契約書の基本構成と必須項目とは?
契約書は、ビジネスや個人取引のリスクを最小限に抑え、当事者双方の権利・義務を明確にするために欠かせない法的文書です。しかし、「契約書の内容は何を盛り込めば良いのか」「基本構成や必須項目に抜け漏れがないか」について、不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、行政書士の立場から、契約書の基本構成と必須項目、注意点について分かりやすく解説します。
本記事では、行政書士の立場から、契約書の基本構成と必須項目、注意点について分かりやすく解説します。
契約書とは何か?なぜ必要なのか
契約書とは、当事者間で合意した取引内容を文書化し、双方が署名・押印することで法的効力を持たせるものです。
契約内容を口頭やメールのみで済ませてしまうと、万が一トラブルが生じた際に「言った・言わない」の水掛け論に発展しやすく、証拠としても不十分となります。そのため、重要な取引や条件については、必ず契約書として残すことが安全・安心な取引の基本となります。
契約書の基本構成~主なパート分け~
契約書には様々な種類がありますが、ほとんどの契約書は以下のような基本構成で作成されます。
- タイトル(表題)
- 前文(序文・契約締結の趣旨)
- 本文(条項部分)
- 末文(契約成立・写し交付の記載等)
- 署名・押印欄
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タイトル(表題)
契約書の冒頭に記載する「業務委託契約書」「売買契約書」などのタイトルです。契約の種類・目的を明確に示し、内容確認やファイリング時にも役立ちます。 -
前文(序文・契約締結の趣旨)
契約当事者の名称・住所・代表者名を明記し、契約の趣旨や背景を簡潔に記載します。例:「A社(以下「甲」という)と、B社(以下「乙」という)は、下記のとおり業務委託契約を締結する。」 -
本文(条項部分)
契約内容の具体的な取り決め部分です。個々の約束ごと(条項)を1条、2条…のように体系的に並べていきます。 -
末文(契約成立・写し交付の記載等)
契約成立日や契約書の部数、原本の扱い(例:「本契約書2通を作成し、甲乙各1通を保有する」など)を記載します。 -
署名・押印欄
契約当事者が署名し、押印する欄です。電子契約の場合は電子署名となることも増えています。署名・押印がないと、後日トラブルになった際に契約の真正性が争われることがあるため、必ず入れましょう。
契約書に記載すべき「必須項目」とは?
続いて、ほとんど全ての契約書で盛り込むべき「必須項目」について、実務上よく使われる条項と併せてご紹介します。
- 目的(契約の趣旨)
- 業務内容(取引内容)
- 期間(契約期間、納期など)
- 報酬・支払方法
- 秘密保持
- 損害賠償・責任分担
- 解除・解約条件
- 反社会的勢力の排除
- 準拠法・管轄裁判所
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目的・業務内容
何のための契約か(目的)、どのような取引・サービスを行うか(業務内容)を明確に記載します。内容が抽象的・曖昧な場合、解釈の相違からトラブルにつながりやすくなります。 -
期間・納期
契約の有効期間や、成果物納品の期限などを定めます。自動更新条項を入れるか否かも重要なポイントです。 -
報酬・支払方法
報酬・料金・支払時期・支払方法(銀行振込・現金等)を明記します。消費税・源泉徴収の有無にも注意しましょう。 -
秘密保持
業務上知り得た情報の秘密保持(NDA)条項です。第三者への情報漏洩を防ぐため、必ず入れておきたい項目です。 -
損害賠償・責任分担
万が一、契約違反や事故等による損害が発生した場合の賠償責任を定めます。上限額や免責事項も含め、双方納得の上で取り決めておくことが大切です。 -
解除・解約条件
一方的な契約解除の可否、解約通知の方法・期間、違約金の有無等を記載します。契約終了時の処理や返却物の取り扱いも忘れずに盛り込んでおきましょう。 -
反社会的勢力の排除
近年では、暴力団など反社会的勢力の関与を排除する条項を設けるのが一般的です。コンプライアンス上も必須となっています。 -
準拠法・管轄裁判所
トラブルが起きた場合、どの国・地域の法律を適用し、どこの裁判所で解決するかを定めます。国際契約の場合は特に注意が必要です。
その他、実務で押さえておきたいポイント
- 条項ごとに「第●条」「第●条(●●)」と番号・見出しをつける
- 難解な専門用語はできるだけ避け、具体的に記載
- 当事者の社名・氏名は正式名称で統一
- 押印・署名方法(実印、電子署名等)に注意
- 原本・控えの管理方法も記載
まとめ:契約書の「型」を知り、リスクゼロの取引を
契約書は、取引のトラブル回避・証拠保全の観点からも不可欠な存在です。
「基本構成」と「必須項目」を押さえることで、契約内容の抜け漏れや不備を防ぐことができ、安心して取引を進めることができます。
当事務所では、契約書の新規作成・内容チェック・カスタマイズまで、行政書士が丁寧にサポートいたします。
雛形流用で不安な方、ビジネス実務でリスクを最小限にしたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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