デザイン・文章・ソフトウェアなど、成果物に関わる著作権の取り扱いは非常に重要。著作権条項の基本と実務上の注意点を行政書士が解説します。
1. 著作権条項とは?
著作権条項とは、契約で作成される成果物(文章・デザイン・プログラムなど)の著作権を、どちらが持つのかを明確に定める条項です。
たとえば、デザイン制作会社にロゴやウェブサイトを依頼した場合、完成物の著作権が制作会社に残るのか、それとも依頼した企業に譲渡されるのかによって、後々の利用範囲や再利用の自由度がまったく異なります。
契約書にこの点を明確にしていないと、思わぬトラブルに発展するケースが多く見られます。
2. なぜ著作権条項が重要なのか
著作権条項を設ける理由は、以下の3点に集約されます。
- 成果物の利用範囲を明確にするため
たとえば、納品物を自社の広告や別のプロジェクトに再利用する場合、著作権の所在が不明確だと「著作権侵害」に該当するおそれがあります。 - 第三者トラブルを防止するため
制作側が他人の著作物を流用していた場合、発注側も連帯責任を問われるケースがあります。
著作権条項で責任の所在を明記することで、リスクを最小化できます。 - 著作人格権の扱いを調整するため
著作者(制作者)には、譲渡できない「著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権など)」があります。
業務上の利用を妨げないように、人格権の行使制限を定める必要があります。
3. 条文例と著作権の帰属パターン
契約における著作権の帰属パターンは、大きく3種類に分かれます。
(1)成果物の著作権を依頼者に譲渡する場合
第○条(著作権の帰属)
本契約に基づき乙が作成した成果物の著作権(著作権法第27条及び第28条の権利を含む)は、納品完了時に乙から甲へ譲渡されるものとする。
乙は、成果物に関して著作者人格権を行使しないものとする。
→ もっとも一般的な形。依頼企業が成果物を自由に利用できるため、BtoB契約ではこの形式が多いです。
(2)制作会社に著作権を残す場合
成果物の著作権は乙に帰属するものとし、甲は本契約の目的の範囲内でこれを利用できる。
→ 制作側が同一素材を他案件で流用したい場合などに採用されます。
(3)共同著作・共同利用とする場合
成果物の著作権は甲乙双方に帰属し、双方は相手方の許可なく利用できるものとする。
→ 共同開発や共同制作プロジェクトで多く採用されます。
4. 実務でのトラブル事例と対策
著作権条項を曖昧にしておくと、以下のような問題が発生しやすくなります。
- 納品後に著作権の主張を受ける
制作者が「著作権は私にある」と主張し、再利用や修正に制限がかかるケースがあります。
→ 対策:納品時点で著作権譲渡を明記し、対価の支払いで権利移転が成立する旨を記載。 - 第三者の素材を利用していたケース
制作物にフリー素材や他人の著作物が含まれており、依頼者が著作権侵害を問われることがあります。
→ 対策:契約書で「乙は第三者の権利を侵害しない保証をする」と明記。 - 著作者人格権の行使による制限
デザイン変更・トリミング・再編集などを行う際、制作者が人格権を行使して拒否するケースがあります。
→ 対策:「乙は本成果物に関し、著作者人格権を行使しない」との記載を追加。 - AI生成物の扱いが不明確
近年ではAIによるコンテンツ生成が増えていますが、AI出力は著作権の対象外となる場合もあります。
→ 対策:契約で「AI利用部分は著作権対象外とする」など、取り扱いルールを明示。
契約書作成の実務としては、特に成果物の性質に応じた権利帰属と責任範囲の設計が重要です。
5. まとめ:成果物の権利を明確に管理する
著作権条項は、契約書の中でも「創作的成果物を扱う場合」に必須の条項です。
契約段階で権利関係を曖昧にしておくと、後々の再利用・転用・販売に支障をきたします。
特に以下の3点が実務上のポイントです。
- 成果物の著作権がどちらに帰属するかを明記する
- 著作者人格権の不行使を明文化する
- 第三者の権利侵害に対する保証を付ける
弊所は、契約の目的や業種(Web制作、デザイン、開発など)に応じて、「使いやすく、争われない条項設計」を行います。
成果物の価値を守り、安心して利用できる契約体制を整えることが重要です。
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