辞めた会社から請求書や損害賠償の通知が届いた場合の対処法を解説します。研修費、資格取得費、貸与品、違約金などの確認事項、回答前に整理すること、内容証明で退職トラブルを予防する方法を行政書士が説明します。
退職についてお悩みの方へ
会社と直接やり取りせずに、
退職手続きを進めたい方へ
「会社に連絡したくない」「引き止められるのが不安」という段階でもご相談いただけます。
現在の状況を確認し、内容証明による退職通知で進められるかをご案内します。
ご相談のみでも問題ありません。まずは現在の状況をお聞かせください。
辞めた会社から請求書が届いて不安な方へ
会社を退職したあと、突然、請求書や損害賠償に関する通知が届くことがあります。
「研修費を返還してください」
「貸与品が返却されていないため弁償してください」
「引継ぎをせずに退職したことで損害が発生しました」
このような書面が届けば、すぐに支払わなければならないのではないか、放置すると裁判になるのではないかと不安になるのは当然です。
しかし、会社から請求書が届いたという事実だけで、記載された金額や支払義務が直ちに確定するわけではありません。
一方で、会社から借りていた物を返却していない場合や、実際の貸付金・立替金が残っている場合など、事実関係を確認すべき請求もあります。
そのため、会社から届いた請求をすべて無視するのも、その場ですべて認めてしまうのも適切ではありません。
まずは、何を理由に、どのような計算で、いくら請求されているのかを落ち着いて確認することが大切です。
退職後に会社から請求される主な費用
退職後に会社から請求されるものとして、次のような例があります。
- 研修費や教育費
- 資格取得費用
- 制服や社員証などの未返却品
- パソコンやスマートフォンの修理費
- 社宅費や会社からの貸付金
- 給与や交通費の過払い分
- 早期退職を理由とする違約金
- 引継ぎ不足や業務停止を理由とする損害賠償
同じ「会社からの請求」であっても、その性質はそれぞれ異なります。
例えば、未返却のパソコンについて返却を求める通知と、「退職したことで会社に迷惑をかけた」という理由だけで高額な損害賠償を求める通知では、確認すべき事項が違います。
請求書に会社名、金額、振込先しか書かれておらず、詳しい理由が分からない場合は、まず請求の根拠と内訳を確認する必要があります。
請求書が届いたら最初に確認すること
会社から請求書や通知書が届いた場合は、慌てて電話をする前に、次の事項を確認しましょう。
- 請求している会社や担当者
- 請求金額とその内訳
- 請求の原因となった事実
- 契約書や誓約書のどの条項に基づくのか
- 支払期限
- 回答期限
- 添付されている資料
- 会社から過去に受けた説明との整合性
請求書、通知書、封筒、メール、LINEなどは削除せず、そのまま保管します。
雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、研修に関する誓約書、貸与品一覧、退職届、会社とのメールなども確認してください。
会社から電話があった場合は、日時、担当者名、話した内容を記録しておくと、後から状況を整理しやすくなります。
内容を確認しないまま、「分かりました」「必ず支払います」などと回答したり、新しい合意書に署名したりすることは避けた方が安全です。
まず事実関係を整理し、そのうえで回答方法を判断しましょう。
研修費・資格取得費を請求された場合
退職後の請求で比較的多いのが、研修費や資格取得費用の返還請求です。
この場合、単に「研修を受けた」「資格取得費用を会社が支払った」というだけで結論が決まるわけではありません。
確認したいのは、次のような点です。
- 研修が業務上必須だったか
- 本人が任意で希望した研修だったか
- 費用の負担について事前説明があったか
- 金銭消費貸借などの契約があるか
- 一定期間勤務すれば返還を免除する条件だったか
- 返還額とその計算方法が明確か
労働契約の不履行について、あらかじめ違約金や損害賠償額を定めることは禁止されています。
