文書を送る手段には、普通郵便・簡易書留・内容証明郵便など複数の方法があります。
本記事では行政書士の実務視点から、それぞれの違いを整理し、「なぜ内容証明が選ばれるのか」をわかりやすく解説します。
1. 文書送付の方法はなぜ重要なのか
「書面を送った」という事実は、どの方法で送ったかによって証明力が大きく異なります。
特に、
・契約解除
・解約通知
・退職の意思表示
・金銭請求の前段階
といった場面では、送付方法の選択=リスク管理そのものです。
2. 普通郵便の特徴と限界
普通郵便は、最も一般的で低コストな送付方法です。
■ 普通郵便の特徴
・郵送料が安い
・手続きが簡単
・日常的な連絡向き
■ 重大なデメリット
・届いたかどうか証明できない
・中身の内容は一切残らない
・「届いていない」と言われると反論できない
法律トラブルが絡む場面では、証拠能力がほぼゼロに近い点が問題になります。
3. 簡易書留の特徴と使いどころ
簡易書留は、「送った」「届いた」という事実を記録できる方法です。
■ 簡易書留の特徴
・配達記録が残る
・受取の有無を確認できる
・普通郵便より信頼性が高い
しかし、「中身が何であったか」は証明できません。
つまり、
・白紙だった
・別の書類だった
と言われた場合それを否定できないのです。
4. 内容証明郵便の仕組みと強み
内容証明郵便は、郵便局が次の3点を証明します。
■ 内容証明で証明されること
・誰が
・誰に
・どんな内容の文書を
・いつ差し出したか
このため、文書の存在・内容・時点すべてが証拠として残ります。
さらに、配達記録付きで送付するため到達日の証明も可能です。
5. 3つの送付方法を比較すると何が違う?
実務上の違いを整理すると、次のとおりです。
■ 普通郵便
→ 証拠性なし。トラブル向きではない。
■ 簡易書留
→ 届いた事実のみ証明。内容は弱い。
■ 内容証明郵便
→ 内容・到達日まで含めて証明可能。
トラブル防止・予防の観点では、内容証明が最も安全性の高い選択肢となります。
6. 内容証明を選ぶべき典型ケース
次のようなケースでは、内容証明が推奨されます。
・相手が約束を守らない可能性がある
・後から争いになる可能性が高い
・退職・契約解除など一方的な意思表示
・金銭や法的責任が絡む通知
「揉める前提」で考えるのではなく、揉めないために備えるための手段です。
7. 専門家が内容証明を勧める理由
行政書士などの専門家は、普通郵便や簡易書留を安易に勧めません。
理由は単純で、後から争いになった場合、依頼者を守れないからです。
最初から内容証明で整理しておけば、次の法的ステップにも安全につなげられます。
8. まとめ|目的で送付方法を選ぶ
文書送付方法は、「安さ」ではなく「目的」で選ぶべきです。
・連絡だけ → 普通郵便
・到達確認 → 簡易書留
・法的リスク管理 → 内容証明
内容証明は、トラブル回避と証拠確保のための最適解といえます。


