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契約書における競業避止義務条項の設計と実務を行政書士が解説

取引先や従業員が競合に情報を流すのを防ぐ「競業避止義務条項」。適法な範囲や書き方のポイントを行政書士が解説します。

1. 競業避止義務条項とは?

競業避止義務条項(きょうぎょうひしぎむじょうこう)とは、契約当事者が契約期間中または終了後に、競合となる事業を行わないことを約束する条項のことです。
主に次のような目的で設けられます。

  • 自社の顧客・ノウハウが流出するのを防ぐ
  • 取引先や元従業員が競合会社と取引するのを防止する
  • 不正競争防止法や秘密保持契約と連動して企業リスクを減らす

競業避止義務は、事業の継続性と営業秘密の保護に直結するため、近年では中小企業の契約でも重視されるようになっています。


2. 競業避止義務が必要とされる場面

競業避止義務条項は、以下のような契約で特に有効です。

  1. 業務委託契約
     委託先が業務で得たノウハウを利用して、他社と同様の事業を行うリスクがあります。
  2. フランチャイズ契約
     加盟店が独立後に同様の業態を始めるケースに備えて設定します。
  3. 雇用契約・顧問契約
     退職後に同業他社へ転職することを制限する目的で使用されます。
  4. 共同開発契約や取引基本契約
     技術情報や顧客情報を共有する場合、流出防止策として設けられます。

この条項がないと、契約終了後に競合関係となり、企業の営業基盤が損なわれるおそれがあります。


3. 条文を設計する際の3つのポイント

競業避止義務条項は、強すぎる制約を設けると**職業選択の自由(憲法22条)**に抵触する可能性があります。
したがって、合理的な範囲で設計することが重要です。

実務では、以下の3点を意識して条文を作成します。

(1)対象期間を限定する

 契約終了後も無期限に競業を禁止することはできません。
 通常は「契約終了後1〜2年程度」とし、期間を明示します。
 > 例:「乙は、本契約終了後2年間、甲の同業他社において同種の業務を行ってはならない。」

(2)対象地域を明確にする

 禁止範囲が全国規模では広すぎるため、「○○県内」「○○市内」など限定します。
 実際に営業活動を行っているエリアを基準に設定するのが現実的です。

(3)禁止行為の範囲を具体的に書く

 「同業他社での勤務」「類似サービスの提供」「顧客の引き抜き」など、禁止対象を具体的に列挙します。
 > 例:「乙は、甲の顧客情報を利用して顧客を勧誘し、または甲と競合するサービスを提供してはならない。」

これらを明確にしておくことで、法的にも実務的にも有効な条文になります。


4. 違反時の対応と実務上の注意点

競業避止義務に違反した場合、通常は損害賠償請求や契約解除の対象となります。
契約書には以下のような条文を設けるのが一般的です。

「乙が本条に違反した場合、甲は本契約を直ちに解除でき、乙に対して損害賠償を請求できるものとする。」

ただし、損害の立証は容易ではありません。
そのため、違反が発覚した場合の対応手順を条文化しておくと実務上有効です。

  • 違反を認めた時点で警告書を送付
  • 是正がなされない場合、契約解除・損害賠償請求を行う
  • 秘密保持条項と連動させ、情報漏えいも併せて追及できるようにする

また、あまりに広範な禁止は裁判で無効と判断されることもあります。
たとえば「日本全国で5年間の競業禁止」などは過剰とされることが多いです。

行政書士としては、クライアントの業務範囲・市場エリア・取引規模を踏まえて、実効性と合法性のバランスを取る設計が必要です。


5. まとめ:正しく設定してビジネスを守る

競業避止義務条項は、企業の知的財産・営業秘密・顧客基盤を守るための防御策です。
しかし、制限が過剰だと法的に無効となり、かえってトラブルの原因になることもあります。

設計のポイントは次の3点です。

  1. 期間・地域・禁止行為を合理的な範囲で限定する
  2. 違反時の対応を明確に定める
  3. 秘密保持条項・顧客勧誘禁止条項と連動させる

行政書士は、企業の実情を踏まえたうえで、適法かつ実効性のある競業避止義務条項を設計します。
形式的なテンプレートではなく、「ビジネスを守るための現実的な契約」を整えることが何より重要です。

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情報流出や顧客引き抜きを防ぎ、安心できる契約を整えましょう。

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