念書・覚書・合意書などの文書を作成すると、
「とりあえず形にしたから大丈夫」
と感じる方は少なくありません。
しかし実務では、
文書を作ったにもかかわらずトラブルに発展するケースが数多く見られます。
本記事では行政書士が、
文書を作っただけで安心してはいけない典型的なケースを整理します。
1. 「文書がある=安全」とは限らない
念書や合意書などの文書があると、
「何かあってもこの書面があるから大丈夫」
と思いがちです。
しかし、
文書は万能ではありません。
重要なのは、
内容・使い方・前提関係が適切かどうかです。
2. ケース① 内容が曖昧なまま作成している
次のような表現が多い文書は注意が必要です。
- 「誠意をもって対応する」
- 「速やかに行う」
- 「双方協議のうえ決定する」
これらは一見問題なさそうですが、
解釈が分かれやすく、争いの原因になります。
文書は、
第三者が読んでも同じ意味になる表現が必要です。
3. ケース② 実態と文書内容が一致していない
形式上は文書があっても、
- 実際のやり取りと内容が違う
- 現場の運用とかみ合っていない
こうした場合、
文書が十分に機能しません。
「書いてあるだけ」の文書は、
実務では効力を発揮しにくいのが現実です。
4. ケース③ 文書の種類が適切でない
念書・覚書・合意書は、
それぞれ役割が異なります。
- 本来は合意書が必要なのに念書で済ませている
- 契約関係なのに覚書で処理している
文書の選択を誤ると、
そもそも想定していた効果が得られないことがあります。
5. ケース④ 相手に履行意思がない
文書は、
相手が内容を守る意思があってこそ機能します。
- 形だけ署名している
- 実行する気がない
このような場合、
文書を作っても状況は改善しません。
文書は「保証」ではなく、
証拠や整理の手段であることを理解する必要があります。
6. ケース⑤ 将来の変更・紛争を想定していない
文書作成時は問題なくても、
- 状況の変化
- 解釈の違い
- 感情的対立
が起こることは少なくありません。
将来を想定していない文書は、
後から足かせになることもあります。
7. 行政書士が事前に確認しているポイント
行政書士は、
文書作成前に次の点を確認します。
- 文書の種類が適切か
- 実態と矛盾していないか
- 表現は明確か
- 将来のトラブルを想定しているか
単に文書を作るのではなく、
機能する文書かどうかを重視します。
8. まとめ|文書は「中身」と「使い方」が重要
文書は、
作っただけで自動的に安心できるものではありません。
- 内容が整理されているか
- 使い方が適切か
- 前提関係が合っているか
これらを整えて初めて、
文書は本来の役割を果たします。


