ブログ

契約書における個人情報保護条項の基本と実務対応を行政書士がわかりやすく解説

個人情報の取得・利用・提供は契約書でどう定めるべき?漏えい防止や委託先管理まで含めた個人情報保護条項のポイントを行政書士が解説。

1. 個人情報保護条項とは?

個人情報保護条項とは、取引や業務の過程で知り得た個人情報について、取得・利用・保存・提供のルールを定める条項のことです。

たとえば、

  • 顧客情報
  • 従業員情報
  • Webフォームから収集するデータ
  • 会員情報

など、事業の中で個人情報を扱う場面は非常に多くあります。

契約書で適切に定めておかないと、
情報漏えいや不正利用が発生した場合に大きなトラブルにつながります。
特に近年は個人情報保護法の改正も頻繁で、実務でも重要性が増しています。


2. 個人情報保護を契約書で定める理由

契約書で個人情報保護条項を定める理由は、大きく3つあります。


(1)法令遵守(コンプライアンス)

個人情報保護法では、

  • 利用目的の特定
  • 委託先の監督
  • 安全管理措置
    などの義務が定められています。

契約書に条項を入れておくことで、当事者双方が法令遵守を徹底できます。


(2)漏えい・不正利用の抑止

契約で「やってはいけないこと」を明記しておくことで、
従業者や外注先による情報持ち出しや不正利用を防ぐ効果があります。


(3)責任の所在を明確化する

漏えい事故が起きたとき、
「誰がどこまで責任を負うのか」
を契約書で明確にしておくことで、不必要な紛争を防げます。

個人情報保護条項は、会社の信用を守る基盤です。


3. 条文例と最低限入れるべき要素

個人情報保護条項では、次の内容を必ず盛り込みます。


(1)定義(何が個人情報か)

「氏名・住所・電話番号・メールアドレス・生年月日その他特定の個人を識別できる情報」

と明確にしておきます。


(2)利用目的

「本契約の履行に必要な範囲でのみ利用する」

と限定します。


(3)第三者提供の禁止

「本人の同意がある場合または法令に基づく場合を除き、第三者に提供してはならない」

は必須条項です。


(4)委託先管理

「外部委託する場合は、受託者が同等の個人情報保護措置を講じさせる」

という義務を課します。


(5)安全管理措置

・アクセス制限
・パスワード管理
・暗号化
・紙資料の管理

などを求めることが多いです。


(6)契約終了後の取扱い

「個人情報は返却または完全に廃棄する」

など、終了後の扱いも必ず定めます。


◆条文例(シンプル版)

第○条(個人情報の取扱い)
1.甲および乙は、本契約の履行に必要な範囲内で個人情報を取り扱うものとする。
2.当事者は、本人の同意または法令に基づく場合を除き、個人情報を第三者に提供してはならない。
3.外部委託を行う場合、委託先に本条と同等の義務を負わせるものとする。
4.契約終了後、当事者は取得した個人情報を速やかに返却または廃棄するものとする。

契約書作成の実務としては、業務内容に合わせて「安全管理措置の具体化」まで踏み込んだ条項設計を行います。


4. 委託先管理と漏えい防止策のポイント

個人情報保護では、契約書の文言よりも「運用」が重要です。
実務で特に注意すべきポイントは以下のとおりです。


(1)委託先の選定基準を明確にする

委託先の個人情報管理体制が不十分だと、漏えいリスクは一気に高まります。
契約前に管理レベルをチェックするのが理想です。


(2)秘密保持契約(NDA)の併用

個人情報保護条項とNDAは役割が異なるため、可能なら両方締結し、情報管理の精度を上げます。


(3)アクセス権限の最小化

「必要な人だけがアクセスできる」体制を作ることが基本です。
ID管理、ログ管理も有効です。


(4)漏えい時の報告義務・対応手順

「漏えいの可能性がある場合、○時間以内に報告する」

など、具体的な報告基準を定めておくと初動が迅速になります。


(5)保管期間・廃棄方法の明確化

個人情報は必要以上に保管しないことが原則です。
期限を過ぎたら速やかに廃棄し、再利用を禁止します。

行政書士としては、契約書だけでなく、業務フローに合わせた実務運用の助言も同時に行います。


5. まとめ:個人情報保護は信頼の大前提

個人情報保護条項は、ただの「形式的な条項」ではありません。
企業の信用や顧客との関係を守るための核心部分です。

重要ポイントをまとめると次のとおりです。

  1. 個人情報の定義・利用目的・提供禁止を明確化する
  2. 委託先管理と安全管理措置を条文化する
  3. 契約終了後の返却・廃棄までルール化する
  4. 事故発生時の報告義務と対応フローを定める

弊所では、事業内容に応じて、
実務で使える個人情報保護条項の設計を行います。

個人情報は一度漏えいすれば取り返しがつかないため、
契約でしっかりと保護することが企業の信頼を守る第一歩です。

個人情報保護条項を整備したい方へ
行政書士が、業種に合わせた安全管理措置と契約条項をご提案します。
外注管理や漏えい対策まで含めた実務対応をサポートします。

無料相談はこちら

関連記事

  1. 契約書における再委託・下請け条項の設定とリスク管理を行政書士が解…

  2. 契約書における不可抗力条項の意味と実務的運用を行政書士が解説

  3. 契約書における管轄裁判所条項の決め方と注意点を行政書士が解説

  4. 雛形の契約書を使うリスクとオリジナル作成の重要性を行政書士が解説…

  5. 契約解除・契約違反時の対応方法を行政書士がわかりやすく解説

  6. 契約書の有効期間と更新条項の設計ポイントを行政書士が解説

  7. 契約書における著作権条項の扱いと注意点を行政書士が解説

  8. 契約書における準拠法条項の意味と国際契約での注意点を行政書士が解…

PAGE TOP