ただし、業務とは別に本人が希望した資格取得費用を会社が貸し付けていた場合など、個別の契約内容によって扱いが変わることがあります。
「退職したのだから研修費を全額払ってください」と言われても、退職した事実だけで判断せず、契約書や研修の実態まで確認することが重要です。
貸与品・備品代を請求された場合
制服、社員証、鍵、パソコン、スマートフォンなど、会社から借りていた物がある場合は、退職時に返却する必要があります。
まだ手元に残っている場合は、会社へ持参しなくても、郵送で返却できることがあります。
郵送する場合は、次の対応をしておくと安心です。
- 返却する物の一覧を作る
- 梱包前に写真を撮る
- 追跡可能な方法で送る
- 発送伝票や追跡番号を保管する
- 会社へ発送日を文書で伝える
すでに返却したにもかかわらず請求された場合は、発送記録、受領記録、メールなどを確認します。
破損を理由に弁償を求められた場合も、破損の状態、原因、購入時期、現在価値、会社の管理状況などによって判断が変わります。
請求額だけを見て回答するのではなく、何が未返却または破損しているとされているのかを具体的に確認しましょう。
違約金・損害賠償を請求された場合
会社から「契約期間の途中で辞めたから違約金を払ってください」「引継ぎをしなかったため損害が出ました」と言われることがあります。
しかし、退職したという事実だけで、当然に損害賠償責任が生じるわけではありません。
会社が実際の損害を主張する場合は、少なくとも次の点が問題になります。
- どのような行為があったのか
- 具体的にどのような損害が発生したのか
- 行為と損害に関係があるのか
- 請求金額がどのように計算されたのか
- 会社側の管理状況に問題がなかったか
人手不足になった、現場が忙しくなった、代わりの従業員を採用する必要が生じたという事情だけで、請求された金額がそのまま認められるとは限りません。
一方、会社の物を故意に壊した、不正に持ち出したなどの事情がある場合は、退職とは別の問題として確認が必要です。
「退職したこと」と「会社が主張する損害」を分けて考えることが重要です。
会社から電話で支払いを求められた場合
退職後、会社から繰り返し電話がかかってきて、その場で支払いを求められることがあります。
電話では、相手の口調に押され、十分に確認しないまま返答してしまう可能性があります。
その場で判断できない場合は、次のように伝えればよいでしょう。
請求内容を正確に確認したいため、請求の理由、金額の内訳および根拠資料を書面またはメールでお送りください。内容を確認したうえで対応いたします。
この回答であれば、連絡を完全に拒否するのではなく、記録が残る方法での説明を求められます。
会社の主張に対して電話で一つずつ反論する必要はありません。
感情的な言い合いを避け、必要な情報を書面で確認することが、問題を複雑にしないためのポイントです。
退職前に請求を予告されている場合
まだ退職していない段階で、会社から請求を予告されることもあります。
例えば、次のような言葉です。
- 「今辞めたら研修費を請求する」
- 「引継ぎが終わるまでは辞めさせない」
- 「急に辞めたら損害賠償になる」
- 「退職代行を使ったら違約金を請求する」
- 「制服や備品を直接持って来なければ退職を認めない」
このように言われると、請求が怖くなり、退職そのものを諦めてしまう方もいます。
しかし、会社から請求を予告されたからといって、退職できないと決まるわけではありません。
大切なのは、何も伝えずに出社しなくなるのではなく、退職意思と退職日を明確に伝え、貸与品の返却など必要な手続きを記録が残る形で進めることです。
会社との電話や面談が大きな負担になっている場合は、書面による退職通知を検討できます。
退職通知で整理しておきたい事項
会社とのトラブルを予防しながら退職するためには、退職通知の中で必要な事項を整理しておくことが有効です。
主に整理するのは、次の内容です。
- 退職する意思
- 退職日
- 有給休暇の取得希望
