成果物の欠陥や不具合が見つかった場合の対応を定める保証条項。瑕疵担保責任の考え方や実務上の注意点を行政書士が解説します。
1. 保証条項(瑕疵担保責任)とは?
保証条項(瑕疵担保責任)とは、納品後に成果物や商品に欠陥(瑕疵)が見つかった場合に、受託者や売主が修補・交換などの責任を負うことを定めた条項です。
契約を締結した時点では完璧に思えても、納品後に不具合や欠陥が判明するケースは珍しくありません。
その際に「誰が、どの範囲で、どれくらいの期間責任を負うのか」を明確にするのがこの条項の目的です。
保証条項は、商品販売契約・業務委託契約・システム開発契約など、幅広い契約で登場します。
特に近年では、民法改正(2020年施行)により「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」という新しい考え方に整理され、
契約内容に適合しない場合には修補や損害賠償を求められるようになりました。
2. なぜ保証条項が重要なのか
保証条項を設ける目的は、主に次の3点です。
- 成果物の品質を保証し、取引の信頼を高める
受託者側が一定の保証期間を設けることで、発注者に安心感を与え、継続的な取引につながります。 - 責任の範囲と期間を明確にする
いつまでに発見された不具合に対応するのかを定めることで、後々のトラブルを防げます。 - 損害賠償のリスクを限定する
保証期間外の不具合や、使用者側のミスによる損害まで責任を負わないように明確化する役割があります。
保証条項がない契約では、発注者が「いつまで補修してもらえるのか」を主張し、受託者は「納品後は責任を負わない」と争うなど、紛争化しやすくなります。
3. 保証条項に盛り込むべき主な内容
保証条項を設計する際は、以下の項目を具体的に定めることがポイントです。
- 保証期間(責任期間)
多くの契約では「検収合格日から○か月(または○年)」と設定します。
例:
> 「乙は、検収完了日から3か月以内に本成果物に契約不適合が発見された場合、無償で修補を行うものとする。」 - 対応内容(修補・交換・返金など)
どのように不具合を是正するかを明確にします。
> 「乙は、瑕疵が認められた場合、速やかに修補または交換を行う。」 - 保証の対象外事項
使用者側の過失や改造、天災による破損など、保証の対象としない範囲を明記します。
> 「乙は、甲の使用方法の誤り、改造、または外的要因による不具合については責任を負わない。」 - 損害賠償との関係
保証修補で解決できない場合の損害賠償請求の範囲や上限も整理しておくと良いでしょう。
こうした条項を具体的に書いておくことで、後々の「認識のズレ」や「責任の押し付け合い」を防ぐことができます。
4. 実務で注意すべきポイント
保証条項を作成する際、特に次の点に注意が必要です。
- 保証期間を過度に短くしない
保証期間が短すぎると、発注者に不信感を与えます。
業界慣行や製品の性質に合わせて、適正期間(3か月〜1年程度)を設定しましょう。 - 修補義務の範囲を明確に
「修補をもって責任を果たす」と明記することで、無制限な修理・賠償を防げます。 - 検収条項との整合性を取る
検収合格日が保証期間の起算点になるケースが多いため、検収条項とセットで整える必要があります。 - 再委託先の責任もカバーする
再委託や外注が行われる場合、保証義務が受託者全体で担保されるよう条文を設計します。
行政書士の実務では、特に「契約不適合責任」としての法的文言整理や、保証対象外の範囲設定に細心の注意を払います。
5. まとめ:信頼を守るための保証条項設計
保証条項は、取引の信頼を支える「アフターケアのルール」です。
納品後のトラブルを未然に防ぎ、長期的なビジネス関係を築くためにも欠かせません。
特に次の3点を意識して設計することが重要です。
- 保証期間・対象範囲・免責事項を明確にする
- 修補義務の完了をもって責任終了とする
- 検収日との関係を整理しておく
行政書士は、取引内容や業種に合わせて、実務に即した保証条項をカスタマイズします。
形式的なテンプレートではなく、「自社を守りつつ信頼を維持する条項」を整備しておくことが成功のカギです。


