納品後のトラブルを防ぐために重要な検収条項。検収の手順や合否判定、報酬支払いとの関係を行政書士がわかりやすく解説します。
1. 検収条項とは?納品後の確認を定める条項
「検収条項(けんしゅうじょうこう)」とは、納品された成果物が契約内容に適合しているかを確認する手続きを定める条項です。
ソフトウェア開発、デザイン制作、設備工事など、納品物を伴う契約では欠かせない項目です。
この条項を設けることで、発注者(甲)は納品内容をチェックし、受託者(乙)は正式な合格をもって報酬請求できるようになります。
つまり、検収条項は「納品の完了=契約の一区切り」を明確にするためのルールといえます。
2. 検収条項を設ける目的
検収条項を設ける目的は、主に次の3点です。
- 成果物の品質確認
納品されたものが契約仕様どおりであるか、動作・性能・デザインなどを確認するためです。
問題があれば修正依頼を出し、品質を確保します。 - 支払条件の明確化
検収が完了して初めて報酬支払いが発生する、という条件を設けることで、支払いトラブルを防止します。 - 責任関係の整理
検収合格後は、通常、受託者の瑕疵担保責任(欠陥対応義務)の期間がスタートします。
これにより、発注者と受託者の責任範囲が明確になります。
検収条項がないと、納品後に「まだ完成していない」「支払う条件を満たしていない」といった争いが発生しやすくなります。
3. 検収の流れと典型的な条文例
検収の基本的な流れは次のとおりです。
- 納品:受託者が成果物を発注者に引き渡す
- 検査:発注者が内容を確認(動作確認・仕様チェックなど)
- 合否判定:合格なら検収完了、不合格なら修正依頼
- 支払い:検収合格後、報酬支払いを実施
実際の契約書では、次のような条文が使われます。
第○条(検収)
乙は、成果物の完成後、速やかに甲に納品し、甲は納品物を受領した日から○日以内に検収を行う。
甲が検収の結果、納品物に契約仕様に適合しない箇所を認めた場合、乙は甲の指定する期限までに修補を行う。
甲が修補後の成果物を再検収し、問題がないと判断したとき、本契約に基づく成果物の検収が完了したものとする。
検収完了日は「契約の終了日」や「報酬支払期日」とも密接に関係するため、実務上非常に重要な意味を持ちます。
4. 検収でトラブルになりやすいポイント
検収条項は一見シンプルですが、実際のトラブルの多くはこの部分から発生します。
よくある問題点と防止策をまとめると次のとおりです。
- 検収期間が曖昧
「速やかに検収する」などの表現は曖昧です。
→「納品日から7日以内に検収を行う」といった具体的な期間を明記しましょう。 - 検収合格の基準が不明確
仕様書や要件定義書で合否判定の基準を明確にしておく必要があります。
→「仕様書記載の要件をすべて満たすことをもって合格とする」といった定義を設けましょう。 - 再検収の回数制限がない
修正→再検収→再修正を繰り返すと、納期が大幅に遅れます。
→「再検収は原則1回とし、それ以上は別途協議」とするのが現実的です。 - 検収完了前の支払いトラブル
「納品=支払い」と勘違いされやすいため、報酬支払いの条件を検収合格後と明記することが重要です。
行政書士としても、契約書作成時には検収条項と支払条項を必ずセットで確認することを推奨しています。
5. まとめ:検収条項を整えて納品トラブルを防ぐ
検収条項は、契約の最終段階を円滑に進めるための「仕上げのルール」です。
納品物の確認・修正・支払いのタイミングを明確にすることで、双方が納得できる契約関係を維持できます。
特に以下の3点を押さえておくと、実務上のトラブルを防げます。
- 検収期間・合否基準・再検収回数を明記する
- 検収合格後の支払タイミングを明確にする
- 検収完了日が責任期間や保証期間とリンクすることを意識する
行政書士は、契約の性質や業種(IT・製造・建設など)に合わせて、最適な検収条項を設計します。
納品後の「言った・言わない」をなくすためにも、事前の文書化が何より大切です。


