契約書を作成するとき何を確認すればいい?条項ごとのチェックポイントから作成フローまで、行政書士が実務目線でわかりやすく解説します。
1. 契約書チェックが重要な理由
契約書は、取引をスムーズに進めるための“共通ルールブック”です。
しかし、実務では「サンプルをコピペしただけ」「細かいところを確認していない」などの理由で、後々トラブルになるケースが多く見られます。
特に近年は、
- オンライン取引の増加
- 外注・業務委託の一般化
- 個人情報・秘密保持の重要性高まり
などにより、契約書の精度が企業の信頼に直結します。
行政書士として感じるのは、
“契約書は内容そのものより、抜け漏れの有無で勝敗が決まる”
ということです。
そのため、全体的な構造を整理し、抜けのないチェックが重要になります。
2. 契約書の重要条項チェックポイント13項目
契約書作成時に必ず確認したい項目を、分かりやすく13項目に整理しました。
(1)契約の目的・定義が明確か
内容が曖昧な契約は、後で解釈が分かれトラブルになります。
抽象的な言葉は定義し、目的を明示しましょう。
(2)業務範囲・内容が具体的か
委託契約・制作契約で最も重要。
「何を」「どこまで」やるのか、細かく書くほどトラブルが減ります。
(3)成果物・納品物の条件
- 納品形式
- 品質基準
- 修正回数
これらが曖昧だと、終わらない仕事が続きます。
(4)契約期間と更新方法
自動更新なのか、都度更新なのか。
更新通知期限は「30日前」が実務的です。
(5)報酬・支払条件
支払日・支払い方法・遅延損害金を明確化します。
(6)秘密保持(NDA)
現代の契約では必須。
- 秘密情報の範囲
- 期間
- 違反時の対応
をチェックします。
(7)個人情報の取り扱い
個人情報保護法に合わせ、委託先管理・安全措置・返却手続きまで明記します。
(8)再委託の可否
勝手に外注されると品質が担保されません。
原則「事前承諾制」にします。
(9)瑕疵担保(契約不適合)・保証期間
納品後の不具合対応や保証期間のルールを明確に。
(10)損害賠償の範囲・責任上限
重要ポイント。
- 直接損害に限定
- 逸失利益・間接損害の除外
- 責任上限を契約金額に設定
が実務的です。
(11)不可抗力
地震・感染症・法令改正など、不測の事態を想定します。
(12)契約終了・解除条件
- 任意解除
- 違反による解除
- 終了後の処理(返却・情報削除)
は必須項目です。
(13)紛争解決(協議・管轄裁判所)
基本は「当事者の協議 → ○○地方裁判所」が標準形です。
契約書全体を俯瞰すると、
“仕事の内容”と“リスク管理”のセット構造になっている
ことがわかります。
3. 契約書作成フロー(5ステップ)
契約書は、闇雲に書き始めるのではなく、順序立てて作成するとスムーズです。
STEP1:業務内容・リスクの洗い出し
まずは、
- 何を依頼するのか
- どんなリスクがあるか
- どこを守りたいか
を整理します。
行政書士業務でいう「ヒアリング」がこのステップです。
STEP2:条文の“骨格”を作る
次に、契約書の基本構造を決めます。
- 目的
- 業務範囲
- 報酬
- 期間
- 求められる成果
など、大枠を固める作業です。
STEP3:リスク管理条項を埋める
骨格ができたら、次は“守り”の条文を整備します。
- 秘密保持
- 個人情報
- 損害賠償
- 再委託
- 不可抗力
- 紛争解決
ここが契約書の品質を左右します。
STEP4:相手方視点で読み直す
契約書は一方的すぎると相手に嫌がられます。
- 文言は攻撃的ではないか
- 義務が厳しすぎないか
- 現実的に運用できるか
を確認します。
STEP5:最終チェック(読み合わせ)
可能であれば第三者に読んでもらうのが理想。
弊所にレビューを依頼されるケースも多いです。
4. よくあるトラブルと事前防止策
トラブル1:契約書に書いていないことを求められる
→ 防止策:業務範囲・成果物の条件を具体化する。
「追加業務は別料金」と明記する。
トラブル2:無断再委託で品質が悪化
→ 防止策:「再委託は禁止、承諾制」とする。
トラブル3:想定外の高額損害を請求される
→ 防止策:「直接損害のみ」「逸失利益除外」「賠償上限」をセットで入れる。
トラブル4:個人情報の取り扱いが曖昧
→ 防止策:返却・廃棄・委託先管理まで条文化。
トラブル5:契約終了後の処理で揉める
→ 防止策:終了後の残務処理・返却物・守秘義務の存続を明記。
5. まとめ:良い契約は「読みやすく・漏れがない」ことが条件
契約書は専門知識が必要ですが、
・読みやすい
・誤解がない
・抜けがない
という3つが揃えば、実務で強い契約になります。
契約書は「作って終わり」ではなく、定期的に見直すことで企業のリスク管理が強化されます。
契約に関する不安があれば、いつでもご相談ください。


