契約を途中でやめたいとき、解除条項がなければトラブルの原因に。解除の種類や書き方、注意点を行政書士がわかりやすく解説します。
1. 解除条項とは?契約を終わらせるためのルール
「解除条項(かいじょじょうこう)」とは、契約を途中で終了させる条件や手続きを定めた条項のことです。
どんな契約でも「一度結んだら絶対に終わらせられない」というわけではありません。
ただし、解除のルールを決めておかないと、一方的な解約や支払い拒否などが起こり、トラブルに発展します。
たとえば次のようなケースです。
- 発注者が「納期が遅い」と一方的に契約を打ち切る
- 受託者が「報酬が支払われない」と業務を中止する
- どちらも契約書に解除の条件がなく、話し合いが長引く
こうした混乱を防ぐために、契約書にあらかじめ解除条項を設けておくことが不可欠です。
解除条項は、双方の立場を守り、万が一の際に冷静に対応できる「安全装置」のような役割を果たします。
2. 法的な解除と契約書による解除の違い
契約の解除には、法律上認められる解除(法定解除)と、契約書であらかじめ定める解除(約定解除)の2種類があります。
- 法定解除
民法上のルールで、たとえば相手が契約に違反した場合などに解除できます。
例:納期に間に合わない、代金を支払わない、義務を果たさない など。 - 約定解除(やくじょうかいじょ)
契約書で事前に取り決めておく解除ルールです。
たとえば「納期が10日以上遅れた場合は解除できる」など、具体的な条件を設定します。
法定解除だけに頼ると、実際に解除できるかどうかをめぐって争いになりやすいため、
契約書で具体的に「いつ解除できるか」を明記しておくことが重要です。
3. 契約書に定めておくべき主な解除事由
契約書には、次のような解除事由を盛り込むのが一般的です。
これらは業種や契約内容に応じて調整します。
- 債務不履行(契約違反)
契約で定めた義務を履行しない場合。
例:「納期を著しく遅延した」「代金を支払わない」など。 - 信用不安・破産・差押えなど
相手が破産・民事再生・差押えを受けた場合は、信頼関係の維持が難しくなるため解除事由とします。 - 不可抗力による履行不能
天災・地震・戦争・感染症拡大など、当事者の責任によらず契約が履行できなくなった場合。 - 通知による解除
一方の都合で契約を終了したい場合に、「○日前までに通知すれば解除できる」とする取り決め。
例:「30日前までに書面で通知することにより解除できる」。 - 重大な法令違反や社会的信用の失墜
反社会的行為や法令違反が発覚した場合など、ビジネス上の信用を損なう行為をしたときに解除できるようにします。
こうした条項を明確にしておくことで、双方が「どんなときに契約が終わるのか」を共通認識として持てます。
4. 実務で役立つ解除条項の書き方ポイント
解除条項を設計する際は、以下の点を押さえておくと実務上トラブルを防げます。
- 「催告(さいこく)」の有無を定める
相手に履行を求める催告をしても改善されない場合に解除できる、という流れを条文で明記します。
例:「甲は乙が債務を履行しないとき、相当の期間を定めて催告し、改善がない場合は本契約を解除できる。」 - 一方的解除の可否を整理する
原則として、契約は双方の合意または解除事由に基づいて終了します。
一方的に解除できる条件を定める場合は、相手の不利益にならないようバランスを取ることが大切です。 - 解除後の処理を明記する
契約解除後に「納品済みの成果物の扱い」「報酬の支払い」「機密保持義務の存続」などを定めます。
例:「解除後も第○条(秘密保持)の規定は効力を有する。」 - 損害賠償との関係を明確に
解除しても損害が発生する場合があります。
そのため、「解除により損害が生じた場合、解除権を行使した当事者は賠償を請求できる」と定めることが望ましいです。
これらを契約書で明記することで、解除をめぐる争いを最小限に抑えることができます。
5. まとめ:解除条項を整えて安心できる契約関係を
契約書の中でも解除条項は、「トラブル発生時の最後の砦」です。
いざというときに備え、解除条件・手続・解除後の処理をきちんと決めておくことで、余計な対立を防ぐことができます。
「途中で契約を打ち切ることになったらどうなるか」
この視点で契約書を見直しておくことが、事業を守るうえで非常に重要です。
行政書士は、業種や契約内容に合わせて最適な解除条項を設計します。
「どこまで書くべきか」「解除のバランスが取れているか」など、不安がある場合は早めに専門家に相談しましょう。


