品質保証契約や品質保証協定書には何を定めるべき?契約不適合責任との違い、品質基準、検査・通知、保証期間、修補・交換、免責、保守との区別を行政書士が解説します。
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品質保証契約・品質保証協定書とは
品質保証契約とは、納品する製品や成果物について、求められる品質、検査方法、不具合が発生した場合の対応などを定める契約です。
取引によっては「品質保証協定書」「品質保証覚書」「品質管理協定書」などの名称が使われることもあります。
品質保証に関する取り決めは、次のような方法で設けられます。
- 売買契約書や業務委託契約書の一条項として定める
- 基本取引契約書とは別に品質保証協定書を締結する
- 仕様書や検査基準書に品質条件を記載する
- 個別契約や発注書ごとに保証内容を決める
重要なのは文書の名称ではなく、どの品質を約束し、不具合が発生した場合に誰が何をするのかが明確になっていることです。
特に製造、機械、部品、システム開発、Web制作などでは、納品後に不具合が見つかる可能性があります。
品質保証契約を整備しておけば、発注者は必要な品質を確保しやすくなり、受注者は無償対応の範囲を明確にできます。
品質保証と契約不適合責任の違い
品質保証と契約不適合責任は関連しますが、同じものではありません。
契約不適合責任とは、引き渡された物や成果物が、種類、品質、数量などについて契約内容に適合していない場合に問題となる法律上の責任です。
一方、品質保証は、当事者間の契約によって品質基準や対応方法を具体化するものです。
例えば、契約書や仕様書で次の内容を定めます。
- 製品の寸法や材質
- 必要な性能や耐久性
- システムが対応する環境
- 検査項目と合格基準
- 保証期間
- 修補や交換の方法
- 保証対象外となる原因
契約不適合かどうかは、「契約でどのような品質を約束したか」が判断の出発点になります。
そのため、品質保証条項では、単に「良好な品質を保証する」と記載するだけでなく、仕様書や検査基準と結び付けて具体化することが重要です。
瑕疵担保責任から契約不適合責任への変更
従来の契約書では、「瑕疵担保責任」という言葉が広く使われていました。
しかし、2020年施行の改正民法により、売買目的物が契約内容に適合しない場合の責任は、契約不適合責任として整理されています。
現在も既存の契約書や業界内の文書では、「瑕疵」「瑕疵担保」という表現が残っていることがあります。
古い契約書で瑕疵担保責任と記載されているからといって、直ちに契約全体が無効になるわけではありません。
ただし、次の内容が現在の取引に合っているかは確認が必要です。
- 何を不具合とするか
- 誰がどのように不適合を判断するか
- 修補・交換・再納品のどれを行うか
- 代金減額や損害賠償との関係
- 通知期限や保証期間
- 契約解除ができる条件
以前から使っているひな形は、用語だけを書き換えるのではなく、責任の内容まで見直すことが大切です。
品質保証契約を作成する目的
品質保証契約を作成する主な目的は、納品後の責任分担を明確にすることです。
発注者にとっては、契約どおりの製品や成果物を受け取るための基準になります。
受注者にとっては、どのような場合に無償対応し、どこから追加費用が発生するのかを示す基準になります。
品質保証について何も定めていないと、次のような認識の違いが生じます。
- 発注者は不具合だと考えているが、受注者は追加仕様だと考えている
- 発注者は交換を求めているが、受注者は修補で対応できると考えている
- 発注者は納品後も無償対応を求めるが、受注者は保証期間が終了したと考えている
- 第三者の製品が原因なのに、受注者へ対応が求められる
- 保守作業まで品質保証に含まれると解釈される
品質保証契約は、一方当事者だけを守るためのものではありません。
不具合が発生した場合の手順を事前に決め、感情的な対立を避けながら取引を継続するためのルールです。
品質保証契約に定める主な事項
品質保証契約や品質保証条項では、主に次の事項を定めます。
- 保証の対象となる製品・成果物
- 適用する仕様書や図面
- 品質基準・性能基準
- 検査方法と検収期間
