会社が辞めさせてくれない場合の対処法|退職できないときの進め方
会社が辞めさせてくれない場合の対処法を解説します。退職届を受け取ってもらえない、退職を認めないと言われた、引き止めが強い、会社と直接話したくない場合の対応を行政書士がわかりやすく説明します。
会社が辞めさせてくれないと悩んでいる方へ
退職を伝えたのに、会社から「今は辞められない」「人が足りないから無理」「後任が決まるまで待ってほしい」と言われることがあります。
最初は穏やかな引き止めでも、話が長引くうちに、上司から強い口調で責められたり、退職理由を何度も説明させられたりすることもあります。
「会社に迷惑がかかる」
「自分が辞めたら現場が回らない」
「認めてもらえないなら、まだ辞められないのかもしれない」
真面目な方ほど、このように考えてしまいます。
しかし、会社が辞めさせてくれないからといって、退職をあきらめる必要はありません。
もちろん、円満に退職できるのであれば、引継ぎや退職日の調整をすることは大切です。
一方で、退職の意思を伝えているにもかかわらず、会社が一方的に退職を先延ばしにしたり、退職届を受け取らなかったりする場合は、対応方法を切り替える必要があります。
退職は、会社に何度もお願いして許可をもらうだけの手続きではありません。
自分の意思を明確にし、必要な形で会社に通知することが重要です。
会社の同意がないと退職できないわけではない
会社が「退職は認めない」と言ってきた場合、多くの方が不安になります。
しかし、期間の定めのない雇用契約で働いている場合、民法上はいつでも解約の申入れができ、解約の申入れの日から2週間で労働契約が終了するとされています。会社の同意がなければ退職できないものではありません。
つまり、正社員や期間の定めのないパート・アルバイトの場合、会社が「認めない」と言っているだけで、永遠に辞められないわけではありません。
会社には会社の事情があります。
人手不足、繁忙期、後任者の採用、引継ぎの都合など、会社側が退職を待ってほしいと考える理由はあるでしょう。
しかし、それだけで労働者の退職の自由がなくなるわけではありません。
また、労働基準法では、使用者が暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならないとされています。
退職を伝えた方が、会社の強い言葉に押されて働き続けなければならない、というものではありません。
まずは、「会社が認めないから退職できない」と思い込まないことが大切です。
「退職願」ではなく「退職届・退職通知」として伝える
会社が辞めさせてくれない場合、最初に確認したいのが、どのような形で退職を伝えたかです。
「辞めたいです」と口頭で相談しただけの場合、会社側から「まだ相談段階だ」と扱われることがあります。
また、「退職願」として提出した場合も、会社に対して退職を願い出る形式になるため、会社側が承諾の話に持ち込みやすくなることがあります。
退職の意思が固まっているのであれば、「退職したい」ではなく「退職します」という意思表示を明確にする必要があります。
そのため、会社が退職を認めない場合は、退職届または退職通知書として、退職の意思と退職日をはっきり記載することが重要です。
文面には、会社への不満や上司への批判を長く書く必要はありません。
退職通知で大切なのは、誰が、どの会社に対して、いつ退職する意思を表示したのかを明確にすることです。
感情的な表現が多い文面になると、会社から反論されたり、別のトラブルに発展したりする可能性があります。
会社が辞めさせてくれないときほど、文面は冷静に、必要事項に絞って作成することが大切です。
退職届を受け取ってもらえない場合
退職届を手渡ししようとしても、上司が受け取らないことがあります。
「今は受け取れない」
「もう一度考えてから持ってきて」
「社長に確認するまで預かれない」
このように言われると、退職届を出せなかった以上、退職の意思表示ができていないのではないかと不安になる方もいます。
そのような場合は、手渡しにこだわる必要はありません。
退職届や退職通知書は、郵送で会社へ送る方法があります。
会社に退職の意思表示を届けることが目的であれば、上司に手渡しすることだけが唯一の方法ではありません。
会社との関係が悪化している場合や、受け取り拒否が予想される場合には、内容証明郵便で送付することも検討できます。
内容証明は、一般書留郵便物の内容文書について、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰宛てに差し出したかを日本郵便が証明する制度です。なお、証明されるのは内容文書の存在であり、文書の内容が真実かどうかまで証明するものではありません。
退職届を受け取ってもらえない場合は、直接渡すことにこだわり続けるよりも、記録が残る方法で通知する方が現実的です。
引き止めや説得に応じ続ける必要はあるのか
会社が辞めさせてくれない場面では、引き止めが長く続くことがあります。
「あと1か月だけ」
「今辞めたらみんなが困る」
「社会人として無責任だ」
「次の人が決まるまではいてほしい」
このような言葉を何度も聞いているうちに、自分が悪いことをしているような気持ちになる方もいます。
しかし、退職の意思が固まっているのであれば、説得の場に何度も応じ続ける必要はありません。
会社に対して誠実に対応することと、会社の希望どおりに退職を先延ばしし続けることは別です。
引継ぎ資料を作成する、貸与品を返却する、必要な事務連絡には文書で対応する。
このような対応を行えば、会社に対して一定の配慮はできます。
一方で、退職を撤回させるための長時間面談や、感情的な説教、人格を責めるような連絡にまで応じ続ける必要はありません。
会社から何度も電話が来る場合は、メールや書面など、記録が残る方法で対応するよう切り替えることが大切です。
「退職に関するご連絡は、記録保持のため文面でお願いいたします」
このように伝えるだけでも、直接のやり取りを減らしやすくなります。
損害賠償や迷惑料を言われた場合
