「マニュアルはあるが、社内ルールは特にない」
「ルールとマニュアルの違いが自分でも曖昧」
この状態は、小規模事業者・成長途中の会社で非常に多く見られます。
結論から言えば、マニュアルとルール文書は役割がまったく異なります。
本記事では行政書士の視点から、
社内マニュアルと社内ルール文書の違い・混同した場合のリスク・正しい整理方法を解説します。
1.社内マニュアルとルール文書の基本的な違い
まず結論です。
・マニュアル=「どうやるか」を示す
・ルール文書=「やる/やらない」を決める
この違いを取り違えると、
社内文書は一気に機能しなくなります。
2.社内マニュアルの役割とは?
社内マニュアルは、
業務の手順や方法を統一するための文書です。
■ マニュアルの主な役割
・業務の属人化防止
・新人教育
・品質の安定
・作業スピードの均一化
例)
・請求書の作り方
・受注対応の流れ
・ツールの操作方法
マニュアルは、
「そのやり方が正しい前提」で機能します。
3.社内ルール文書の役割とは?
一方、社内ルール文書は、
業務を行う前提条件や判断軸を定めます。
■ ルール文書が扱う範囲
・業務範囲の線引き
・権限と責任の所在
・禁止事項
・例外対応時の考え方
つまり、
「そもそもやっていいのか」を決める文書です。
4.両者を混同すると何が起きるか
マニュアルとルールを混同すると、
次のような問題が発生します。
■ 代表例
・手順はあるが、判断基準がない
・イレギュラー対応で誰も決断できない
・責任の押し付け合いが起きる
結果として、
「マニュアルがあるのに回らない組織」になります。
5.マニュアル偏重のリスク
小規模事業者ほど、
「とりあえずマニュアルから作ろう」としがちです。
しかし、
ルールなきマニュアルは非常に危険です。
■ リスク
・誤った業務がそのまま標準化される
・是正すべき点が見えなくなる
・トラブル時に会社を守れない
マニュアルは便利ですが、
防御力はほぼありません。
6.ルール文書を先に整備すべき理由
ルール文書を先に整備すると、
次のメリットがあります。
・判断基準が明確になる
・例外時に迷わない
・マニュアル作成の軸が定まる
つまり、
ルール文書はマニュアルの土台です。
7.実務上の正しい整理手順
実務では、次の順番が合理的です。
① 業務全体の流れを洗い出す
② 揉めやすいポイントを特定
③ ルール文書で判断軸を固定
④ その後にマニュアル化
この手順を踏めば、
無駄な修正や作り直しを防げます。
8.まとめ|目的別に分けることが重要
社内マニュアルと社内ルール文書は、
役割がまったく異なる文書です。
・マニュアル=作業効率
・ルール文書=経営防衛
目的を明確に分けることで、
社内文書は初めて機能します。
まずはルール、
次にマニュアル。
この順序が、長期的に会社を守ります。