- 不具合の通知方法
- 保証期間と起算日
- 修補・交換・再納品の方法
- 対応期限
- 作業費・部品代・送料などの負担
- 原因調査の方法
- 保証対象外となる事由
- 損害賠償の範囲と上限
- 保守契約や追加改修との関係
基本取引契約書、個別契約書、仕様書、品質保証協定書など複数の文書を使用する場合は、内容が食い違ったときの優先順位も必要です。
例えば、「個別契約、品質保証協定書、基本取引契約書の順に優先する」など、文書間の関係を明確にします。
品質保証協定書だけを確認するのではなく、取引に使用する契約書全体との整合性を見ることが重要です。
品質基準・仕様・検収条件の定め方
契約不適合責任を判断するには、まず契約内容が明確でなければなりません。
「通常必要な品質を備える」「十分な性能を有する」といった抽象的な表現だけでは、納品後に判断が分かれる可能性があります。
品質基準は、次の資料と結び付けて定めます。
- 製品仕様書
- 図面
- 見積書
- 提案書
- サンプル
- 性能試験の結果
- 検査基準書
- 発注者が提示した要件
- 対応するOS・ブラウザ・端末
- 使用場所や使用環境
また、すべての小さな差異を不具合とするのか、製品や成果物の使用へ影響する差異を対象とするのかも検討します。
ただし、「軽微な不具合は一切対応しない」と一律に除外すると、何を軽微とするかで争いが生じます。
使用目的への影響、修補の必要性、品質基準からの差異など、判断要素を具体的にした方が安全です。
保証期間と起算日の決め方
品質保証契約では、保証期間だけでなく、その期間をいつから数えるかを明確にします。
起算日として考えられるのは、次のような日です。
- 納品日
- 検収完了日
- 稼働開始日
- 製品の引渡日
- 発注者が使用を開始した日
納品日と検収完了日が異なる取引では、どちらを起算日にするかによって保証期間が変わります。
また、修補や交換を行った場合に、保証期間を最初から数え直すのか、当初の期間を引き継ぐのかも定めておくと安心です。
保証期間は、業界名だけで機械的に決めるものではありません。
製品や成果物の性質、不具合を発見できる時期、通常の使用期間、検収方法、保守契約の有無などを踏まえて設定します。
受注者側では責任が長期間続かないようにしつつ、発注者側では実際に不具合を確認できる期間を確保する必要があります。
不具合発生時の修補・交換・再納品
契約内容に適合しない製品や成果物が納品された場合、状況に応じて次の対応が考えられます。
- 不具合部分の修補
- 代替品との交換
- 成果物の再納品
- 不足分の追加納品
- 代金の減額
- 損害賠償
- 一定の場合における契約解除
品質保証条項では、最初からすべての方法を発注者が自由に選べるようにするのか、まず受注者へ修補の機会を与えるのかを決めます。
受注者側からすれば、軽微な不具合について直ちに契約解除や全面的な再納品を求められる内容は、負担が大きくなります。
発注者側からすれば、何度修補を依頼しても改善されない場合に、交換や代金減額へ進めない条項では十分ではありません。
そのため、次のような段階的な設計が考えられます。
- 不具合の内容と原因を確認する
- 合理的な期間内に修補する
- 修補が困難な場合は交換または再納品する
- 追完されない場合の代金減額や契約解除を定める
- 損害が発生した場合の賠償範囲を確認する
損害賠償については、修補義務とは分けて、対象となる損害や責任上限を定めることが重要です。
検査方法と不具合の通知期限
製品や成果物を納品した後、発注者がいつまでに検査し、どのように結果を通知するかも重要です。
契約書では、次の内容を整理します。
- 納品後何日以内に検査するか
- 全数検査か抜き取り検査か
- どの項目を検査するか
- 合否をどの方法で通知するか
- 期間内に通知がない場合、検収完了とするか
- 検収時に発見できない不具合をどう扱うか
- 不具合通知に必要な資料や情報
企業間の物品売買では、商法上の検査・通知義務が問題となる場合もあります。
そのため、品質保証期間だけでなく、受領時の検査、検収、発見後の通知を一連の手続きとして定めることが大切です。
