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【雛形契約書のリスク】ネットのテンプレートは危険?失敗しないための注意点と実例を行政書士が解説

雛形のリスク
 ネットの契約書テンプレートは危険?
契約書の作成を検討している方の中には、「ネットにある契約書の雛形(テンプレート)をそのまま使っても大丈夫?」と悩まれるケースが少なくありません。
確かに、インターネットには無料・有料問わず様々な契約書のサンプルやテンプレートが掲載されていますが、それを安易に利用することには思わぬリスクが潜んでいます。
本記事では、行政書士の視点から「雛形契約書の落とし穴」や注意点、業種別のNG・成功事例、実務上のリスク回避策まで、実践的に詳しく解説します。
ネットの契約書雛形 よくあるメリット・利用理由
  • 無料・手軽に入手できる
  • 書式やレイアウトの参考になる
  • 自分で一から作るより時間と手間がかからない

こうしたメリットから、ビジネスの現場や個人取引でも「とりあえず雛形をダウンロードして使う」ケースは多く見受けられます。
雛形流用による主なリスク
  • 自社・自分の実情に合っていない
    雛形は“標準形”であり、あなたのビジネスや取引条件に最適化されているとは限りません。
  • 重要な条項が抜けている
    テンプレートによっては、損害賠償・反社排除・契約解除など必要な条項が欠落している場合があります。
  • 内容が古く法改正に未対応
    雛形が古いと、最新の民法・会社法等に準拠していないことがあり、トラブルの元となります。
  • 万一の時に“解釈の余地”が大きい
    曖昧な表現や抽象的な条文は、紛争時に「どちらにも都合よく読めてしまう」リスクがあります。
  • “責任回避型”や相手有利な内容になっていることも
    一見バランスが良さそうでも、提供者側(雛形作成元)に有利な内容となっている場合もあるため注意が必要です。
実際にあったトラブル事例
  1. 損害賠償請求ができなかった
    無料雛形を使い、肝心の損害賠償条項が抜けていたため、納品遅延による損害を請求できなかった。
  2. 反社排除条項がないため契約解除できなかった
    古いテンプレートだったため、反社会的勢力排除の条項がなく、不測のリスクに対処できなかった。
  3. “雛形まる写し”が相手に発覚し、信頼低下
    ネットに出回っているものをそのまま利用していることが相手に分かり、「契約書を軽視している」と受け取られてしまった。
業種ごとのNG事例・成功事例
  • IT・システム開発
    NG:下請先との契約雛形をコピペしただけで、著作権・成果物帰属・データ管理条項が抜け落ちていた。
    成功:開発範囲や成果物の納品形式・著作権処理を詳細に明記、紛争時もスムーズ解決。
  • 建設・製造業
    NG:協力会社との雛形契約に保証責任や遅延損害金条項がなく、トラブル時に回収不能。
    成功:受発注の流れや納期遅延時の責任分担まで明記し、未払い・品質トラブル防止に成功。
  • 士業・コンサル業
    NG:業務委託の雛形で守秘義務が不十分、顧客情報流出時に対応不可。
    成功:情報管理・守秘義務・個人情報保護条項を実態に合わせてカスタマイズ。
  • EC・ベンチャー・小売業
    NG:提携雛形で返品や知財の扱いを定めておらず、消費者トラブルや模倣被害が発生。
    成功:返品・交換・知的財産・免責事項まで盛り込み、消費者・提携先両方の安心を確保。
雛形テンプレートは“参考程度”にとどめるのが安全

契約書の雛形は「大枠・構成の参考」として利用しつつ、実際のビジネス・取引内容・リスクの洗い出しを踏まえたカスタマイズが不可欠です。
特に重要な契約や高額な取引の場合は、「専門家によるチェック・修正」を受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
【契約書作成時のチェックリスト】
  • □ 取引内容・業種の特性に応じた条項の追加・修正はされているか
  • □ 重要条項(損害賠償・反社排除・解除・瑕疵責任など)が抜けていないか
  • □ 最新の法改正(民法、下請法、消費者契約法など)に対応しているか
  • □ 曖昧な表現や“双方に都合よく読める”条文はないか
  • □ 契約期間や終了後の取扱い(秘密保持・データ消去等)も明記されているか
  • □ 外注・下請・再委託先にも義務が及ぶようになっているか
  • □ 英文や国際契約の場合、管轄・準拠法も必ず記載されているか
不安な点があれば、必ず専門家にご相談ください。
【よくあるQ&A】
Q. 無料の雛形テンプレートはどこまで使って大丈夫?
A. ひな形は“参考用”です。業種・案件・相手に応じて必ず内容を見直し、必要な条項を加えてください。
Q. 契約書を雛形流用した場合のトラブル解決法は?
A. 万一トラブル発生時は、記載条項がすべての根拠となります。後出し主張は通りにくいため、証拠保全や専門家相談を早めに行いましょう。
Q. 雛形でなくオーダーメイド契約書を作成するメリットは?
A. 取引実態や法規制・自社リスクを反映できるため、将来の訴訟・紛争リスクや信頼低下を未然に防げます。
Q. どのタイミングで専門家に相談すべき?
A. 「重要取引」「高額案件」「相手のひな形を使う場合」「新規事業・海外契約」などは早めの専門家チェックが安心です。
まとめ:雛形は“万能”ではない 契約書はオーダーメイドを
ネットの雛形やテンプレート契約書は便利ですが、そのままの流用は思わぬリスク・トラブルを招く可能性が高くなります。
安心・確実な契約のためには「自社(自分)仕様」に落とし込むことが不可欠です。
当事務所では、契約書の新規作成・内容チェック・カスタマイズまで、行政書士が実務に即したオーダーメイド対応を行っています。
雛形流用にご不安のある方、契約リスクを最小限にしたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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