契約トラブルを回避するために重要な「解除条項」。解除の種類や条文構成、実務での注意点を行政書士がわかりやすく解説します。
1. 解除条項とは?
解除条項とは、契約を途中で終了させる条件や手続きを定めた条項のことです。
契約は一度締結すれば、原則として双方に拘束力を持ちますが、現実の取引では「事情の変化」や「相手方の不履行」によって契約を継続できない場合があります。
解除条項を設けることで、どのような場合に契約を終了できるのか、また解除後の責任や精算をどう扱うかを明確にします。
つまり、解除条項は「契約の終わらせ方を決めておくためのルール」といえます。
2. 契約解除の主な種類
契約の解除には、大きく分けて次の3種類があります。
(1)債務不履行解除
契約当事者の一方が約束を守らなかった場合に、相手方が契約を解除できるものです。
例:納期遅延、支払い遅延、品質不良など。
例文:
「相手方が本契約の義務を履行しない場合、相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がないときは、本契約を解除することができる。」
(2)無催告解除
重大な違反や信用失墜行為があった場合、催告なしで直ちに解除できるようにする規定です。
「相手方が支払停止または破産手続の開始申立てを受けた場合は、催告を要せず本契約を解除できる。」
(3)任意解除(合意解除)
契約期間中であっても、一定の条件(通知期間など)を満たせば一方的に終了できるようにする条項です。
「当事者の一方は、30日前までに書面で通知することにより本契約を解除できる。」
業務委託契約や顧問契約など、継続的な契約ではこの任意解除の規定が欠かせません。
3. 解除条項に盛り込むべき要素
解除条項を適切に設計するためには、以下の要素を明確にしておく必要があります。
- 解除事由(どんな場合に解除できるか)
支払遅延・債務不履行・信用不安・法令違反など、解除できる具体的な事由を列挙します。
→ あいまいな表現ではなく、「○日以上支払いが遅延した場合」など明確にすることがポイントです。 - 催告の有無
通常は「相当期間を定めて催告し、それでも是正されない場合に解除可能」としますが、重大な違反行為は無催告解除を可能にします。 - 通知の方法
解除の意思表示をどのように行うかを明記します。
→ 「書面(電子メールを含む)による通知をもって行う」とするのが一般的です。 - 解除の効果・精算方法
解除後の支払い、納品済み成果物の扱い、損害賠償請求の可否などを明確にします。
→ 「解除前に履行された部分については有効」と明記するケースもあります。 - 再発防止・残務整理の取り決め
契約終了後も守秘義務など一部の義務が継続する場合には、その旨を明示します。
4. 実務上の注意点とトラブル防止策
解除条項に関しては、実務上次のようなトラブルが多く見られます。
- 解除事由が抽象的で解釈が分かれる
「信用を失った場合」「不誠実な行為があった場合」などの表現は曖昧です。
→ 対策:判断基準を明確にし、具体的な事例を示すと良い。 - 解除手続きが不明確
「通知によって解除する」とだけ書くと、口頭通知でも有効とされる場合があります。
→ 対策:「書面または電子メールによる通知に限る」と限定する。 - 解除と損害賠償の関係を整理していない
解除後に損害賠償請求をする場合、その根拠を条項に残しておく必要があります。
→ 「本契約の解除は損害賠償請求を妨げない」と明記すると安心です。 - 継続契約での任意解除が設定されていない
期間の定めがない契約で任意解除条項を入れないと、相手方の同意なしに契約を終了できません。
→ 対策:30日〜60日前の事前通知による任意解除を明記しておく。
契約書作成の実務では、契約の「締結」だけでなく「終了」も含めたリスク設計が重要視されます。
解除条項は、まさにその出口戦略の核となる部分です。
5. まとめ:解除条項で「終わり方」を設計する
契約は始まりだけでなく、終わり方をどう設計するかによってトラブル発生率が大きく変わります。
解除条項を適切に設けることで、以下の3つのリスクを抑えられます。
- 債務不履行など相手方の違反に迅速に対応できる
- 事業環境の変化に柔軟に対応できる
- 契約終了後の残務整理・損害賠償を明確にできる
行政書士は、契約の目的や期間、当事者の立場に合わせて、実務的で公平な解除条項を設計します。
「最悪の事態を想定しておくことが最良の契約書づくり」の基本です。
行政書士が、契約終了時のトラブルを防ぐための解除条項を実務目線で設計します。
公平かつ柔軟な契約書を整えて、安心できる取引を実現しましょう。
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