- 退職日まで出社できない場合の取扱い
- 貸与品の返却方法
- 離職票や源泉徴収票などの送付依頼
- 今後の連絡方法
貸与品を郵送返却する場合は、その旨を明記します。
会社からの電話が精神的な負担になっている場合は、「今後の退職手続きに関する連絡は、書面またはメールでお願いしたい」と記載する方法もあります。
必要事項を最初から整理して伝えておけば、会社から確認の電話が何度もかかってくる可能性を減らしやすくなります。
内容証明で退職意思を通知する方法
会社に退職意思を伝えても受け取ってもらえない場合や、電話で強く引き止められることが予想される場合は、内容証明郵便による退職通知が選択肢になります。
内容証明を利用すると、いつ、誰から誰に、どのような文書を送ったのかを記録として残しやすくなります。
退職通知には、退職意思だけでなく、退職日、有給休暇、貸与品返却、退職関係書類、今後の連絡方法なども記載できます。
内容証明は、会社を攻撃したり、強い言葉で反論したりするための文書ではありません。
退職に必要な事項を冷静に整理し、行き違いを防ぐために使用する文書です。
会社から請求を予告されている場合ほど、感情的な応酬を避け、退職手続きを事務的に進めることが大切です。
自分で退職手続きを進めるのが難しい場合
「辞めたら請求する」と言われている状態では、自分で退職通知を作ること自体が大きな負担になります。
何を書けばよいのか分からない、会社を刺激するのが怖い、電話をかけられたくないという方も少なくありません。
当事務所では、現在の雇用形態、退職希望日、有給休暇、会社から言われている内容、貸与品の有無などを確認したうえで、内容証明による退職通知を作成しています。
会社からの請求について感情的に反論するのではなく、まず退職意思と必要な事務手続きを明確にすることが、会社とのやり取りを減らす第一歩になります。
すでに具体的な請求書や損害賠償通知が届いている場合も、書類を保管し、請求内容と現在の状況を整理したうえで、適切な対応方法を確認することが大切です。
退職前であれば、問題が大きくなる前に、退職通知、貸与品返却、連絡方法をまとめて整えておきましょう。
まとめ|請求への対応と退職手続きは分けて整理する
辞めた会社から請求書が届いても、記載された金額を直ちに支払わなければならないと決まるわけではありません。
まずは、請求理由、金額の内訳、契約上の根拠、証拠資料を確認することが必要です。
研修費、資格取得費、貸与品、貸付金、給与の過払い、違約金、損害賠償では、それぞれ確認すべき内容が異なります。
電話で支払いを迫られた場合も、その場で結論を出さず、書面やメールで請求内容を示してもらうとよいでしょう。
また、退職前に「辞めたら損害賠償を請求する」と言われている場合でも、その言葉だけで退職できなくなるわけではありません。
退職意思、退職日、有給休暇、貸与品返却、必要書類の送付、今後の連絡方法を文書で整理することで、退職時の行き違いやトラブルを予防しやすくなります。
会社と直接話すことが難しい場合は、何も伝えずに出社しなくなる前に、内容証明による退職通知を検討してください。
必要な意思表示と事務手続きを記録に残る形で整えることが、会社との関係を静かに終わらせるための重要なポイントです。
退職についてお悩みの方へ
会社と直接やり取りせずに、
退職手続きを進めたい方へ
「会社に連絡したくない」「引き止められるのが不安」という段階でもご相談いただけます。
現在の状況を確認し、内容証明による退職通知で進められるかをご案内します。
ご相談のみでも問題ありません。内容をご確認いただいたうえで正式にご依頼いただけます。
ご相談から退職通知の発送まで
勤務状況や退職希望日などをお伺いします。
内容証明による退職通知で進められるかをご案内します。
退職日や今後の連絡方法などを整理して文書を作成します。
作成した退職通知書を会社へ発送し、発送後の対応もご案内します。
※ご相談内容を確認したうえで、内容証明による退職通知で進められる方法をご案内します。