検収が完了した後も品質保証の対象となる不具合と、検収時に確認すべき事項を分けておけば、納品後の認識違いを減らせます。
保証対象外とする事由
受注者の責任とはいえない原因まで、すべて無償対応に含める必要はありません。
一般的には、次のような事由を保証対象外として検討します。
- 発注者の誤った使用方法
- 説明書や使用条件に反する使用
- 発注者または第三者による改造
- 指定外の環境や機器での使用
- 第三者が提供する製品やサービスの不具合
- 通常の摩耗や経年劣化
- 天災その他の不可抗力
- 発注者から提供された資料や指示に起因する問題
ただし、除外事由を並べるだけでは、実際にどの原因で不具合が発生したのか判断できないことがあります。
原因調査を誰が行うのか、調査費用を誰が負担するのか、双方が資料提供へ協力するのかも決めておくと実務的です。
品質保証と保守サービスの違い
品質保証と保守サービスが混同されると、受注者の無償対応が際限なく広がる可能性があります。
品質保証は、原則として、納品された製品や成果物が契約内容に適合していなかった場合の対応です。
これに対して保守サービスは、納品後の運用を支援する業務です。
例えば、次のような業務が考えられます。
- 定期点検
- 操作方法の問い合わせ対応
- ソフトウェアの更新
- 法令や外部環境の変更への対応
- データ更新
- 障害の監視
- 新しい機能の追加
- 仕様変更に伴う改修
契約時に約束した仕様を満たすための修正なのか、納品後に追加された要望なのかを区別する必要があります。
追加仕様や継続的な保守については、別途費用や保守契約を定めることで、発注者と受注者双方が依頼範囲を判断しやすくなります。
発注者側・受注者側で異なる確認ポイント
品質保証契約は、発注者側と受注者側で確認すべきポイントが異なります。
発注者側では、次の点が重要です。
- 必要な品質や性能が明記されているか
- 検収後に発見した不具合にも対応できるか
- 修補や交換の期限が定められているか
- 修補されない場合の対応が用意されているか
- 仕様書と契約書の内容が一致しているか
受注者側では、次の点を確認します。
- 保証対象が広すぎないか
- 保証期間と起算日が明確か
- 原因を問わず無償対応する内容になっていないか
- 保守や追加改修まで保証に含まれていないか
- 損害賠償の範囲と上限が定められているか
- 第三者製品や発注者の指示による問題が除外されているか
相手方から品質保証協定書を提示された場合、一般的な内容に見えても、自社に過大な責任を負わせる条項が含まれていることがあります。
契約締結後に修正を求めることは難しくなるため、署名や押印の前に内容を確認することが重要です。
まとめ|取引内容に合った品質保証条項を作成する
品質保証契約や品質保証協定書は、納品後の不具合対応と責任分担を明確にするための文書です。
作成時は、保証期間だけでなく、次の事項を一体として整理する必要があります。
- 契約上求められる品質
- 適用する仕様書や検査基準
- 検査・検収の方法
- 不具合の通知期限
- 修補・交換・再納品の手順
- 費用負担
- 保証対象外となる原因
- 保守や追加仕様との区別
- 損害賠償の範囲と責任上限
- 複数の契約文書の優先順位
ひな形へ保証期間だけを追加しても、実際の取引に合った品質保証条項になるとは限りません。
製品、システム、成果物などの性質と、発注者・受注者それぞれの立場を踏まえて設計することが重要です。
当事務所では、品質保証条項を含む契約書の新規作成だけでなく、相手方から提示された品質保証契約・品質保証協定書の内容確認にも対応しています。
「この保証内容を受け入れてよいか分からない」「無償対応の範囲が広すぎないか確認したい」という段階でも、契約締結前にご相談ください。
契約書の作成・内容確認でお困りの方へ
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取引内容に合わせた契約書の作成から、相手方から提示された契約書の内容確認まで対応しています。
まだ契約内容が固まっていない段階でもご相談いただけます。
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