退職を伝えたときに、会社から「辞めるなら損害賠償を請求する」「急に辞めたら迷惑料を払ってもらう」と言われることがあります。
このような言葉を聞くと、多くの方が怖くなります。
自分が辞めることで本当にお金を請求されるのではないか、家族に迷惑がかかるのではないか、転職先に連絡されるのではないかと不安になることもあります。
もちろん、労働者側が会社の物を故意に壊した、会社の機密情報を持ち出した、無断で重要な業務を妨害したなど、個別に問題がある場合には別の検討が必要です。
しかし、単に退職すること自体について、会社が一方的に高額な損害賠償や迷惑料を当然に請求できるわけではありません。
会社から強い言葉を言われた場合ほど、その場で反論したり、電話で言い合いをしたりしない方が安全です。
「損害賠償」と言われたときに、恐怖から退職を撤回してしまう方もいますが、まずは冷静に文面で確認することが大切です。
会社が本当に請求する意思があるのであれば、請求根拠や金額、内容を文書で示す必要があります。
口頭の威圧的な言葉だけで退職をあきらめる必要はありません。
有給休暇を使って退職日まで出社しない方法
会社が辞めさせてくれない場合でも、有給休暇が残っている方は、退職日まで有給休暇を取得して出社しない形を取れることがあります。
退職予定者であっても、在籍中であれば退職時までに年次有給休暇を取得する権利があります。使用者には一定の場合に時季変更権がありますが、退職日以降に時季を変更することはできないため、退職時の有給取得については請求どおり与えなければなりません。
そのため、退職通知の中で、退職日までの期間について有給休暇を取得する旨を明記することが考えられます。
会社から「有給は認めない」「引継ぎが終わっていないから出社しろ」と言われることもあります。
しかし、有給休暇が残っており、退職日までに取得する形であれば、会社側が退職日以降に時季を変更することはできません。
もっとも、有給休暇の日数が足りない場合や、有給が付与されていない場合には、退職日まで欠勤扱いになる可能性があります。
欠勤扱いになれば、その期間の給与は発生しないのが通常です。
それでも、会社へ行くことが精神的に限界であれば、無理に出社を続けるよりも、退職の意思を明確に通知したうえで、欠勤も含めて退職までの期間を整理する方が現実的なことがあります。
内容証明で退職の意思を明確に通知する
会社が辞めさせてくれない場合、口頭やLINEだけでやり取りを続けると、話が長引きやすくなります。
上司に退職を伝えるたびに説得される。
退職届を出しても受け取ってもらえない。
「社長が認めていない」と言われる。
電話や面談で退職を先延ばしにされる。
このような状態では、退職の意思を文書で明確に通知することが重要です。
内容証明を使うことで、退職の意思、退職日、有給休暇の取得希望、貸与品の返却方法、退職書類の送付依頼、今後の連絡方法などを整理して会社に通知できます。
特に、会社と直接話したくない場合には、「今後の連絡は書面またはメールでお願いします」と記載することで、電話や対面でのやり取りを避けやすくなります。
内容証明は、会社を攻撃するためのものではありません。
退職に関する必要事項を明確にし、後から「聞いていない」「退職を認めていない」と言われるリスクを減らすための手段です。
会社が辞めさせてくれないと感じている方ほど、感情的なやり取りを続けるよりも、文書で線を引くことが大切です。
自分で対応するのが難しい場合
会社が辞めさせてくれない状況では、自分で冷静に対応することが難しくなります。
退職届を出すだけで緊張する。
電話が鳴ると怖くなる。
上司に怒られる場面を想像して動けなくなる。
何を書けばよいのか分からず、退職通知の作成が進まない。
このような状態で、一人で退職手続きを進めるのは大きな負担です。
行政書士に依頼する場合、退職の意思表示を内容証明で行うための文書作成を依頼できます。
行政書士が対応できるのは、主に退職の意思・退職日・有給取得希望・貸与品の返却方法・今後の連絡方法などを、内容証明などの書面で明確に通知するサポートです。
未払い賃金や残業代の請求、損害賠償請求への反論など、会社との間で具体的な交渉や争いが必要になる場合は、対応できる範囲が異なりますが、まずは現在の状況を整理することが大切です。
会社に電話したくない、退職の意思を文書で伝えたい、会社に行かずに退職したいという場合には、内容証明による退職通知が現実的な選択肢になります。
まとめ
会社が辞めさせてくれない場合でも、会社の同意がなければ絶対に退職できないわけではありません。
期間の定めのない雇用契約であれば、原則として退職の申入れから2週間で労働契約は終了します。会社が「認めない」と言っているだけで、退職の自由がなくなるわけではありません。
大切なのは、退職の意思を明確に会社へ伝えることです。
口頭での相談や曖昧なLINEだけでは、会社から「まだ正式に聞いていない」と言われる可能性があります。
退職届を受け取ってもらえない場合や、引き止めが強い場合は、内容証明で退職の意思、退職日、有給取得の希望、貸与品の返却方法、退職書類の送付依頼、今後の連絡方法を整理して通知する方法があります。
会社から強い言葉を言われても、感情的に言い返す必要はありません。
退職通知を文書で行い、必要な手続きを郵送や書面で進めれば、会社と直接話さずに退職へ進められる場合があります。
「退職を認めないと言われた」
「退職届を受け取ってもらえない」
「会社と話すのが怖くて動けない」
このような状態であれば、一人で抱え込まず、早めに退職通知の方法を整理しましょう。
退職は、会社に許可してもらうまで我慢し続けるものではありません。
退職の意思が固まっているのであれば、必要な形で通知し、会社との関係を静かに終わらせる準備を進めることが大切です。
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「連絡したくない」「引き止められるのが不安」という方でも問題ありません。
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