 出社しなくてよい旨の伝達(会社への説明)
- 確認事項のやり取り(退職日や貸与物など)
一方で、
- 書面の作成・内容証明
- 退職日の法的整理
- ハラスメント・長時間労働の事実整理
- 退職後トラブルへの予防線づくり
といった 「書面の設計」までは手が回らない ことも多く、
あくまで「現場での連絡・調整役」としての色合いが強い料金体系です。
3.弁護士による退職サポートの相場と位置づけ
次に、弁護士事務所による退職サポートです。
●料金帯のイメージ
- 相談料:30分〜1時間あたり数千円〜1万円程度
- 退職代行・交渉:30,000〜60,000円程度〜
- 未払い残業代請求などは「成功報酬+着手金」の形も多い
●料金に含まれる価値
- 会社との交渉・和解案の提示
- 損害賠償請求・反論などの「法的主張」
- 必要に応じて訴訟への移行
「争うこと」を前提にした業務が含まれるため、
どうしても費用は高くなりがちです。
- 未払い残業代を請求したい
- 不当解雇・懲戒解雇を争いたい
- 損害賠償を請求/請求されている
といった 法的紛争に近い案件 では、
弁護士費用を払ってでも依頼する意義があります。
4.行政書士による内容証明退職サポートの料金イメージ
行政書士による内容証明特化の退職サポートは、
民間退職代行と弁護士の中間に位置するイメージです。
●料金帯の一例
- 正社員・契約社員向け:33,000〜44,000円(税込)
- アルバイト・パート向け:22,000〜33,000円(税込)
このレンジは、
「民間退職代行よりも、書面と法的整理に力を入れる」
「弁護士ほどの交渉・訴訟までは前提としない」
というコンセプトに対応した価格帯です。
●行政書士型の特徴
- 退職の意思表示を内容証明で書面化
- 退職日の設定パターンを法的に整理
- 貸与物返却・各種手続きのガイドを提供
- 会社への電話連絡・交渉は行わない(非弁リスク回避)
「交渉」は行わない代わりに、
退職そのものの形を整えることに集中する 料金構造といえます。
5.22,000〜44,000円の価格帯に含まれるサービス内容
ここからは、
22,000〜44,000円という価格に何が含まれているのか を、
具体的に分解していきます。
※実際のサポート範囲は、雇用形態や事案の内容・複雑さにより異なり、22,000円帯では基本的な整理・案内を中心に、33,000円以上では個別事情を踏まえた設計まで対応するケースが一般的です。
ここでは、行政書士による内容証明退職サポートのイメージとして説明します。
① 初回ヒアリング(状況整理)
- 雇用形態(正社員・契約社員・アルバイト等)
- 勤続年数・就業状況
- 希望する退職日・有給残日数
- ハラスメント・長時間労働などの有無
- 欠勤状況・体調面の事情
ここで
「どの退職日設定パターンが現実的か」
「内容証明に何を盛り込むべきか」を整理します。
② 退職届(内容証明)文案の作成
- 退職の意思表示
- 退職日(到達日/本日付/有給消化後)
- 貸与物の返却方法・期限
- 本人への直接連絡を控えてもらう旨の「お願い文言」
- 出社困難に至った経緯の要約(必要に応じて)
単なるテンプレではなく、
事案ごとのニュアンスを反映させた文案 を作成します。
③ 内容証明郵便の発送代行
- 内容証明郵便作成
- 郵便局での手続き代行
- 追跡番号等のご案内
これにより、
「いつ」「どこに」「どのような内容で」退職意思を通知したか
が、客観的な証拠として残ります。
④ 「当日から出社不要」のロジックの説明
- 退職の意思表示と出社義務の関係
- 民法627条の「2週間ルール」の正しい理解
- 到達日退職/本日付退職/有給消化後退職の違い
などを、
感覚ではなく条文と実務ベースで説明 します。
「なぜ今日から行かなくていいと言えるのか?」
という不安に対して、論理的な裏付けを示します。
⑤ 会社からの連絡への備え(テンプレート文言)
- 電話がかかってきた場合の受け答え例
- メールでの返信テンプレート
- 「出社して説明しろ」と言われたときの考え方
完全な交渉は行いませんが、
本人が最低限のコミュニケーションで済むよう、
事前にセリフを用意しておくイメージ です。
⑥ 退職後の実務ガイド(チェックリスト)
- 社会保険・雇用保険・年金の取扱い
- 住民税・源泉徴収票の確認
- 貸与物の返却方法(郵送・宅配便等)
- 次の仕事が決まるまでに確認しておきたいこと
いわゆる「辞めたその後」の不安を軽減するためのガイドも、
この価格帯に含めて提供するイメージになります。
6.料金だけで比較すると失敗しやすいポイント
退職代行を検索すると、
どうしても 「一番安いところ」 に目が行きがちです。
しかし、退職は人生に何度もあるイベントではありません。
料金だけで選ぶと、次のようなミスマッチが起こります。
●「安かったけど、証拠が何も残っていない」
→ 電話ベースのやり取りのみで、
退職日・退職理由・経緯が記録されていない。
●「有給や退職金の扱いが曖昧なまま終わってしまった」
→ 金額だけ見て選んだ結果、
法的な整理や説明までフォローされていなかった。
●「トラブルになったときに、守ってくれる材料がない」
→ 懲戒・クレームが出てきても、
当時の通知内容を証明できず、不利になりやすい。
退職代行を検討するときは、
「この料金の中に、どこまでの設計とケアが入っているのか」
を必ず確認することが重要です。
7.自分に合った価格帯を選ぶためのチェックリスト
最後に、
自分に合った価格帯を選ぶための簡易チェックをまとめます。
■民間退職代行(2〜3万円台)が向きやすいケース
- 短期バイト・パートで、深刻なトラブルはない
- 証拠よりも「とにかく電話してほしい」が優先
- 退職後に会社と争うつもりはない
■行政書士・内容証明退職(22,000〜44,000円)が向きやすいケース
- 正社員・契約社員として働いてきた
- 電話はしたくないが、法的に安全な形で辞めたい
- 退職後のトラブルも含めて予防しておきたい
- 「今日から出社したくない」という気持ちと、法的な安心感の両方が欲しい
■弁護士型(3万円台後半〜5万円以上)が向きやすいケース
- 未払い残業代・退職金など金銭請求をしたい
- 懲戒解雇・損害賠償など、すでに紛争モードになっている
- 会社と本格的に争う覚悟があり、そのための投資と割り切れる
8.まとめ|「金額」ではなく「何が含まれているか」で比較する
退職代行の料金は、
2万円台から5万円台以上まで幅がありますが、
価格の差=サポート内容の差 です。
- 電話での連絡を代わりにしてほしいのか
- 書面で退職の形を整えたいのか
- 交渉・紛争まで見据えているのか
によって、
適切な価格帯と依頼先は変わります。
22,000〜44,000円というレンジは、
「電話を一切使わず、
内容証明で退職を法的に安全な形に整える」
ために必要な、
- ヒアリング
- 文案作成
- 内容証明発送サポート
- ロジック説明
- 退職後ガイド
までを含めた トータルの設計費用 と考えていただくとイメージしやすいはずです。


