「社内規程と就業規則は何が違うのか分からない」
「小さな会社でも就業規則は必須なのか」
このあたりは、多くの事業者が混同しやすいポイントです。
結論から言うと、すべての会社が就業規則を作成する必要はありません。
本記事では行政書士の視点から、
社内規程と就業規則の違い、作成義務の有無、作らなくていいケースを整理して解説します。
1.社内規程と就業規則はどう違う?
まず大枠から整理します。
■ 就業規則
労働時間・賃金・服務規律など、
労働条件に関するルールを定めた法定文書。
■ 社内規程
業務ルール・情報管理・対応フローなど、
会社内部の運用ルール全般をまとめた文書。
両者は似ていますが、
目的・法的位置づけ・作成義務が異なります。
2.就業規則とは?法律上の位置づけ
就業規則は、労働基準法で定められた文書です。
■ 作成義務があるのは
「常時10人以上の労働者を使用する事業場」
※正社員だけでなく、
一定条件下ではパート・アルバイトも含まれます。
■ 就業規則に求められる内容
・始業終業時刻
・休日、休暇
・賃金、昇給
・退職、解雇
・懲戒
これらは労務管理そのものであり、
作成後は労基署への届出も必要です。
3.社内規程とは?より広い内部ルール
一方で社内規程は、
法律で形式や内容が厳密に決められているものではありません。
■ 社内規程で扱うことが多い内容
・業務の進め方
・社内承認フロー
・情報管理・秘密保持
・外注・業務委託の扱い
・クレーム対応
労働条件そのものではなく、
「業務をどう回すか」「判断軸をどう揃えるか」に重点があります。
小規模事業者にとって、
実務上はこちらの方が重要になるケースも少なくありません。
4.就業規則を作らなくていいケース
次のような場合、
就業規則の作成義務はありません。
■ 作らなくてよい典型例
・従業員が常時10人未満
・家族経営で雇用関係が限定的
・外注・業務委託中心で運営している
この場合、
就業規則を「無理に」作る必要はありません。
むしろ、
中途半端な就業規則は後々のリスクになります。
5.無理に就業規則を作るリスク
義務がないのに就業規則を作ると、
次のような問題が起きやすくなります。
■ 代表的なリスク
・実態と合わないルールを自ら作ってしまう
・守れていない規定が増える
・従業員から「規則違反」を指摘される
・将来の紛争で不利に使われる
就業規則は「作った時点」で効力を持ちます。
形だけ整えるのは非常に危険です。
6.代替として有効な社内ルール文書
就業規則を作らない場合でも、
何も決めないのは別の問題です。
そこで有効なのが、
労務に踏み込まない社内ルール文書です。
■ 例
・業務ルール整理文書
・対応フローマニュアル
・情報管理ルール
・外注向けガイドライン
これらは、
就業規則ほどの法的拘束力はありませんが、
実務上の混乱防止には非常に効果的です。
7.行政書士が関与できる範囲
行政書士は、
労働条件そのものの交渉や調整は行えません。
一方で、
以下の領域は専門的に対応できます。
■ 行政書士の対応範囲
・社内ルール文書の整理
・業務フローの言語化
・情報管理・外注ルールの文書化
・実態に即した文書構成
社労士領域に踏み込まず、
「経営と実務を守る文書」に特化できる点が特徴です。
8.まとめ|必要な文書は会社規模で決める
社内規程と就業規則は、
似ているようで役割が異なります。
・就業規則=法定の労務ルール
・社内規程=実務運用のルール
小規模事業者や創業期では、
無理に就業規則を作るより、
実態に合った社内ルール文書を整える方が合理的です。
必要な文書は、
会社の規模と運営スタイルで判断することが重要です。


